訓読 >>> 2429はしきやし逢はぬ子ゆゑにいたづらに宇治川の瀬に裳裾(もすそ)濡(ぬ)らしつ 2430宇治川の水泡(みなあわ)さかまき行く水の事(こと)かへらずぞ思ひ染(そ)めてし 2431鴨川(かもがは)の後瀬(のちせ)静(しづ)けく後(のち)も逢はむ妹(いも)には我(わ)れは今ならずとも 要旨 >>> 〈2429〉ああ愛しい、逢ってもくれないあの子ゆえに、甲斐もなく、宇治川の瀬で裳裾を濡らした。 〈2430〉宇治川が水泡を立てて逆巻いて流れ行くように、あの子を恋し始めた気持ちは戻しようがない。 〈2431〉鴨川の瀬が下流ではゆったりとした流れになるように、あとで彼女にはゆっくり逢おう。…