―「資源のない国」という神話を解体する ― 日本は長らく「資源のない国」と言われてきた。石油も天然ガスも乏しく、エネルギー安全保障に弱い――それは戦後日本の自己認識として、ほとんど常識のように語られてきた。 しかし本当にそうだろうか。 本章で示したいのは、日本は資源がない国なのではなく、「20世紀型の資源観」に適合しなかっただけという事実である。 21世紀のエネルギー観点から見れば、日本列島はむしろ世界でも例を見ない自然エネルギーの集積地である。 1. 黒潮 ― 見過ごされてきた「海のエネルギー動脈」 日本列島の太平洋側を流れる黒潮は、地球規模の熱輸送システムの一部であり、膨大な運動エネルギー…