イギリス人の書いた1970年代の小説を読んでいたら、マレーシアやラオスの話が出てきた。主人公たちはアジアを見下しているなぁ、と感じた。 私が初めて東南アジアを旅行したのは、1980年代後半である。開発独裁と呼べるような国があり、物価も安く、私も彼らを見下していたと思う。 その時、ふと思い出したのが、沈没という言葉であった。日本社会に馴染めず、物価の安い東南アジアに逃避して、何もせずに長期滞在することを、沈没する、と当時は表現した。多少の非難が含まれていた。この言葉は1990年代には市民権を得ていたと思う。 私は1980年代から90年代にかけてアジアをよく旅行していたので、しばしば彼らを見かけた…