古書を渉猟していると、数字の羅列によく出逢う。 遭遇して当然だ。自論に箔を付けるため、正当性を押し出すために数の威力を借りるのは、古(いにしえ)よりの常套手段、王道中の王道ではあるまいか。 例の抜き書く癖により、気付けば随分その種のデータが手元に積み上げられていた。 (製本作業中…) 筆者個人の独断と偏見に基いて、特に印象深いのを幾つか抽出するのなら、例えばこれなどどうだろう。 ロンドンに於いて一歳中に消費する食料の統計左の如し。 〇魚類 四千億斤(ポンド) 〇牡蠣 五千億個 〇蟹 六千万個 〇牡牛 四十万頭 〇羊 百九十万頭 〇豚 二十五万頭 明治の黎明、村田文夫が世に著した『西洋見聞録』中…