白川静の著書。昭和62年(1987年)に刊行。いわゆる白川静三部作『字統』『字訓』『字通』のうちのひとつ。『字訓』は、古字書が掲げる漢字や訓み、古今の語源説なども紹介しながら、日本語の語意識と漢字の字義とのかかわり合いを説明するもの。
白川は、「日本人は漢字を音訓両用に使いこなし、それは同時に国字となった。国字と漢字を習合し、融会したところに国語が成り、その思惟の世界も、表現の世界も、その中に生まれた。『万葉集』、『日本書紀』、『古事記』の中にも、その表現のうちに苦闘する当時の精神のありかたが見える。そこに国語の出発点がある。その姿を見極めようと思って、私は『字訓』を書いた。(趣意)」と述べている。
呪術的な歌としての万葉集が、この字書に必要である為、ざっくりした形で集録。