訓読 >>> 印南野(いなみの)の赤ら柏(がしは)は時はあれど君を我(あ)が思ふ時はさねなし 要旨 >>> 印南野にあるあから柏の葉が赤いのは、定まった時がありますが、大君を私がお慕い申す定まった時というのはございませぬ。 鑑賞 >>> 題詞に「(天平勝宝6年1月)七日に、天皇・太上天皇・皇大后が東の常宮(つねのみや)の南大殿に在(いま)して肆宴(しえん)したまふ歌」とある歌。「天皇」は第46代の女帝孝謙天皇、「太上天皇」は聖武太上天皇、「皇大后」は光明皇大后。「東の常の宮」は、東院と称せられた宮で、平城宮の東部にある平常の御殿。「肆宴したまふ歌」は、大御酒を召させられる日の歌で、「歌」は、播…