南風:富田常雄 1951年(昭26)湊書房刊。 図式の明確な柔道物。主人公の浜誠一郎は大学生で柔道六段。九州の出身でその大らかな性格から「南風」(読みが「なんぷう」なのか「はえ」なのかは明記されていない)という渾名が付いていた。恩師に紹介されたアルバイト先は有名な割烹店の息子の家庭教師だったが、そこの姉娘の環はレコード歌手で、誠一郎とは列車内で偶然知り合っていた。誠一郎と環は急速に親密になって行くが、ここに彼の恋敵が出現する。それは同じ柔道六段の伊丹であり、環の実家の割烹店に多額の貸付をしていた土建屋の息子だった。伊丹はその立場を利用して環に結婚を迫る。拒絶する理由を探しあぐねた末に、彼女は柔…