富田常雄『天にひらく窓』東方社を読了。 久しぶりに富田常雄の小説を読んでみた。 隠居生活をしている元陸軍少将の父(62歳)、商事会社勤務の長男雄一郎(32歳)、アルバイトとして子どもに日本舞踊を教えている長女の奈美子(24歳)、新聞社に勤めだしたばかりの次女の春江(20歳)。 誠実で真面目ひとすじの雄一郎には心に秘めた女性がいるのだが、長男としての立場から家族を養わねばならず、妹たちを嫁に出してからでなければ結婚はできないものと決めていた。そのため、どうしても相手の女性に積極的になれず、相手の女性もにえきらない雄一郎に対して物足りなさを覚えるようになっていた。 古風でおとなしい奈美子は、ひょん…