封切り三日目。 席数349の【シアター6】の入りは八割ほど。 一家三人を惨殺したとして死刑判決を受け収監中の『鏑木慶一(横浜流星)』が自身の体を傷つける詐病で搬送中の救急車から脱走。 名前を偽り外見を変え、ある目的のために職と住処を転々とする。 事件の時『慶一』は十八歳。が、たまさか少年法が改正されるタイミング。 官はこれを少年による凶悪犯罪抑止アピールの絶好の機会ととらえ、彼はスケープゴートとされる。 真犯人は他にいると一貫して無実を訴えても、耳を貸す者は誰もいない。 直接的な証拠が無いなか、見込み捜査とおざなりな取り調べののち死刑判決は確定する。 唯一の目撃者である事件の遺族『由子(原日出…