読み終わった後に、すごく静かな気持ちになった。静かな気持ちだけど、絶対にあたたかな気持ち。 物語としては、端的に言ってしまえば喪失のその先で生きていく、という話だ。友人のすみれを亡くした主人公の真奈が、それを乗り越えていく話。 でも、いや、だからこそ、大事な人の喪失を書いているからこそ、これは愛の物語なんだなあ、と思う。正直、これを書くのもまあまあこっぱずかしいが、そう思うのだから仕方ない。 この話は、わたしたちの奥深くにこっそり閉まってある気持ちを撫でてくれるような感じがする。泣きたくなるような気持ちを覆い隠さず、拾い上げるのでもなく、ただ撫でてくれるような。 主人公の真奈は、親友であるすみ…