昨日の夜から開高健さん「珠玉」を手にしています。三つの短編からなる 作品集「珠玉」でありますが、収録の三作には「珠玉」という作品はありません です。三作に共通してモチーフされるのが宝石でありまして、そこから「珠玉」と 名付けられているのですね。 金承福さんがおすすめの「掌のなかの海」は、作中の主人公である小説家の 若い頃の思いで話でありまして、これが基本的には相当に辛い話なのであり ます。 「その頃、小説家になって間もなくのことだから、どうやって暮らしていいものか、 教えてくれる人もなくて、途方に暮れていた。・・作品にしたいことが脳か心かに あって夜ふけに白い紙に向かって専心しているときは何と…