知られざる人々 私たちは、記録された歴史として人間世界の過去を幾らか知っている。 だが、記録されていない過去はその何千倍もあるだろう。 侵略史には惨憺たるものがある。 害虫のごとくに駆逐されてしまった民族もある。 一人一人の絶叫も、大雑把な数字の束として、 数行の記述で歴史に残るだけである。 いつの時代も自分たちの軌跡の全てを知ることができない。 記録に記された主役たちが歴史上の人物として、 記憶されるだけである。 自らの独善を宣って、人を殺して殺して、自分は天寿を全うする者もいる。 書店に並んだ歴史書にどう記述されようが、 どんな社会観を提示されようと、 どの歴史も殺戮のあとに塗り替えらてい…