その頃の楽しみといえば、6里ほど離れたところにある貸し本屋さんへ行くことでした。 学校の先生の自転車の後ろに乗せてもらって、よく本を借りに行ったものです。 吉川英治の『三国志』や『宮本武蔵』を先生にお借りして、あまりの面白さに時間を忘れて読みふけったのは3年生の頃。 ある時小学校の校庭で、進駐軍に見つかっては困る本をたくさん燃やしていました。 もったいないなあと物欲しそうに眺めていたら、いくらでも拾っていいというので、大急ぎで『大菩薩峠』や『太平記』などを拾い集めたり。 時々父が東京の焼け跡で売られていた数学や英語の参考書を買ってきてくれることもあり、少しずつ本が増えていきました。 中学校の先…