日本の国土には、放置された林がたくさんある。 大都市部を走る電車しか乗ってない人は、気づかないかもしれない。 でも、電車が少し田舎に出れば、線路の脇は手の入ってない林や森が延々と続く。 もちろん美しい景色じゃない。敢えて、景色として眺める値打ちはないだろう。 ただ木々がぼうぼうと生えているだけだから、車窓から眺める人は何も思わない。 でも、ぼくは少し考えた。 線路のすぐ横のその長い土地は、大都会だったら狭小住宅がへばりついている。 電車が通る音がうるさいから土地の値段は周辺より安いだろう。だから人は住む。 一方田舎に行けば、線路脇のみならず広い山々も、ほとんど人の手が入っていない。 昭和の初め…