《内容》 ウォール街の法律事務所で雇った寡黙な男バートルビーは、決まった仕事以外の用を言いつけると「そうしない方がいいと思います」と言い、一切を拒絶する。彼の拒絶はさらに酷くなっていき…。不可解な人物の存在を通して社会の闇を抉る、メルヴィルの代表的中篇2作。 まず設定がめちゃくちゃ面白いんですよね。 仕事って作業じゃないですか。作業しなかったらクビなのに、バートルビーは作業を拒否するのです。しかも嫌とか無理とか体調不良とかじゃなくて「しない方がいい」というそれが最善であるという提案で返すのです。 何もしないことが最善なのだ 弱肉強食という言葉が暗示しているように、食べるというのは一種の暴力でも…