日記帳:江戸川乱歩 現代語訳:Relax Stories TV それはちょうど一週間前の夜のことでした。私は亡くなった弟のホームオフィスに入り、彼が残した書類やメモを見て、一人で思いにふけっていました。 まだ夜も更けていないのに、家中は涙で湿って、静かになっていました。何となくドラマチックな雰囲気が漂っていましたが、遠くからは、物売りの声が、なんとも悲しげな調子で響いて来ました。私は長い間忘れていた、子供の頃の、しみじみとした感情に戻り、ふと、そこにあった弟の日記帳を開いて見ました。 この日記帳を見ると、私は、おそらく恋を知らずにこの世を去った、20歳の弟を哀れに思わずにはいられませんでした。…