宝永3年3月25日。平尾伴太夫は申し開きができて許され、前のとおり扶持方を下される。しかし少し前、伴太夫の女房を呼び寄せて詮議があった。諸士の女房を揚屋へ呼ぶのは初めてのことであった。役人は問いかけた。美しい服を着用し、時には僕も連れずにあちこちへ出かけている。その様子はとても華美なのはどういうことか。伴太夫が答えた。自分は小身だから供をつけることもできない。衣服は昔こしらえた衣服で目立つけれど、貧乏で作り直しこともできないのでそのまま着ている。かつ持病があり、治療のためあちこちへ出かけている。忍び歩くのでかえって衣服が粗末であれば人に軽んじられるのでこの如くと云々。また役人が問いかけた。外出…