なんで出かけたんだったかな。 目的は確か、別にあったはず。でもその日、たまたま母と二人きりになったことが、私にとっては特別だった。 いつもは弟や妹、そして父のことで忙しそうだった母。 そんなお母さんが、まるで「私だけのお母さん」になったような時間だった。母がふと、「さっちゃん、来て!」と手招きした。 「お母さんの思い出の店!」そのとき歩いたのは、母の高校時代の通学路だったという道。 初めて通る、いつもと違う道だった。連れて行ってもらったのは、小さなソフトクリーム屋さん。 正直、なんの変哲もない、昔ながらのお店だったと思う。 でも、母が「ここ、よく寄ってたんだ」と笑ってくれて、 その横顔が、少し…