中学一年生の凛にとって、母の愛さんは世界のすべてでした。早くに父を亡くし、二人きりの生活。貧しくとも、食卓にはいつも母の優しい笑顔がありました。しかし、その幸せはあまりにも突然、終わりを告げます。愛さんが、営業の外回り中にくも膜下出血で倒れてしまったのです。愛さんは病院へ救急搬送されましたが、二度と凛の元へ帰ってくることはなかったのです。身寄りのない凛は、児童養護施設に送られました。しかし、そこは地獄でした。同年代の子供たちからの陰湿ないじめ、そして室長の粘つくような視線と卑劣な接触が、日に日に凛の心を蝕んでいきます。「もう、いっそ死んでしまいたい……。」枕を濡らす夜が続きました。そんなある晩…