大納言はさっそく動き始めました。先触れせずに民部少輔の家を訪ねたのです。「おかしい。いつもの方違えでは必ず事前に連絡が入るのに、ご訪問が突然すぎる」家主の少輔はどれほどあわてたことか。対する大納言は、顔色を失ってもてなしをする民部少輔をじっと見たり、姫の気配でもないかと家の中をぐるりと見渡したり。その間、少輔の妻はとぼけたふりして給仕しています。妻はこっそり、「さ、お母さんは忙しいから、あっちのお姫さまのお部屋に行ってお相手しておいで」と例の小さい子に言いつけました。その子は言われたとおりに姫たちのいる部屋に参上しますと、右近の君たちが、「おや、母屋の方がにぎやかね。お客さまがいらっしゃってい…