躊躇していたネタを書く。 迂闊に触れると妙な団体を刺激しそうで「壺」に封印していたのだが、客観視するとどうだろう、そういう自分が如何にもなにか物に怯えて縮こまっているようで、薄みっともなく姑息でまた情けなく、真夏の暑さも手伝って、積もり積もった不快の念がついに臨界に触れてしまった。 いわばヤケッパチで書く。 「物言わぬは腹ふくるるわざなり」だ。恐縮だが、しばしお付き合い願いたい。 民俗学にまつわる話だ。――アイヌの古い習俗だ。 身重の娘が分娩前に不幸横死した場合。あの人々は遺骸を埋葬する前に、大きく膨れた胎を裂く。 裂いて、開いて、臓腑をかきわけ、未熟な赤子を取り上げる。 むろん弔いの一環だ。…