→カブトムシ
読み間違えて「かぶとむし」と読む人も多いが、「こうちゅう」と読む。
甲虫目に属する昆虫の総称。コウチュウ目、鞘翅目とも呼ばれる。昆虫は、地球上で最も種類数の多い生物だが、その昆虫のなかで最も種類数の多いのがこのコウチュウ目であり、現在名前のついているものだけで35万種以上、いまだ名前がついていないもの、未発見のものも非常に多い。そのような大きなグループであるので、生態、形態共に多様である。生態的には多様な食性を示し、虫食、腐肉食、糞食、葉食、樹木食、樹液食、菌食、蜜食など挙げればきりがない。また、他の動物に寄生するようなものもいる。生息環境も多様であり、満潮時には海中に没する磯の岩礁から高山、土中、砂漠・・・とあらゆる環境に進出している。完全変態群に属し、幼虫→蛹→成虫という変態を行う。ツチハンミョウのグループなどには幼虫の期間内に蛹のような姿(擬蛹)になるという、特殊な変態をするので、過変態とよばれるが、これも完全変態に含まれる。
形態的には、他の昆虫に比べ外骨格が発達しており、前翅が硬化して、背中を覆うようになっていることが大きな特徴であり、甲虫の名もここから来ている。背中を覆う前翅は、薄くて大きい後翅と腹部を保護する役割をしている。しかしハネカクシやツチハンミョウのように腹部が大きくはみ出したものもいる。
甲虫が飛翔する際には、しまわれていた膜状の後翅を広げ、羽ばたかせて飛び、前翅は主に平衡を保つのに使われる。甲虫は基本的に飛ぶことができるが、翅が退化したものや、二枚の前翅が互いにくっついて後翅が完全に封印されたものなども多く、これらは飛ぶことができない。
ツチハンミョウの一部は、漢方薬として用いられることがあるようである。また、カミキリムシ科の一部は農業、林業害虫として敵視されている。また、アオバアリガタハネカクシやカミキリモドキの仲間は、つぶすと皮膚がやられる。目に入ると光を失うこともあるらしい。また、カブトムシやクワガタムシの類はペットとして大人にも子供にも異常なほどの大人気である。その人気ぶりは、日本の在来のクワガタを絶滅させる勢いである。
Archostemata ナガヒラタムシ亜目
Cupedoidea ナガヒラタムシ上科
Adephaga オサムシ亜目
Caraboidea オサムシ上科
Myxophaga ツブミズムシ亜目
Microsporioidea ツブミズムシ上科
Polyphaga カブトムシ亜目
Hydrophiloidea ガムシ上科
Histeroidea エンマムシ上科
Staphylinoidea ハネカクシ上科
Scarabaeoidea コガネムシ上科
Byrrhoidea マルトゲムシ上科
Scirtoidea マルハナノミ上科
Dryopoideaドロムシ上科
Buprestoidea タマムシ上科
コメツキムシ上科
ホタル上科 Cantharoidea
Dermestoidea カツオブシムシ上科
Bostrychoidea ナガシンクイ上科
Lymexyloidea ツツシンクイ上科
Cucujoidea ヒラタムシ上科
Tenebrionoidea ゴミムシダマシ上科
Chrysomeloidea ハムシ上科
Curculionoidea ゾウムシ上科
以上、日本に分布するもののみ示した。この他にも多くの科が認められている。