作家、詩人、翻訳家。
1930年教育学者矢川徳光の二女として生まれる。東京女子大学英文科を卒業後、学習院大学独文科在学中に同人誌『未定』に参加。同学科卒業後東京大学美学美術史学科(中退)を経て、岩波書店の外校正で知り合った澁澤龍彦と結婚し(1959年)、資料調査、下訳、註作成、浄書、校正など重要な協力者としての役割を担う。1968年澁澤と離婚。翌年から英語、独語の児童文学の積極的な翻訳も始める。
1980年長野の黒姫に新居を建てそこを生涯の住処とする。幅広い交友関係を持ち、ミュージシャン「たま」など下の世代との交流もあり、東京の住居として杉並区天沼に共同で借りていた住居には「たま」の知久寿焼も住んでいた。2002年5月29日、黒姫の自宅で死亡しているのを郵便配達人によって発見される。縊死であった。享年71歳。
主な著作は以下の通り。
小説集:『架空の庭』(1960年)、『兎と呼ばれた女』(1983年)、『失われた庭』(1994年)
エッセイ集:『静かな終末』(1977年)、『わたしのメルヘン散歩』(1977年)、『反少女の灰皿』(1981年)、『風通しよいように・・・』(1983年)、『野溝七生子というひと
詩集:『ことばの国のアリス』(1974年)、『アリス閑吟集』(1980年)
創作選集、作品集:『矢川澄子作品集成』(1998年)、『不滅の少女』(2001年)
その他絵本、編書、共著書等多数。翻訳も多くあり、ポール・ギャリコの作品、ジャン・ド・ブリュノフの『ぞうのババール』シリーズ、ルイス・キャロル『不思議の国のアリス』『鏡の国のアリス』(新潮版)などの仕事が有名。