「入浴の際、殊に貧血衰弱者は、凡そ盃半杯の醤油に、番茶五六勺を注ぐか、又は生鶏卵一個を割りて、稍々多目に醤油を入れたるものを飲みて入浴すれば浴後疲労を覚えず」 陸軍軍医で栄養学にも造詣深き明治人、石塚左玄の案出せし養生法だ。 つい先日、サウナで汗を流した後に池に入って溺死した、二十代男性のニュースを聞いて反射的に想起した。 いったい日本人というのは風呂好きな民族だけあって、それに因んだ健康術の探求も、相当古く且つ多い。 有名どころでは、曲直瀬道三の教えにもある。 「日本人は湯あみ再々してよし、然れども毎日垢をかくべからず。夫れは月の中五六度なるべし」 湯に浸かってもボディソープは用いない、肌を…