もうだいぶ前、2010年ごろに、フランス人のセルジュ・ラトゥーシュという人が書いた、「脱成長」についての本を読んだことがあります。何か理論的な根拠のようなものがあるのかと、読んでみたのですが、そういうものは、何も得られませんでした。ただ、その本のなかで紹介された一つの挿話だけが、記憶に残っています。先進国(ヨーロッパかアメリカ)の農業指導員が、発展途上国(たぶんアフリカあたり)に行って、こういうやり方でやれば、収穫を上げることができると、指導したところ、それを教わっていた、現地の人が、「なんでそんなにたくさん作らなければいけないのか?」と聞いてきた、という話です。私たちの世界では、生産性を上げ…