今週のお題「好きな小説」 人はいつだって愛されたいし愛したい。 愛のカタチは時代や価値観によって変わるけれども、愛されたい、愛したい欲求に苦しむのは人の常なのだろう。 愛されたいけど愛されない、愛したいけど愛しきれないから孤独に陥る。ときには命を落とす。誇張でも比喩でもなく、愛のために人は死ぬ。 「愛」と「孤独」はコインの裏表のように、本質的には同じだけど見せる姿が異なっているモノなのかもしれない。 「愛」と「孤独」の小説でまず思い浮かべるのが福永武彦の『花の草』だ。 自殺同然に死んだ男が遺した二冊のノートから、愛に破れ、孤独に生きた彼の半生を辿っていく。 研ぎ澄まされた理知ゆえに、青春の途上…