荒船風穴は、群馬県甘楽郡下仁田町にある蚕種貯蔵施設跡であり、国指定史跡に指定されている。
史跡名称は「荒船・東谷風穴蚕種貯蔵所跡」。
1905年、地元の養蚕農家である庭屋静太郎により建設された。
長野県を発祥とする天然の冷風を利用した風穴技術を研究し、日本で最大規模を誇る貯蔵施設として運営され、その取引先は全国に及んだ。
現在は町有地となっており、操業当時と変わらぬ冷風環境が維持されている。
2014年4月26日、「富岡製糸場と絹産業遺産群」のひとつとして、ICOMOSは「世界遺産に登録することがふさわしい」とする勧告をまとめた。
江戸時代まで蚕の飼育は気候に合わせた年内1蚕(春蚕)しかできなかったが、年間を通して涼しく、温度変化の少ない山間の風穴を利用することによって、人工的に蚕種を保存する技術が進み、明治時代半ば以降には年内2蚕、年内3蚕と増やすことができるようになった。また、夏蚕、秋蚕は農家にとって農閑期にあたり、飼育に都合がよかったことも急速に普及する要因となった。
さらに、風穴によって寒さを経験させることにより、孵化の時期をそろえることができるようになり、作業効率が著しく向上したことも風穴の効果として挙げられる。
ノートにとった講座の内容を整理しておくこととする。 講義概要 日本の養蚕は古代より年一回春季に行うのが一般的であった。だが明治時代になり生糸増産が求められ夏秋期にも養蚕を行う必要性が生じた。それゆえ冷涼な施設で蚕の卵を貯蔵し孵化の時期を調節する工夫を試みるようになった。蚕種の冷蔵保存をする施設として自然の冷気が得られる「風穴」が全国各地に作られるようになる。荒船風穴もその一種であるが、蚕種貯蔵能力は国内最大規模で110万枚を誇った。また富岡製糸場、田島弥平旧宅、高山社と技術交流し、連携していた。 【目次】 一般的な風穴の概要 荒船風穴 世界ではどうなのか 歴史的意義 講義終了後、荒船風穴まで行…