訓読 >>> 足(あ)の音せず行かむ駒(こま)もが葛飾(かづしか)の真間(まま)の継橋(つぎはし)やまず通はむ 要旨 >>> 足音を立てずに行く、そんな馬がいたらなあ。葛飾の真間の継橋を渡って、いつも彼女のもとへ通うことができるのに。 鑑賞 >>> 下総の国の歌。「真間の手児名」の伝説(巻第9-1807~1808参照)にかかわって歌われた歌といわれ、秘密の恋人のもとへひそかに通って行きたいと願う歌、あるいは、しばらく女性を訪ねなかった言い訳とも読めます。東歌らしいのは後者の方でしょう。 「駒もが」の「もが」は、願望。~あったらなあ。「葛飾」の地名は、東京都葛飾区、埼玉県北葛飾郡、またかつて千葉…