千円を機械にいれるとカードが出てくる。それを手にして待合の長椅子に座る。先客三名か。今日は二人体制だな、少し待つな、と足を組んだ。見慣れた風景だが壁の但し書きに目が行った。 「当店では角刈りとそれに相当する髪型のカットは受け付けておりません」と。 なぜか笑ってしまった。金を払うのだから注文通りやってくれ、といった野暮な話ではない。角刈りと言う言葉を少し懐かしく思い出したからだった。 角刈りにサングラス。するとショットガンが欲しくなる。角刈りにドスとなると腹に白いサラシを巻いてほしい。渡哲也に菅原文太、高倉健。そんな往年のスターが思い出された。スクリーンから男気が匂い出てくる俳優さんだった。 頭…