私はクリニックで看護師として働いている。なりたくてなった職業だが、日々の業務に忙殺されていると、仕事への理想や情熱はいつしか胸の奥へ奥へしまいこまれていってしまう。 『鹿鳴館の花は散らず』の主人公、鍋島栄子(ながこ)は、時代の荒波にもまれながらも、人の命を救う理想や情熱を持ち続け、赤十字看護学校の初代校長となった人物だ。 「鹿鳴館の花は散らず」 著 植松三十里 発行 株式会社PHP研究所 「鹿鳴館の花」と謳われる鍋島栄子は、夫の鍋島直大とともに、日夜、海外の要人をもてなすパーティーに明け暮れていた。 時は明治。欧米列強に対するためにも不平等条約の改正は国民の悲願であり、鹿鳴館はそのための舞台で…