昔東京で飲んでいた頃、歳上の大人たちがいつも言っていたことがある。 「帰ってから飲み直す」 家に着いたら何をするのかという会話になると、毎度「飲み直す」と答えていたダンディなおじさんがいた。 酒が強い奴が偉いという価値観で育ってきた世代だから、見栄を張っていたのかもしれない。 しかし実際に、そのおじさんが酒を飲んで酔っているところを見たことがなかった。 一方で俺はというと、お開きの雰囲気になる頃にはすでに2、3回吐いていた。 酒が好きだと言い張って歳上にノコノコ着いていき、奢ってもらっている身分で酒を吐くというのは失礼な話である。 だから酔っ払っても必死で平静を装ったし、もはや黙って座っている…