「子をなくしました母親の心の、 悲しい暗さがせめて 一部分でも晴れますほどの話をさせていただきたいのですから、 公のお使いでなく、 気楽なお気持ちでお休みがてらまたお立ち寄りください。 以前はうれしいことでよくお使いにおいでくださいましたのでしたが、 こんな悲しい勅使であなたをお迎えするとは何ということでしょう。 返す返す運命が私に長生きさせるのが苦しゅうございます。 故人のことを申せば、 生まれました時から親たちに輝かしい未来の望みを持たせました子で、 父の大納言《だいなごん》は、 いよいよ危篤になりますまで、 この人を宮中へ差し上げようと自分の思ったことをぜひ実現させてくれ、 自分が死んだ…