1904年生まれ、1993年没。広島市出身。1924年4月より京都で中原中也と同棲生活に入る。翌年3月に上京するも11月に中原と離別、小林秀雄との交際を深める。1928年には小林とも離別し、以降、映画女優などとして活躍する。1931年には時事新報社内の東京名画鑑賞会が主催した「グレタ・ガルボに似た女性」に当選。アジア・太平洋戦争後は信仰の生活に入る。 本人は目立った文学作品を残していないが、大岡昇平や青山二郎とも親しく、昭和初期の文学史を語る上で、貴重な脇役のひとりと言える。
中原中也との愛 ゆきてかへらぬ (角川ソフィア文庫)
◆◆◆この記事の目次◆◆◆ はじめに 月夜の浜辺 月夜の浜辺の中に出てくる「ボタン」の意味とは? 小林秀雄・長谷川泰子との三角関係 おわりに おまけ:関連書籍など はじめに 今週のお題「秋の歌」 気が付いたらすでに11月も中盤を過ぎていました。ここ数ヶ月は仕事に追われて、なかなかブログ記事を更新することも、購読ブログを読むこともままならぬ状態で、しかも公私においてトラブルが続いています。なんでこんなに物事がうまくいかないのだろう?と思って、ふと近くの神社に看板を見ると、どうやら今年は私にとっては前厄の年のようでした。前厄だからなのかあ・・・、と納得していましたが、何でも厄年のせいすることは、厄…
2月に山口県(一部福岡県)で訪れた場所についてまとめてみた。 もう4月ってことは気にしない。 防府天満宮 本当は1月に行こうと思っていたのだけれど、ずるずると予定を先延ばしにしていたら2月になっていた。お参りとお守りの返納のため。お祈りする内容をぼんやりとしか考えていなかったから、頭の中で唱える言葉がぐっちゃぐちゃになっていたような…。平穏に暮らせたらそれでいい。おみくじを引いたら大吉だった。大吉な年にできるようにしたい。 梅の花が咲いていた。春が近づいてきているらしい。 毛利博物館・毛利氏庭園 いつか行こういつか行こうと思っていた場所。ようやく行ってきた。 屋敷の中に博物館があるのだけれど、…
タイトル 「あなたにここにいて欲しい」(文庫版)著者 新井素子文庫 339ページ出版社 角川春樹事務所発売日 2012年10月11日 <<この作者の作品で既に読んだもの>>・今回の「あなたにここにいて欲しい」だけ<< ここ最近の思うこと >>以前勤めていた会社の先輩から、映画『羊たちの沈黙』をオススメされたから観てみたのね。バッファロービルのモノマネをしちゃうくらい気に入った作品だったけど、話の展開的にそれほど語り継がれるほどのものなのか?と疑問に思った。そのことを先輩に伝えると「あの時代にあんな作品を作ったから凄いんだ」と説明されたのね。なるほど確かに言われてみればそうかもって納得したよ。そ…
名前のない夜に月明かりはなく、白熱灯の明かりが部屋の全体を暖色に染めていました。中也さんの詩集を読みながら思うことは、私はこんなにも強く、夭折の天才詩人中原中也に会いたいと願っているのに、私の想いはこの先もずっと届くことはなく、こうして残された血肉をなぞりながら馳せると、そのような夜でありました。 朗読は毎日しています。毎日するようになりました。元々はわたくし、黙読にはひどく自信がありますと、おかしな主張をする明後日人間でありましたが、小さな表現者として学んでいく過程の中で、聴いてくれる人がいるという温もりは何よりの原動力となっていたのです。顔も名前も知らない貴方に向けて、私は朗読家として精一…
小林秀雄は日本の近代批評の確立者と言われ、文芸批評を文学の水準まで高めた批評家であると評価することができます。 小林の代表作には「無常という事」、「モオツァルト」、「ゴッホの手紙」、「本居宣長」などがありますが、思想的には、現代人と知識との間にある問題を論じつつ、人生がそのまま思想であったような人物に生涯注目し続けました。 この記事では、昭和の文壇の代表者・小林秀雄の生涯について書いていきます。生涯を振り返ることで見えてくることもあるかと思いますので、是非ご一読下さい。 1. 批評家・小林秀雄の生涯 ①誕生・家族 小林秀雄は1902年、東京・神田で生まれました。 出生時、父豊造は現東京工業大学…
先月の日記(9月24日から10月23日分) 10月24日木下龍也著『オールアラウンドユー』を読む。現代短歌の旗手の中でも『情熱大陸』にも出たりと代表的な若手の歌人であり、トップランナーとして短歌を引っ張っていっている感じがしている人。買ったまま読んでいなかったので、読んでみた。掲載されている短歌全体的に色気がある。穂村弘さんにも感じる色気、この感じはなんというかいわゆるモテる人が持つ匂いとかしぐさみたいなもの、繊細さといたずら心があって母性本能をくすぐるようなものだとそうではない側の人間としては感じるものだ。ようするにたいていの男性からするとうらやましい、と思えるものが短歌から溢れている。と思…
ずいぶん高低(たかひく)のあるスタンドが舞台に並び、一番上に照明をつけて、星のように光ってる。 今日は、『ベルウッド・レコード』の50周年の記念コンサートだ。ベルウッドって、1972年に正式に活動を始めたキングレコード傘下のレーベルなんだって。70年代のフォークミュージックのスターを輩出し、LPを90枚、シングルを48枚リリースしている。高田渡やあがた森魚、はっぴいえんどと六文銭くらいは私も知っているけれど、ちゃんと聴くのは初めてだ。 高田渡の息子、高田漣の歌う『コーヒーブルース』がしょっぱなで、高田渡のふかふかの黒い土のようなヴォーカルに対して、高田漣は、靄を照らす光線みたいに聡明な声である…
処女詩集『山羊の歌』刊行の2カ月前,長男文也が誕生.中原中也は詩作・翻訳に旺盛な活動を続ける.しかし,それは蝋燭の炎が燃え尽きる寸前の輝きに似ていた.彼の詩は,徐々にこの世では聞こえない音を浮かび上がらせるようになる.そして,文也の突然の死.不幸は宿命のように彼の上に舞い降りた….本書には「亡き児文也の霊に捧ぐ」という言葉とともに,中原中也が最後に編集した詩集『在りし日の歌』全篇と,同時期の代表作を精選.詩人最晩年の活動のすべてを示す――. おまへはもう静かな部屋に帰るがよい. 煥発する都会の夜々の燈火を後に, おまへはもう,郊外の道を辿るがよい. そして心の呟きを,ゆっくりと聴くがよい わず…
先月の日記(8月24日から9月23日分) 9月24日ウィリアム・フォークナー著/マルカム・カウリー編/池澤夏樹訳/小野正嗣訳/桐山大介訳/柴田元幸訳『ポータブル・フォークナー』 普通の小説を読むことはちょっとした小旅行に似ている。読者は数日だけ自分の家を離れて他の地に行く。大河小説を読むことは夏の数週間を避暑地で暮らすことになぞらえられるだろう。しかしフォークナーを読むことはそのままヨクナパトーファ郡に移住することである。広大な土地を案内され、多くの人びとに紹介され、有力な家系の先代や先々代の事績を聞き、近くの森を舞台にした伝説的な熊狩の話を聞き、この土地の没落と退廃についての嘆きを聞かされる…
夏日狂想 posted with ヨメレバ 窪 美澄 新潮社 2022年09月29日頃 売り上げランキング : 楽天ブックスで探す Amazonで探す Kindleで探す 出る本、窪美澄の直木賞受賞後初の小説「夏日狂想」(9/29)出ます。窪さんは受賞作のように現代文学の書き手の感が強いですが、これは大正から昭和にかけての文学界を舞台に一人の女性の人生を描いた物語です。アマゾンの紹介文を。
すっかり日が短くなり夕方には虫の音も聞かれるようになった。昨日は20年前に亡くなった部長の誕生日であったことを先程ふと思い出した。当時はワークライフバランスなど面倒くさいことは言われなかったので、ずっと一緒でよく夜中から飲みに行き仕事や学問的な疑問に関して色々と議論し、教えてもらった。昔、『科学の終焉』(科学の終焉(おわり) (徳間文庫) | ジョン ホーガン, 康隆, 筒井, 薫, 竹内 |本 | 通販 | Amazon)という本が出たときには銀座で朝まで議論したことを思い出す。めちゃくちゃ楽しかった思い出である。 さて、この夏は7月末に参加した日本アスペンの研修の影響もあり古典を大分読み、…
関東大震災後に知的空間へ登場 ※和辻・津田・村岡などによって日本に「思想史」という学問が確立しようとしていた時期 近代西洋に端を発する科学文化の圧倒的な影響の中で日本における思想的営為のあり方を真剣に模索 丸山眞男の近代日本における思想史的方法の形成の分類 ①福沢諭吉らの「文明論的思想史」 ②竹越与三郎らの「同時代的思想史」 ③井上哲次郎らの「国民道徳的思想史」 ④和辻哲郎・村岡典嗣らの「文化史的思想史」と津田左右吉・柳田国男らの「生活史的思想史」 ⑤「唯物史観的思想史」 小林は④の時代の知的雰囲気の中に青年期を送り、19世紀フランスの批判精神によって自意識の問題を突き詰め、同世代の⑤に切り込…