円覚寺に用があった。知り合いが珈琲を販売するというので、それを目当てに入場した。 円覚寺は広い。歴史も古い。ただ、禅宗の寺なので、奈良や京都の寺を見て育った関西の人間としては、少し新しい、と感じる。奈良時代と鎌倉時代の差がそこにはある。六百年以上の差だから大きい。 北鎌倉では閻魔様の仏像もよく見かける。人を殺める武士からの信仰があったそうだ。生前に閻魔様を崇めておけば、あの世で許してもらえるのではないか、という算段だろう。円覚寺にも閻魔様がいらっしゃる。その閻魔様の祀られている閻魔堂のそばには弓道場もある。 ここの弓道場には、「弓と禅」の著者であるオイゲン・ヘリゲルが日本人の師匠、阿波研造がヘ…