残念、腕が鳴る、と強がりを云えたのは十年ほど前までのことだ。 二十三区内も積雪三センチの恐れありと、ラジオでは予報していた。たしか積雪三センチとは、溶けて水となった状態で三センチという意味で、肉眼で視る雪の深さはもっと大仰な光景になるはずだと、小学五年か六年の理科を思い出して、覚悟した。スコップだのブリキ塵取りだの、雪掻き装備をすぐ手に取れる場所に出しておいた。 かつて積雪があったときには、拙宅の駐輪スペースと拙宅前の道路のほかに、コインパーキング側は勘弁してもらうとしても、向う三軒片隣のご門前から道路までの短い距離くらいは、私が雪を掻いたり寄せたりしてきた。春には拙宅の桜の花びらが、年末には…