私的旅行記である。なので、誰かの旅行のための参考になったり、役に立ったりするかとなるとそれは別だ。 僕らは友近の旅のメモから何を読み取るか。それは旅をすることによる発見についてだ。旅館やホテルが良かった。温泉の泉質が良かった。メシがうまかった。そこじゃない。わざわざ移動し、場所が変わることで、日常と離れ、わずかな瞬間かもしれないが、頭の中にいつもある考え事が離れる。そのために、行く。次の瞬間に日常に引き戻されたとしても、もう一度浮かんだ日常のことがらは、それまでとは連続ではない。あえて、日常を非連続にするための道具としての旅なのだ。 旅とともにある人生を送る友近は、芸人稼業であり、定期的に住ま…