私が本を自分で選んで読むようになったのは、20代の終わり、ほぼ30歳だった。 私が自分の人生で最も嬉しいのは自分だけの本棚ができたことである。元々本好きの人には何を言ってるのか分からないかもしれないが、私は人が勧めた本をそのまま読む人間だった。自分で選ぶ本ももちろんある、だけど自分が何を好きだかいまいちわからない、そんな10代20代だった。 20代の終わりに都市部に引っ越してきた。元々郊外に住んでいた。都内の大学に通っていたし、何か用があればすぐ都内に出る生活をしていたが、とても帰りの列車が混む。いつもそれに急かされていた。 都市部の生活でまずしたのは近所の大学の図書館に通うことだった。そこか…