十歳の事故 サザンのデビュー曲を、十歳で聴いてしまった。 事故のようなものだったと思う。意図して出会ったわけではない。ただ、あの時代に子どもをやっていれば、勝手に耳に飛び込んでくる音楽というものがあった。テレビからか、ラジオからか、誰かの家の窓からか。「勝手にシンドバッド」は、そういう種類の侵入の仕方をしてきた。 十歳というのは、感受性に関して言えば、たぶんいちばん無防備な年齢である。守るべき自我もまだ薄く、何かを既に聴いてしまったという履歴もない。そこに、あの曲が入ってきた。 以降、僕の耳の基準は、あの曲によって決められてしまった。 それ以降はロスタイムみたいなもの その後、どれだけ多くのア…