JR東日本が1992年(平成4年)から製作した近郊型電車の系列。
全車が2階建て車両(ダブルデッカー)となっているのが最大の特徴。
1980年代から、好景気による都心部の地価上昇により、遠距離通勤が激増した。
東海道線も例外ではなく、70〜80kmにも及ぶ距離を、1時間以上かけて通勤する人が多数おり、特に通勤時間帯の混雑は酷く、ましてや着席通勤など望むべくもなかった。
そこで、遠距離通勤客に対する着席通勤を目的として、全車2階建て構造により、座席定員を増やすことが検討された。
既に2階建てグリーン車が営業運転に使用されていたが、これを編成丸ごと2階建てとしたものである。
10両編成4本が田町電車区(現在の田町車両センター)に配属されている。
なお、10両編成を構成する「基本編成」のほか、当初の予定では5両編成を構成する「付属編成」の製作も考えられていたが、2005年現在、付属編成は製作されておらず、基本編成のみが存在する。
製作当初は、東海道線の快速「アクティー」や、座席定員制の通勤列車「湘南ライナー」に投入された。2001年(平成13年)12月より運転を開始した「湘南新宿ライン」にも投入され、主に新宿〜逗子間で使用された。
臨時列車としては、中央本線の臨時快速「ホリデー快速ビューやまなし」に使用された。
しかし、2扉車であること、2階建て構造であること、などの要因により、乗降に時間がかかるという欠点があり、次第に運用の幅を狭めることとなった。その後、E231系(近郊型仕様)が投入されたことにより、「湘南新宿ライン」からは撤退した。
2005年(平成17年)8月現在、215系の運用は以下の通り、平日は3往復、土曜・休日は臨時1往復となっている。
乗車券だけで乗れる215系は、土曜・休日の「ホリデー快速ビューやまなし」のみとなっている。