春音巡り2026 #3 松田聖子『Candy』――桜の風にそっと寄り添う、静かな回復のアルバム 透明な声が落ちるたび、胸の奥のこわばりが静かにほどけていく。 2026年の耳で聴くと、この“弱さの強さ”はより鮮明に響き、 春の揺らぎとそっと重なり合う。 その静けさの奥にある風景を辿るように、 そっと1982年へと視線を向けてみる。 1982年の街を包んでいた、あの柔らかな光。 人々のざわめきの向こうで、透明な粒子が静かに舞っていた時間。 『Candy』が差し出すのは、その喧騒から半歩だけ離れた、 午後の影がゆっくり伸びていく小さな部屋のような世界だ。 彼女の声は、触れようとすると静かにほどけてい…