特定の携帯電話会社が発行する、契約者情報が登録されているICカード(SIMカード)の制限を解除すること。SIMロックフリー。
NTTドコモの山田隆持社長が2010年7月6日、2011年4月以降に出荷するすべての携帯端末に、「SIMロック」を解除できる機能を盛り込む方針を明らかにした。
2014年7月14日、総務省によりSIMロック解除の義務化を正式に決定。2015年度にも一部の端末で開始*1。
米国では著作権局の判断により、2013年からユーザーによるSIMロック解除は違法となった。2014年8月1日、バラク・オバマ大統領が「SIMロック解除合法化法案(Unlocking Consumer Choice and Wireless Competition Act)」に署名を発表。
SIMカードと呼ばれるICカードに携帯電話会社がロックをかける状態。SIMカードとは、携帯電話会社が発行するカードで、電話番号などの契約者情報を記録したもの。これをロックすることによって、携帯電話会社にも、ユーザーにもメリットがもたらされていたが、世界標準とかけ離れた日本独自の制度であった。
SIMロックとは携帯電話用のSIMカードを特定のキャリアでしか使えないようにして顧客を囲い込む仕組みと同義であると言え、これについては
世界標準に統一したことによって、経済的に成功した会社に韓国のサムスンやLG電子などがある。
韓国では2.5世代と定義される、世界標準の方式を全面的に採用して孤立状態から脱却したのを契機に、北米市場の参入に成功し現在の成功の基となった。
今回のドコモの発表は、明らかにiPhoneやiPadで大躍進を続けているSoftbankに対する宣戦布告であると見て取れる。当時まだiPhone取り扱い前のドコモからすれば、SIMロックを解除することによって、ドコモのキャリアを使ってiPhoneやiPad端末の利用を可能にし、ドコモと比べて通信ネットワークの品質が劣るSoftbankから顧客を奪い取ろうとする戦略である。対するSoftbankはiPhoneやiPadをドコモから死守する姿勢を見せており、孫社長自信も「電波改善宣言」を打ち出した。宣言に対する具体的な方策としては
などであり、SIMロック解除の標的からiPhoneをそらすために、あらゆる手を打っている。
SIMロック解除で市場を活性化しようとするなら、全通信事業者が対応する必要がある。とはいえ、通信規格が異なるKDDIはどう頑張っても現状では「蚊帳の外」だ。従って今回の全機種解除宣言は、明らかにSoftbankにあてて出されたものであると判断できる。
次世代通信サービスの「LTE」に移行すればKDDIも規格が統一されると言われているが、LTEは当初はデータ通信のみで、音声通話は既存の技術を使う。そのため、LTEが導入されてもSIMロック解除の効果が出るまでに時間がかかる。