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読闘食闘日記

17/04/15 チベット映画の現在

[]TUFS Cinema チベット映画特集@東京外大府中キャンパス

東京外語大府中キャンパスでのチベット映画「無料」上映会。アクセス悪い場所での昼12時開場というのは、ふだんその時間にようやく起床する自分にはつらいのですが、映画2本にトークイベント付きなので、がんばって行ってみました。

【1】1本目の『ティメー・クンデンを探して』

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えーと、ふだんより早起きしたせいか、ほとんど寝てしまいました。チベット版「幸福の王子」の出演者を探すロードムービーなんですが、映画に起承転結あるストーリーを求める方なので、ロードムービーが苦手で。

ただ、時々目覚めた時の画面、画角が秀逸でした。がらんとしたカラオケパブでの倦怠感漂う宴席が正面からしばらく映り続けるシーンは最後の晩餐の絵のパロディのようだし、チベット人地区での中国版団地が並ぶシーンは松本大洋のマンガみたいだし。

監督自身によるノベライズが出ているので、それを読んでみようと思います。

【2】トークイベント「チベット映画人のリーダー:ペマ・ツェテンとソンタルジャ」

1本目と2本目の間に配給会社の東京フィルメックスの市山尚三さんと、外語大でチベット研究をしていてチベット人監督の映画の字幕監修もしている星泉先生に、司会は今月29日より岩波ホールで封切、上海国際映画祭で史上最年少でアジア新人賞・最優秀女優賞を受けたチベット現代映画『草原の河』配給会社の武井みゆき代表のトーク。これがメイキング好きにはかなり面白い。

・ここ最近の秀逸なチベットの現代を描く映画の監督3人は、チベット人監督が群雄割拠してる中から出てきた精鋭かと思いきや、先兵だった

・今日の2本の映画の監督、ペマ・ツェテンを知ったのは、ジャ・ジャンクー(中国人監督で『山河ノスタルジア』など)が「なんか面白い作品撮るやつがいる」と言ってきたから

・ペマ・ツェテン監督の実質的デビュー作『静かなるマニ石』を生前のキアロスタミ監督が絶賛していたが、たしかにいろいろとキアロスタミっぽい血筋を感じる(これは私も感じましたが、キアロスタミが厳しい状況を明るいほうへ引っ張る撮り方なら、ペマ・ツェテン監督は重くてつらい状況をごろんとそのまま寄越してくる感じ)

・同じ監督でもカメラマンが違うとこんなふうに違う、とか。

【3】2本目は『オールド・ドッグ』

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ネタバレだけど、最後の長回しでお父さんが自殺してしまうのでは、とハラハラした。13年の犬との時間を自ら閉ざさざるをえないほど追い詰められているのが、長閑な風景と対称的でつらいものがある。そしてそれまでいかにも実際にありそうに描かれていた出来事が、それだけではなく、中国におけるチベット人の現在を暗喩していたことに気づかされる。

なお、22日の土曜日にも別の作品でチベット人監督の映画上映会があります。休日にそんなに早く起きられないよ〜という方には、特に2本目がおすすめですが、1本目と、そのあとのトークショーとセットだと、より立体的に現代チベットの生活と世界が脳内に立ち上がってくると思います。

無料ですし、有料でもこんな組み合わせにトークショー付きなんて贅沢な上映会はなかなかないと思いますので、みなさまぜひ。

TUFS Cinema チベット映画特集(@東京外大府中キャンパス)

http://www.tufs.ac.jp/event/tufs_cinema_20170405.html

17/04/09 噎せかえるほどの押井愛

[]『ゴースト・イン・ザ・シェル』@3D・字幕版・IMAX・TOHOシネマズ新宿

見る前後にこの景色が見られるのは新宿IMAXでの余禄。

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【実写攻殻ネタばれ注意】

というか、そもそもバラすネタがあるのか? と既視感の嵐に思う実写攻殻ですが、まあまあ楽しめましたよ。そしていろいろと恐れていた事態は起こらなかったけど、別の事態が発生していましたw

◆全体的に

ルパート・サンダース監督の、噎せかえるほどの押井守プロダクションIG攻殻愛の奔流にさらされます。夏コミ攻殻サークルで押井×サンダース本が出ても驚かない!

・アニメ版攻殻シリーズ全部入りでリミックスしてベースにブレードランナーをたっぷり効かせてるので既視感でクラクラする

・武装警官なんて実写版『紅い眼鏡』そっくりだし。マンションの名前とか、どこまで押井好きなのか

・それでも細かいところで辻褄合わせしてあるのは誠実な脚本だなー、けっこうよくできてると感心

・日本でロケしなかった理由は風景以外にも大ありっていうのがよーくわかるほど、とにかくゴージャスにお金かかってます

・予想通りたけしのとこだけたけしヤクザ映画。映画冒頭の役者紹介名に「ビート」がついてたのはつまりそういうことなのか? 出かけるところ、防戦するところ、アウトレイジです。ま、アタッシェケースはそう使うよね、みたいな

川井憲次からどう脱却するのかと思ってたら、しないんかい!

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◆以下細かい部分

義体なのにムチムチすぎないか……?

・夫の人「ごみ回収車の人に見せる写真は余白の大きいやつにしてほしかった……」

わたし「あれは『イノセンス』でバトーが女の子の写真を見つけるところをどーしてもやりたかったんでしょ」

・夫の人曰く「しかしあれだけ押井愛にあふれてるのに、カセットを濡れたとこに捨てるとこでジュッて言わなかったよなー。薬莢も飛んでなかったし。押井好きならそこのところはあばばばば!」とメガネ(うる星やつらの)降臨

・今後、母である桃井かおりを訪ねるときの会話をシミュレーションするとギャグにしかならない。

桃井「またそんなゼリー飲料みたいなの食べて! ちゃんといろんなもの食べなさい。ほら、お芋の煮っ転がし、作っといたわよ」

素子「えっと、その」

桃井「繊維もとらないと便秘になってお肌が荒れるわよ」

素子「えっと……」

桃井「ところであなた今どんなお仕事してるの?」

素子「えっと」

桃井「言えないような仕事なの?」

素子「言うとお母さんが危k」

桃井「無法区域の仲間とのやくざな仕事じゃないでしょうね?」

素子「(えっとまあやくざな仕事っていうのは当たらずとも遠からずっていうか、上司に会ってもらえばやくざだなって思うよねきっと)…大丈夫だから」

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ある意味、ゴーストを見たよね……。まあでも吹き替えでもう一回は確実に見るんですけどね。

17/03/30 ばちあたり神様BL

[]ユーリー・ノルシュテイン監督特集上映「アニメーションの神様、その美しき世界」@シアター・イメージフォーラム

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イメージフォーラムで3/31までなので、あわてて見てきた。昔見た「霧の中のハリネズミ」「話の話」を脳内で美化していてがっかりしたらどうしよう、と思っていたら、前夜なかなか眠れなかったのだが、実際、ふたたひスクリーンで見ると、デジタルリマスターされる前もこの美しさだったと思うけど? という感じ。

しかし、初めて見る作品も合わせてノルシュテイン一気に6本というのは無茶かもしれない。美の洪水で脳の神経が持たず、眠くなってしまうのだ。その意味では見たことのある作品が後半にあるのは、よかったのか悪かったのか……。

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今回、いちばん戦慄したのはロシア・イコンのフレスコ画をアニメ化した「ケルジェネツの戦い」。たぶんこの作品の圧倒的な美で以って、だいぶ神経回路を焼かれたと思う。映画館のスクリーンで見られてよかった。

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ところで「霧の中のハリネズミ」、昔はそう思わなかったけど、今日見たらえらいBL妄想捗る内容ですね。だってあのクマのハリネズミへの心配ぶり! 「んもう、どこ行ってたのよっ、心配したんだからあ!」みたいなベア系な感じで、それまでの美しい世界が吹っ飛びました。しかもハリネズミは美しい白馬のこと思い出してるし、こりゃこの後荒れるな……みたいな。

17/03/23 永遠の恋人たち

[]ルキノ・ヴィスコンティ『家族の肖像』@岩波ホール

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同じヴィスコンティの『ベニスに死す』と、ルネ・クレマンの『太陽がいっぱい』を思わせる。どんな美女や美少女をキャスティングしても、やっぱりヘルムート・バーガーだけがヴィスコンティにとっての主役で女神だというのが、大画面&デジタルリマスターされた美しい映像からばりばり伝わる。

娘役がデビュー当時のエリカ様を彷彿とさせたり(いや、逆なんだけど)、侯爵夫人に魔夜峰央『ラシャーヌ』の、カイヌンの眼で美少年をコレクションしている夫人の原型を見たり、そもそもヘルムート・バーガー魔夜峰央作品に出てくる一筋縄ではいかない美青年を思わせる(いやだから逆なんだけどね)。

衣装や美術が素晴らしく行き届いているのも、デジタルリマスターされてさらによくわかるようになった。岩波ホールでの上映はそろそろ終わりかもしれないので、機会を逃している方はぜひ!

17/02/23 ベジャールの倒錯を堪能!

[][]東京バレエ団<ウィンター・ガラ>@Bunkamuraオーチャードホール

すこし時間が経ってしまったのですが、2月22日の東京バレエ団<ウィンター・ガラ>の「中国の不思議な役人」(以下「役人」)と「イン・ザ・ナイト」(以下「夜」)の感想を。すでにオーレリ・デュポンの「ボレロ」の感想を先にあげていますが、上演順は

・役人→夜→ボレロ

でした。

もともとの上演順は

・夜→役人→ボレロ

だったのが、配役変更があって上演順も変わったとのこと。後述しますが、最初の上演順より結果としてこのほうがよかったと思います。

[][]「中国の不思議な役人

「役人」は、これまで何度か見たときには、宝塚のレビュウの衣装のようにスパンコールと羽根のついたレオタードを着て男が演じる「娘」役は、女性に見えなくもない体格の男性ダンサーが演じていることが多かった記憶があるのですが、22日の公演では明らかに男性とわかるムキムキの腕と脚が華やかなレオタードからにゅっとのびていて、さらにその姿でビッチな素振りが強調されているのが、ベジャール作品の退廃と倒錯をよく表していて、これまでのこの演目への印象がだいぶ変わりました。

タイトルロールを踊ってきた木村和夫さんの最後の「役人」公演ということで、演出もいつもより力が入っていたのでしょうか?(なお翌日23日は女性にも見えそうななよやかな男性ダンサーによる「娘」だったとのこと)

木村和夫さんの「役人」を見るのはたぶん2度目くらいだと思うのですが、登場するなりやはり異物っぷりが半端なく、得体の知れなさにおいて、ゴーレムやキョンシーをも超えるかという恐ろしさでした。

首領役の柄本弾さんはちょっと悪人の頭にしてはハンサムすぎないか? と思ったり。個人的には23日の森川茉央さんの首領役の方が好みかも。以前のザハロワ×ボッレの「ジゼル」でのヒラリオン役の野卑な演技がすばらしかったので、22日にジークフリート役で出てきた金髪のままで、首領のスーツを着てワルさを発揮してほしいな〜、なんて思ったり。

なお、1階9列目の席が、オケピットから席が始まっていればの話で、実質的には4列目だった件に関して、夫の人は開幕前は

「前過ぎた。デュポンたんのトウが見えない」

と、ぶつぶつ言っていたのに、「役人」が終わったら

「いやー、この演目は近くで見るとよりベジャールの変態性がよくわかってイイね」

とご満悦。さらに

「東京バレエ団は芸術監督が女性にかわってから、いろいろよくなったよね。斎藤友佳理さんはきっとBL好きに違いない!」

ワクテカしていました。

[][]「イン・ザ・ナイト」

それぞれの衣装の素敵さと、リフトでの蝶が舞うようなひらひら感、ブラウリオ・アルバレスさんの王子様っぷりにうっとり。うっとりできたのも、ショパンを弾く松木慶子さんの演奏がきちんとしていたおかげ。世界バレエ・フェスなどでがたついたショパンの生演奏にがっかりさせられることが多かったので、一安心。

で、上演順ですが、「役人」で「頽廃! 倒錯!」とキャーとなったあとに「夜」でクールダウンして「ボレロ」へ、という流れはとてもよかったと見終えてから思ったのでした。

[]cuisine et vin aruru(キュイジーヌ エ ヴァン アルル)

東京文化会館でバレエを見た後は、予約できれば湯島ワイン食堂パパンに行くのですが、今回Bunkamuraなので、新しくお店を開拓。cuisine et vin aruruという小さなビストロです。味は意外と薄味で、素材のよさが引き立つ感じ。健康に良さそうなフランス料理! わたしはけっこう楽しめました。特にシャルキュトリー盛り合わせが加工肉好きとしてはたまらない!

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