Hatena::ブログ(Diary)

読闘食闘日記

17/05/03 子役というより女優……!(白目

[]『草原の河』@岩波ホール

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とにもかくにも主演のヤンチェン・ラモの演技がすごい。『ミツバチのささやき』のアナ・トレントを凌駕する、子役というより女優な演技。冒頭、お父ちゃんが嘘をついている時の目つき、顔つき! いま中学生くらいだが、どうしているのだろう。

映画自体は、驚愕の子役女優ヤンチェン・ラモという素材の良さを活かして自然に撮っているようでいて、実のところ隠し包丁のように演出の技巧の凝らされた作品だった。台詞が削ぎ落とされているのに確実に伝わるのは、演出の妙。文革の影響をそこまでは描いていいんだ、と思ったのも発見。

見終えてからオーレオーレでゆっくりと人参と胡桃のミモザ風、鯖と野菜の白ワイン蒸し、羊肩ロースのロースト、甲烏賊とスナップえんどうのアヒージョ、フルーツタルトを食べながら、夫の人と語り合う。

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なお、その夫の人の鑑賞直後の様子:

「ヤンチェン・ラモ萌え〜〜」

「バイクにお坊さまが乗るシーンで、法衣が気になって気になって(同じ監督の『陽に灼けた道』のエピソードによるもの)」

「お父ちゃん、もっとしっかりして。第二子も生まれるんだし」

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17/04/30 実写攻殻はぜひ吹替で!

[][]Howling in the Night 2017―押井守、戦争を語る―@六本木ヒルズ

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昨日は毎年恒例、そのために休みを申請してる、押井守まつりこと、「Howling in the Night 2017―押井守、戦争を語る―」の日。実写攻殻をメディアで激賞してたのでその裏とか撮影現場土産話と、タイトルどおりいま現在の状勢についての話などを楽しみに出かけました。

実写攻殻に関しては、あれは吹き替えで見るものですね。というか、吹き替え版は、押井守自身の求める、役者もその存在感も映像も声優の演技力も、すべて素材として使って映画を作り上げるということの、一つの完成形になっているのでは、と感じました。

吹き替え版声優さんが載っているかとパンフレット買ったのですが、それは載っていなかったけど、押井守の寄せている2ページにもそこはかとなく、その羨ましさが漂っていたような。

なお、今年は岡部いさくさんどうだろう、と心配してましたが、無事、お話が聞けました。毎年なぜか、どうだろう、という状勢になる、というのは、もはや日本もとっくに、戦争から遠く離れた国などではなくなっている、ということだと思います。

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17/04/15 チベット映画の現在

[]TUFS Cinema チベット映画特集@東京外大府中キャンパス

東京外語大府中キャンパスでのチベット映画「無料」上映会。アクセス悪い場所での昼12時開場というのは、ふだんその時間にようやく起床する自分にはつらいのですが、映画2本にトークイベント付きなので、がんばって行ってみました。

【1】1本目の『ティメー・クンデンを探して』

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えーと、ふだんより早起きしたせいか、ほとんど寝てしまいました。チベット版「幸福の王子」の出演者を探すロードムービーなんですが、映画に起承転結あるストーリーを求める方なので、ロードムービーが苦手で。

ただ、時々目覚めた時の画面、画角が秀逸でした。がらんとしたカラオケパブでの倦怠感漂う宴席が正面からしばらく映り続けるシーンは最後の晩餐の絵のパロディのようだし、チベット人地区での中国版団地が並ぶシーンは松本大洋のマンガみたいだし。

監督自身によるノベライズが出ているので、それを読んでみようと思います。

【2】トークイベント「チベット映画人のリーダー:ペマ・ツェテンとソンタルジャ」

1本目と2本目の間に配給会社の東京フィルメックスの市山尚三さんと、外語大でチベット研究をしていてチベット人監督の映画の字幕監修もしている星泉先生に、司会は今月29日より岩波ホールで封切、上海国際映画祭で史上最年少でアジア新人賞・最優秀女優賞を受けたチベット現代映画『草原の河』配給会社の武井みゆき代表のトーク。これがメイキング好きにはかなり面白い。

・ここ最近の秀逸なチベットの現代を描く映画の監督3人は、チベット人監督が群雄割拠してる中から出てきた精鋭かと思いきや、先兵だった

・今日の2本の映画の監督、ペマ・ツェテンを知ったのは、ジャ・ジャンクー(中国人監督で『山河ノスタルジア』など)が「なんか面白い作品撮るやつがいる」と言ってきたから

・ペマ・ツェテン監督の実質的デビュー作『静かなるマニ石』を生前のキアロスタミ監督が絶賛していたが、たしかにいろいろとキアロスタミっぽい血筋を感じる(これは私も感じましたが、キアロスタミが厳しい状況を明るいほうへ引っ張る撮り方なら、ペマ・ツェテン監督は重くてつらい状況をごろんとそのまま寄越してくる感じ)

・同じ監督でもカメラマンが違うとこんなふうに違う、とか。

【3】2本目は『オールド・ドッグ』

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ネタバレだけど、最後の長回しでお父さんが自殺してしまうのでは、とハラハラした。13年の犬との時間を自ら閉ざさざるをえないほど追い詰められているのが、長閑な風景と対称的でつらいものがある。そしてそれまでいかにも実際にありそうに描かれていた出来事が、それだけではなく、中国におけるチベット人の現在を暗喩していたことに気づかされる。

なお、22日の土曜日にも別の作品でチベット人監督の映画上映会があります。休日にそんなに早く起きられないよ〜という方には、特に2本目がおすすめですが、1本目と、そのあとのトークショーとセットだと、より立体的に現代チベットの生活と世界が脳内に立ち上がってくると思います。

無料ですし、有料でもこんな組み合わせにトークショー付きなんて贅沢な上映会はなかなかないと思いますので、みなさまぜひ。

TUFS Cinema チベット映画特集(@東京外大府中キャンパス)

http://www.tufs.ac.jp/event/tufs_cinema_20170405.html

17/04/09 噎せかえるほどの押井愛

[]『ゴースト・イン・ザ・シェル』@3D・字幕版・IMAX・TOHOシネマズ新宿

見る前後にこの景色が見られるのは新宿IMAXでの余禄。

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【実写攻殻ネタばれ注意】

というか、そもそもバラすネタがあるのか? と既視感の嵐に思う実写攻殻ですが、まあまあ楽しめましたよ。そしていろいろと恐れていた事態は起こらなかったけど、別の事態が発生していましたw

◆全体的に

ルパート・サンダース監督の、噎せかえるほどの押井守プロダクションIG攻殻愛の奔流にさらされます。夏コミ攻殻サークルで押井×サンダース本が出ても驚かない!

・アニメ版攻殻シリーズ全部入りでリミックスしてベースにブレードランナーをたっぷり効かせてるので既視感でクラクラする

・武装警官なんて実写版『紅い眼鏡』そっくりだし。マンションの名前とか、どこまで押井好きなのか

・それでも細かいところで辻褄合わせしてあるのは誠実な脚本だなー、けっこうよくできてると感心

・日本でロケしなかった理由は風景以外にも大ありっていうのがよーくわかるほど、とにかくゴージャスにお金かかってます

・予想通りたけしのとこだけたけしヤクザ映画。映画冒頭の役者紹介名に「ビート」がついてたのはつまりそういうことなのか? 出かけるところ、防戦するところ、アウトレイジです。ま、アタッシェケースはそう使うよね、みたいな

川井憲次からどう脱却するのかと思ってたら、しないんかい!

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◆以下細かい部分

義体なのにムチムチすぎないか……?

・夫の人「ごみ回収車の人に見せる写真は余白の大きいやつにしてほしかった……」

わたし「あれは『イノセンス』でバトーが女の子の写真を見つけるところをどーしてもやりたかったんでしょ」

・夫の人曰く「しかしあれだけ押井愛にあふれてるのに、カセットを濡れたとこに捨てるとこでジュッて言わなかったよなー。薬莢も飛んでなかったし。押井好きならそこのところはあばばばば!」とメガネ(うる星やつらの)降臨

・今後、母である桃井かおりを訪ねるときの会話をシミュレーションするとギャグにしかならない。

桃井「またそんなゼリー飲料みたいなの食べて! ちゃんといろんなもの食べなさい。ほら、お芋の煮っ転がし、作っといたわよ」

素子「えっと、その」

桃井「繊維もとらないと便秘になってお肌が荒れるわよ」

素子「えっと……」

桃井「ところであなた今どんなお仕事してるの?」

素子「えっと」

桃井「言えないような仕事なの?」

素子「言うとお母さんが危k」

桃井「無法区域の仲間とのやくざな仕事じゃないでしょうね?」

素子「(えっとまあやくざな仕事っていうのは当たらずとも遠からずっていうか、上司に会ってもらえばやくざだなって思うよねきっと)…大丈夫だから」

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ある意味、ゴーストを見たよね……。まあでも吹き替えでもう一回は確実に見るんですけどね。

17/03/30 ばちあたり神様BL

[]ユーリー・ノルシュテイン監督特集上映「アニメーションの神様、その美しき世界」@シアター・イメージフォーラム

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イメージフォーラムで3/31までなので、あわてて見てきた。昔見た「霧の中のハリネズミ」「話の話」を脳内で美化していてがっかりしたらどうしよう、と思っていたら、前夜なかなか眠れなかったのだが、実際、ふたたひスクリーンで見ると、デジタルリマスターされる前もこの美しさだったと思うけど? という感じ。

しかし、初めて見る作品も合わせてノルシュテイン一気に6本というのは無茶かもしれない。美の洪水で脳の神経が持たず、眠くなってしまうのだ。その意味では見たことのある作品が後半にあるのは、よかったのか悪かったのか……。

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今回、いちばん戦慄したのはロシア・イコンのフレスコ画をアニメ化した「ケルジェネツの戦い」。たぶんこの作品の圧倒的な美で以って、だいぶ神経回路を焼かれたと思う。映画館のスクリーンで見られてよかった。

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ところで「霧の中のハリネズミ」、昔はそう思わなかったけど、今日見たらえらいBL妄想捗る内容ですね。だってあのクマのハリネズミへの心配ぶり! 「んもう、どこ行ってたのよっ、心配したんだからあ!」みたいなベア系な感じで、それまでの美しい世界が吹っ飛びました。しかもハリネズミは美しい白馬のこと思い出してるし、こりゃこの後荒れるな……みたいな。