じじぃの「科学・芸術_297_映画『リンカーン』」

映画「リンカーン」本予告 動画 Youtube
https://www.youtube.com/watch?v=6xTvZNP4_no
 Lincoln's Humor

リンカーンのジョーク アメリカ歴代大統領研究ポータル
リンカーンは生真面目な人だったという印象を持たれることが多いが、必ずしも生真面目な面ばかりではなかった。リンカーンは好んでジョークを口にした。
中には以下のような卑猥なジョークもあるが、ポルノが氾濫している今の世の中からするとまだ大人しい内容だと思う。今の我々から見ると大人しい内容であっても、日本とは違い、宗教的に厳格な面があるアメリカでは、聖職者をネタにしていることからすると、十分に卑猥なジョークだと言える。
http://www.american-presidents.info/AT28.html
『映画と本の意外な関係!』 町山智浩/著 インターナショナル新書 2017年発行
リンカーンのユーモア (Lincoln's Humor) より
スティーブン・スピルバーグ監督の『リンカーン』(2012年)は奇妙な伝記映画だ。リンカーンといえば「人民の、人民による、人民のための政治」で有名なゲティスバーグの演説、それに奴隷解放宣言、そして暗殺だが、この映画には、そのどれも画面には登場しない。
描かれるのは、奴隷制を永久に禁止する合衆国憲法修正第13条を下院議員で通過させるまでのほぼ1ヵ月の駆け引きだけなのだ。
奴隷制もしくは自発的でない隷属は、アメリカ合衆国内およびその法が及ぶ如何なる場所でも、存在してはならない」
これを憲法に加えない限り、奴隷解放宣言も効力を持たない。しかし、憲法改正には上院・下院それぞれの議会の3分の2以上の賛成を必要とする。当時は南北戦争の最中で、北部連邦政府は奴隷廃止を求める共和党南部連合奴隷制存続を求める民主党に支配されていたが、北部の下院も3分の1の議席民主党議員に占められていた。彼らの票を獲得するため、リンカーンはあらゆる手段を使う。閣僚のポストを約束したり、現金で買収したり、その裏工作ぶりは「正直エイブ」と綽名(あだな)された大統領のイメージとは正反対だ。
「コンパスは北を指すが、目的地までの間に沼地や砂漠があることは教えてくれない」
リンカーンは言う。奴隷解放という理想ははあっても、その実現には、困難を突破する具体的な策と実行力が必要なのだ。
……という『リンカーン』の本筋の部分は映画を観てもらうとして、ここではリンカーンの「言葉」、彼が劇中で何度も口にするジョークについて考えてみる。
映画は、ゲティスバーグの演説の直後、若き黒人兵とリンカーンダニエル・デイ=ルイス)の会話から始まる。彼は南部の農園から脱走し、北軍に身を投じて自由のために戦う元奴隷だ。これからは好きな職業に就ける。床屋はどうだろう、という話になって、リンカーンは言う。
「私の髪をうまく切ってくれる床屋はいないよ」
「そういえば、大統領閣下は、白人にしてはずいぶんくせっ毛ですね」
「こないだも理髪師が絶望して首をくくったよ」
リンカーンは、ごわごわした毛、落ちくぼんだ目、額の大きなイボ、蜘蛛のように細長い手足をよく自虐的にジョークにした。
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伝えられるリンカーンのジョークには下ネタが多い。リンカーン北軍の最高司令官だったジョージ・マクレラン将軍の判断力のなさに失望していた。ある日、将校用の簡易トイレを作っていた兵士がリンカーンに「穴はひとつにしましか? ふたつにしますか?」と尋ねた。リンカーンは「ひとつにしてくれ」と言った。
「ふたつにすると優柔不断のマクレランはどっちにすればいいか迷っているうちに漏らしてしまうからな」
大統領のジョーク好きに手を焼いたエドウィン・スタントン陸軍長官は、
「あなたはどうして、いつもジョークばかり言ってるんですか?」
と尋ねたことがある。リンカーンはこう答えたという。
「笑わないと死んでしまうからだよ」
それはジョークではなく、本当に彼は笑わないと死ぬ病気だった。
ジョシュア・ウルフ・シェンク著『リンカーン――うつ病を糧に偉大さを鍛え上げた大統領』(06年)によると、リンカーンは生涯、鬱病と闘ってきた。自殺をしようと銃を持って森に入り、通りかかった人に止められたこともあった。
シェンクによるとリンカーンの鬱はまず遺伝的なもので、両親の家系がともに鬱病の傾向が強かった。父は飲酒どころかダンスも罪と考える厳格なキリスト教徒で、ユーモアのセンスに欠けていた。母はいつも悲しげな女性だったという。
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富豪の娘メアリー・トッドと結婚したが、結婚式の日、リンカーンは思わず「地獄行きだ」と漏らしたという。その予感は的中した。メアリーは、暖炉にくべる薪の量が少ないと言っては薪でリンカーンを殴った。買ってきた肉が違うと言われて妻に殴られたリンカーンは口の中を切った。リンカーンの個人秘書ジョン・ヘイはメアリーを「ヘルキャット(地獄の猫)」と呼んだ。映画『リンカーン』でガミガミとうるさい大統領夫人を演じるサリー・フィールドは、その容貌も含めて、映画史上最も完璧なメアリー・リンカーンだといわれている。
リンカーンの友人で伝記作家のウィリアム・ハーンドンは二人の結婚生活を「家庭内地獄」と呼んだが、リンカーン自身は「結婚は天国でも地獄でもないさ」と言っている。
「煉獄(れんごく)だよ」
リンカーン夫妻には4人の息子ができたが、2人を子どものうちに亡くした。その悲しみからメアリーは浪費癖がひどくなった。リンカーンの死後、メアリーの狂気は加速し、ついには精神病院に収監された。歴史家たちは彼女を「史上最悪の大統領夫人」にランクした。
だが最近、メアリーのヒステリーは夫の愛がなかったからでは? という説も有力だ。数々の証拠がリンカーンバイセクシュアルだったことを示しており、特にボディガードだったデヴィッド・デリクソンが恋人だったといわれている。

じじぃの「第三次世界大戦・トランプさんが弾劾される可能性は50%?トッドの新世界史」

PBS NewsHour full episode Oct. 13, 2017  動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=lrs3ASTVtBM

『教科書では教えない 入門新世界史』 文藝春秋SPECIAL 2017年季刊春号
エマニュエル・トッド トランプ以後の世界史を語ろう より
――トランプ大統領の出現によって、大きく変わり始めた国際情勢のなかで、日本はどのような進路を取ればいいのでしょうか?
トッド 先ほども言いましたが、トランプ個人の発言や立ち振る舞いには辟易(へきえき)します。おそらく日本人もそうでしょう。日本には、茶道に集約されているように極度に上品で、礼儀正しく、他人を尊重する文化があります。また、日本人は、もの作りや人間関係において完璧を目指そうとします。そんな日本人がトランプと付き合うときの苦労は、大変なものでしょう(笑)。
 米国と日本の間には、様々な面でしばしば軋轢(あつれき)がありましたね。ですから、私は地政学的な観点から、日本への助言を述べたいと思います。
 世界が今後ふたたび諸国家の独立を軸に再編されるとしても、英語圏の国々の存在は非常に強大です。フランスには、米国はトランプ大統領によって孤立主義に向かうのではないかと言っている人もいますが、それはばかげていると思います。
 米国は今後も強大な政治力を発揮して、その周辺環境を最大限コントロールしようとするでしょう。そして米国の周辺環境とは、つまるところ、この惑星全体です。すると、米国は同盟を必要とします。米国が帝国的な段階から、求心力のある普遍的支配の段階へと移行するならば、特定の国々と特別な関係を築こうとするはずです。トランプ大統領はそのような関係構築をすでに英国や他の英語圏の国々と始めています。今後も米国は、自らの力を補完するために同盟国を求めるでしょう。中国やドイツとの対立も辞さないような局面では尚更です。
 日本はそのような米国が求める特権的な同盟国になるのに、以前にも増して有利なポジションにいます。米国から見れば、日本との緊密な友好が得られれば、グローバルな同盟圏を作れることになります。そうなれば、米国はドイツに対抗して、改めて国家を重視する自国と世界秩序の再建を進めつつ、非常に強大であり続けることができます。日本から見れば、米国を中心とした同盟圏への参入ですが、米国から見ても、日本と組むのに優る戦略はないでしょう。
 もちろん、トランプは日本に軍事費の増額など、様々な要求をしてくるでしょう。しかも、彼の言動や立ち振る舞いは耐え難い。だがしかし、です。トランプ革命が成功すれば、おそらく日本は以前にもまして、特権的な同盟国になれます。そうなれば、相互に保護主義的な環境のなかで、テロ対策、経済、技術をめぐる合意に達することができるでしょう。米国との関係において日本は、ヨーロッパにおける英国のような地位を占められるかもしれません。もしかすると私はアメリカ人の楽天性に感染しているのかもしれませんが、トランプ以後の世界には、日本のチャンスがいたるところにあるようにしか見えません。日本人は謙虚さを忘れずに、トランプに対しては心を開いたほうがよいと思います。このように見る私にとって、安倍首相のトランプ当選後の訪米は非常によい行動でした。
 以上、日本をめぐってここまでに述べたことは、客観的な知識人としての私ではなく、「日本人愛国者」としての私からの助言です!(笑)。

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どうでもいい、じじぃの日記。
10月13日、NHK BS1ワールドニュース アメリカ」を観ていたら、カリフォルニア州北部に燃え広がる山火事で確認された死者の人数は31人になった、と言っていた。
その後キャスターが、トランプ米大統領自身が核兵器を現在の10倍欲しがっていると伝えた米NBCニュースに対して、放送免許取り上げの可能性に言及した。
キャスター、「ティラーソン米国務長官が大統領を間抜け(moron)と呼んだが、本当なのか」
解説者、「われわれは第三次世界大戦に向かっていく可能性がある。このままでは北朝鮮と最悪の軍事衝突になりかねない」
米大学の世論調査で「大統領を弾劾し、職を解くべきかどうか」と尋ねたところ、「弾劾すべきだ」との回答が40%に上った。
本音で語るトランプさんは、共感することも多いですが、どうも品格がないですね。
来年2月に開催される韓国・平昌冬季オリンピック、どうなんでしょうね。