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davsの日記

2017-07-02

池田信夫氏、他人を「当たり屋」よばわり〜 バニラ・エア問題で逆張りの本領発揮

池田信夫氏は、ユナイテッド航空の機内から乗客が引きずり出された事件で、ユナイテッド航空を擁護していました。
【追記あり】オーバーブッキングは合理的である – アゴラ

したがって、バニラ・エアの事件でも、告発者の側を論難するだろうと思っていましたら、案の定、下のような記事を書いていました。
「バリアフリー」のインフレに歯止めをかけよう – アゴラ
それにしても、"「バリアフリー」のインフレに歯止めをかけよう"とは、ずいぶんな言い種ですし、記事の中身もひどいものです。

池田氏乙武 洋匡氏の記事にある以下の主張を引用の上で、批判しています。

バニラ・エア合理的配慮の範囲内であるストレッチャーさえ用意していなかったのだ。これは、明らかに障害者差別解消法に反する状況だったと言える。

池田信夫氏の主張では、このストレッチャーは、合理的配慮の範囲をこえているものということになります。彼は以下のように書いています。
(前略)ストレッチャーを用意することが「合理的な配慮」にあたるというのは乙武さんの解釈にすぎない。合理的か否かの基準は、法令で義務づけられているかどうかで客観的に決めるべきだ。

バリアフリー法では、客席数が60以上の航空機における機内用車椅子の設置が義務づけられているが、乗降の際のストレッチャーなどの設置義務はない。空港にも車椅子に対応する設備が義務づけられているが、これは航空会社の義務ではない。したがってバニラ・エアがストレッチャーを用意しなかったことは違法ではない。バリアフリー法では、客席数が60以上の航空機における機内用車椅子の設置が義務づけられているが、乗降の際のストレッチャーなどの設置義務はない。空港にも車椅子に対応する設備が義務づけられているが、これは航空会社の義務ではない。したがってバニラ・エアがストレッチャーを用意しなかったことは違法ではない。


 どうやら、池田氏は、障害者差別解消法合理的配慮というものは、他の法令で義務づけられている範囲内のことだ、という奇怪な解釈をしているようです。今回の例では、「バリアフリー法」(一体、何の法律でしょうか。高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律のことでしょうか。)で、航空会社にストレッチャーの設置義務が定められていないから、ストレッチャーの設置は、障害者差別解消法合理的配慮ではない、ということのようです。他の法令で義務づけられていることだけをやっておればいいのであれば、そもそも障害者差別解消法が不要になるのでは、という当然の疑問は、池田氏の頭にはないようです。

肢体不自由 合理的配慮等具体例データ集(合理的配慮サーチ):障害者制度改革担当室 - 内閣府
 上は、肢体不自由者に対する合理的配慮の例だが、「高い所に陳列された商品を取って渡す」など、他の法令で義務づけられているなど聞いたことがありません。池田氏は、これは合理的な配慮にあたらないと主張されるのかもしれません。

 乙武 洋匡氏の記事に戻ると、彼はストレッチャーを用意することが合理的な配慮の範囲内であることについて、根拠を示しています。池田氏が引用した部分を、その前の部分を含めて、再び引用してみましょう。
実際にバニラ・エアは木島さんとのトラブルから二週間以内にストレッチャーを導入していることを考えれば、予算的にも、手続き的にも、そう準備に負担がかかるものではないことが窺える。つまり、バニラ・エア合理的配慮の範囲内であるストレッチャーさえ用意していなかったのだ。これは、明らかに障害者差別解消法に反する状況だったと言える。

乙武氏は、バニラ・エアは問題が起きてから、すぐにストレッチャーを導入した。それは実施に伴う負担が過重でなかったということだ、したがって、ストレッチャーを用意することが合理的な配慮の範囲内だった、と主張しているわけです。池田氏は、乙武氏の主張の根拠となる部分を、どういうわけか削除の上、引用して、自らの主張につなげています。
 後半にすすむと、池田氏の論はさらにひどくなります。
 彼のような「当たり屋」が騒ぎを起こすと、バニラ・エアのようなLCC障害者用の設備や人員を用意しなければならない。外資系航空会社OBによると、そういう機材を1台チャーターするのには1万円ぐらいかかる。バニラ・エア関空奄美便の料金は4780円である。これでは「格安航空会社」は成り立たない。

 バニラ・エアが導入したアシストストレッチャーがどの機種かは不明ですが、ミドリ安全のページには、138,000円(税別)のものが掲載されています。いつの間にか、「1台チャーターするのには1万円ぐらいかかる。」機材の話にすりかわっています。いずれにしても、障害者を排除しなければ成り立たないビジネスが、成り立つ必要はないと、私は考えます。

 池田氏の記事で一番ひどいのが、結論部分です。
乙武さんも銀座のレストランを名指しで批判した事件を謝罪しているが、こういう当たり屋が来たら、全国の階段で上がるレストランがアウトだ。車椅子用エレベーターをつけるコストは、他の客が負担する。これは「ゼロリスク」と同じく、少数派が多数派にただ乗りするモラル・ハザードである。

こういう場合に大事なのは、「合理的な配慮」などの基準を法令で明確に決めることだ。それを「思いやりがないのは違法だ」というように拡大解釈すると、日本中に無駄な障害者用設備があふれ、そのコストは利用者や納税者が負担することになる。

 バリアを放置して、コストを抑え、安価なサービスを提供するビジネスモデルの方が、少数派の犠牲に多数派がただ乗りしているいうべきでしょう。さらには、まるで障害者は利用者や納税者ではないかのような物言いは、やめていただきたいものです。

2017-06-07

国費外国人留学生の75%以上が中国・韓国からの留学生というのはデマ。そして国費外国人留学生の75%以上が中国・韓国からの留学生であっても問題ない。

外国人留学生が、日本人学生に比べて異常に手厚い奨学制度の恩恵を受けている。しかも、それを利用する外国人留学生75%以上が、反日国家の中国韓国からの留学生だ。彼らに血税を使わせるな、と主張するブログ記事がありました。
日本人を苦しめ留学生を優遇する奨学金制度 - himikoの護国日記
別に国費外国人留学生の大半が、中国韓国からの留学生であっても、選考が公正におこなわれているのなら、全く問題はないはずですが、ブログ主の考えは違うようです。

 しかも、元記事で厚遇されているという国費外国人留学生の「75%以上が中国韓国からの留学生です。」というのが、全くの誤りなのだ。

 元記事では下のような表を掲載して、「さらには、これらを利用する「外国人留学生」のうち75%以上が中国韓国からの留学生です。」と主張しています。ところが、この表からいくら計算しても、国費外国人留学生のうち、中国韓国からの留学生の割合は28.7パーセントと三割もありません。それでは、私費留学生も含めた留学生全体に占める中国韓国からの留学生の割合を、持ち出しているのか、と計算すると、こちらも74.4パーセントと「75%以上が中国韓国からの留学生」とはなりません。ブログ主は、どうせ誰も、掲載表から計算しないだろうと故意にデタラメな数字を書いたか、全く計算できていないのかのどちらかでしょう。
f:id:davs:20170606055223p:image

 さらにこの問題について、文部科学省が「我が国の国費外国人留学生制度について、事実を誤認した内容の記事等が流布されている事例が見受けられました。」として、下のようなwebページを作っていました。

今後の留学生政策について:文部科学省
 
 その第一番目が、「国費外国人留学生制度においては、中国人留学生が大半を占めているのではないですか。」という問いに対する回答なのだから、泣かせます。
「国費留学生総数は、平成24年5月現在で8,588人です。このうち中国籍の国費留学生は1,411人と国費留学生全体の16%程度であり、国費外国人留学生制度の予算の大半を中国人留学生支給しているということはありません。」「なお、国別の留学生総数と、そのうち国費留学生数の割合についても中国は1.6%であり、全体の平均(6.2%)と比しても低い割合となっています。」ということだが、おそらく、ブログ主のように、文部科学省に抗議の電話をかけるような御仁も多いのでしょう。文部科学省の方々もお気の毒にとしか言いようがありません。

 ブログ主は、文部科学省に電話したときの録音を、元記事にアップロードしていましたが、その中で「いもしない従軍慰安婦」と言っていました。私も、従軍慰安婦は性奴隷ではない、単なる金目当ての売春婦だ、と言い張る人は見ましたが、従軍慰安婦の存在自体を否定する人ははじめて見ました。

2017-05-21

労働基準法と前借金

公娼制従軍慰安婦制度でつきものの、前借金契約は、現代日本では違法だ、とは皆が理解しているところだと思いますが、実際の法律ではどうなっているか気になるところです。
労働基準法で、「前借金」という言葉が登場するのは、第17条です。

(前借金相殺の禁止)
第十七条  使用者は、前借金その他労働することを条件とする前貸の債権賃金を相殺してはならない。

 前借金と賃金を相殺することは明確に禁止されていますが、前借金をさせておいて、「やめたら、前借金を耳を揃えて返してもらうからな」と労働を強制するのは違法じゃない、と言い出す人がいそうです。
 そこで、出てくるのが、同じ労働基準法の第5条です。
(強制労働の禁止)
第五条  使用者は、暴行、脅迫、監禁その他精神又は身体の自由を不当に拘束する手段によつて、労働者の意思に反して労働を強制してはならない。

 条文中に「前借金」という言葉は出てきません。しかし、この条文の解釈について、当時の労働省が出した通達昭和23年3月2日付基発第381号にこうあります。(赤字にしたのは、引用者。『労働基準法解釈総覧』からの引用です。)
「暴行」、「脅迫」、「監禁」以外の手段で「精神又は身体の自由を不当に拘束する手段」としては、長期労働契約労働契約不履行に関する賠償額予定契約、前借金契約、強制貯金の如きものがあり、労働契約に基づく場合でも、労務の提供を要求するに当たり、「精神又は身体の自由を不当に拘束する手段」を用いて労働を強制した場合には、本条違反となる(略)

さらには以下のようにあって、私が冒頭で例示した「やめたら、前借金を耳を揃えて返してもらうからな」というのは、「精神又は身体の自由を不当に拘束する手段」となるようです。
「精神又は身体の自由を不当に拘束する手段」とは精神の作用又は身体の行動を何らかの形で妨げられる状態を生じさせる方法をいう。「不当」とは本条の目的に照らしかつ個々の場合において、具体的かつその諸条件をも考慮し、社会通念上是認し難い程度の手段の意である。したがって必ずしも「不法」なもののみに限られず、たとえ合法的であっても、「不当」なものとなることがある。賃金との相殺を伴わない前借金が周囲の具体的事情により労働者に明示のあるいは黙示の威圧を及ぼす場合の如きはその例である。

 さらに興味深いのは、この通達の序文とも言うべき部分です。労働基準法第5条の意義についてこう書いています。この強制労働禁止の条文のみなもとは、新憲法だけでなく、1930年の強制労働の禁止に関する条約にあるのだ、といいたいようです。労働基準法第5条のように、強制労働を禁止する法は、1930年代から必要だったが、ようやく戦後になって実現したとも言えるでしょう。従軍慰安婦問題で「当時の価値観では〜」と言い出す人は多いですが、当時から強制労働を禁止する条約と、そうしたものが必要であるという価値観があったことは忘れるべきではないと思います。
 我が国の労働関係には、今尚暴行脅迫等の手段によって労働を強制するという封建的悪習が残存しているが、従来かかる強制労働に対する直接の処罰規定がなく、僅かに同時に刑法犯を構成する場合に限って処罰し得るに過ぎず、しかも刑法による処罰は事実上殆ど行われなかった。憲法第18条は、国民の基本的人権として「何人もいかなる奴隷的拘束も受けない。又犯罪による処罰の場合を除いては、その意に反する苦役に服せられない」ことを保障している。労働基準法第5条は、この趣旨を労働関係について具体化し労働者自由の侵害、基本的人権の蹂躙を厳罰を以て禁止し、以て今尚労働関係に残存する封建的悪習を払拭し、労働者自由意志に基づく労働を保障せんとすることを目的とするものである。
 既に1930年第14回国際労働会議で採決された「強制労働の禁止に関する条約案」においても「処罰の脅威の下に強要せられ且つ自ら任意に申出たるに非ざる労務」たる強制労働を禁止することが確認せられていたのであるが、今回本条の制定により始めてこれが完全に実施せられることになったものであり、その意義は極めて大きい。

2017-04-28

やはり、従軍慰安婦は性奴隷というしかない〜『漢口慰安所』のエピソードから

吉見義明氏の『日本軍「慰安婦」制度とは何か』 (岩波ブックレット 784)にも、紹介されていますが、漢口の陸軍慰安所に勤務し『漢口慰安所』(図書出版社)、その衛生管理も行なった軍医大尉の回想録に、慰安婦になるための性病検査を受けることを抵抗する女性についてのエピソードがあります。

なまりの強い言葉で泣きじゃくりながら、私は慰安所というところで兵隊さんを慰めてあげるのだと聞いてきたのに、こんなところで、こんなことをさせられるとは知らなかった。帰りたい、帰らせてくれといい、またせき上げて泣く。(p147)

これは、どう考えても、誘拐の被害の訴えなのですが、特にそれとして、例えば憲兵業者や女性に事情聴取するとか、女性を帰郷させるといった措置を軍の当局がとったという、話は出てきません。軍の慰安所の運営に関して、軍は犯罪を黙認していた、と言われても仕方のないところです。

公娼制の実態をかんがみれば、売春施設を設置して、女性を集めたら、誘拐や人身売買の被害者がやってくることは、当然予想できることです。軍に犯罪を予防し、被害者を救済する意志があるなら、誘拐や就業詐欺の被害の訴えがあった場合の対処の方法が定められていてもいいはずですが、そうはなっていないようです。陸軍省副官発北支那方面軍及中支派遣参謀長宛通牒、陸支密第745号「軍慰安所従業婦等募集ニ関スル件」 を根拠に、従軍慰安婦問題否認論者は、日本軍は、違法な慰安婦の徴募を止めようとしていたのだ、とよく主張するのですが、この副官通牒に書いてあるのは、業者の選定を周到適切にしろ、とか関係地方の憲兵及警察と連携を密にしろ、といったことで、人身売買の被害者が連れて来られたら、軍の手配で帰郷させろ、とか、違法行為をした業者を逮捕しろ、二度と使うな、と具体的に書いてあるわけではありません。実は、誘拐や就業詐欺の被害の訴えがあった場合の対処の方法が定められていて、この軍医が怠慢あるいは故意によって、その対処をしなかった、という可能性もありますが、それははごく低いものでしょう。

 ところが、このエピソードについて、ツィッター上で議論したとき、ある人物(既にブロックされましたので、T氏としておきます。)が、これは、契約条件について誤解があったので、業者に女性をさしもどして、話し合いをさせたところ、女性も納得したというものだ、その後の記述を読めば分かる、と主張しました。それではどう書いてあるのでしょう。
翌日、昨日の女が同じ二階回りと業者にともなわれてやって来た。当人も承知しましたので臨時に検査をお願いしますという。(中略)
昨日、あれから業者や二階回りに説得され、一つ二つ頬ぺたを張り飛ばされでもしたのであろう、一晩中泣いていたのか、眼はふさがりそうに腫れ上がっていた。(前掲書p148)

どうも、まともな「説得」が行なわれた訳ではないようです。これを女性が自分の意思で検査を受けに来たとみなす人は、よほどひねくれた人でしょう。そもそも、誘拐の被害者を、その誘拐の容疑者のもとに戻す、というのが、常軌を逸しています。そもそも、このエピソードは、日本政府公娼制を人身売買や奴隷制ではない、と言い繕うための前提を破壊しています。公娼制では、売春をする女性は、その自由意志で行なっており、売春業者は、「貸座敷」という名称が示す通り、売春の場所を貸しているだけ、という建前です。その建前からすると、業者が、売春するように女性を「説得」したり、当人に代わって慰安婦になるための検査を依頼する、というのは、異常です。
 現代日本で、例えば、建設業の許可を取るように、事務所の貸主が、説得したり、官公庁の許可窓口に同行して代弁するなどということはあり得ないでしょう。
 「「人身売買排除」方針に見る近代公娼制度の様相」(眞杉侑里)に以下のような記述があります。(T氏は、この論文慰安婦問題日本政府を免責する材料として持ち出しました)
日本政府は、個人自由意志を軸として就業・廃業時にそれが発揮される事、或いは自由意志の発揮が阻害される場合にあってはそれを処罰対象と認定する事により「他者の拘束を受けることが無い=人身売買ではない」と近代公娼制 度の人身売買的側面を否定してきた。これに対し国連調査団は1932年実地調査報告書に「此の法令娼妓取締規則第6条)の精神並に目的は常に必ずしも遵守せられざるものゝ如く、警察当局が警察署に雇主を出頭せしめ、之と廃業希望者本人又は其の父母親族と協議せしめ、又は本人を壓迫する等の事実は、屡ゝ本人をして其の年期満了又は雇主に対する債務完済に至るまで貸座敷に止まらしむるの結果を来す懼れあり」と日本政府の主張を疑問視する見解を寄 せており、前借金と娼妓稼業に関連性を見出している。
 公娼の廃業にあたって、警察当局が、女性やその父母親族と、業者を話し合わせている事実が、日本政府のいう、公娼制が人身売買ではない、という建前を否定するものだ、と国連調査団はみなしているわけです。ここから、考えると『漢口慰安所』に書かれた業者が女性を「説得」したというエビソードは、従軍慰安婦制度は、当時の公娼制での建前すら守られていない、性奴隷制だったことを示すものだと言えるでしょう。  

2017-03-18

日本軍の占領地は、刑法第226条の「帝国外」にあたるか、という問題

 従軍慰安婦問題を語るとき、必ず出てくるのが、当時の刑法226条である。
「帝国外ニ移送スル目的ヲ以テ人ヲ略取又ハ誘拐シタル者ハ、二年以上ノ有期懲役ニ処ス。
帝国外ニ移送スル目的ヲ以テ人ヲ売買シ、又ハ被拐取者若クハ被売者ヲ帝国外ニ移送シタル者亦同ジ。」
 
この条文に出てくる「帝国外」について、慰安婦問題否認論者が、例えば「当時のビルマ中国は、日本の軍事占領下にあった。それは大日本帝国の内だったということだ。従って、人身売買された女性をビルマ中国に移送しても問題がないのだ」などという主張を出してくるのではないか、と予想している。(もう既にそういう主張が出ているのかもしれないが)それにあらかじめ備えて、調べてみた。

 1935年出版の『刑法各論』(大衆法律講座第6巻)で、著者である東京刑事地方裁判所判事の徳岡一男が、この刑法226条中の「帝国外」について、こう書いている。

ところがここでいう帝国外とは所謂外国のことであるが、わが刑法ドイツ刑法のように外国そのものの意味を明白にした規定がないので種々議論を生ずる余地があるが、やはり大日本帝国の領域に属していない土地を外国と解すべきであろう。だから軍事占領地でもわが領事裁判権が行われている国でも帝国外に当たるのである。(p278 旧字体、旧仮名遣いは、それぞれ新字体、新仮名遣いに改めた)


 日中戦争時の上海の租界であろうと、太平洋戦争時の東南アジアであろうと、「帝国外」ということになるだろう。