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2011-03-21

[]地震前後に読んだ本

 生存報告も兼ねて更新。自宅と自室に若干の被害、日々の生活に多少の不便がありますが一応は無事です。

地下街の雨 (集英社文庫)

地下街の雨 (集英社文庫)

 購入日・放置期間不明。

多聞寺討伐 (扶桑社文庫)

多聞寺討伐 (扶桑社文庫)

 2009年4月購入。1年11ヶ月の放置。

きみとぼくが壊した世界 (講談社ノベルス)

きみとぼくが壊した世界 (講談社ノベルス)

 2008年7月購入。2年8ヶ月の放置。

 2007年9月購入。3年半の放置。

届かぬ想い (講談社文庫)

届かぬ想い (講談社文庫)

 2008年2月購入。2年1ヶ月の放置。

篠婆 骨の街の殺人 (講談社ノベルス)

篠婆 骨の街の殺人 (講談社ノベルス)

 2001年10月購入。9年5ヶ月の放置。

いのちのパレード (実業之日本社文庫)

いのちのパレード (実業之日本社文庫)

 2010年10月購入。5ヶ月の放置。

平面いぬ。 (集英社文庫)

平面いぬ。 (集英社文庫)

 購入日・放置期間不明。

もろこし紅游録 (創元推理文庫)

もろこし紅游録 (創元推理文庫)

 2010年12月購入。3ヶ月の放置。

猫にかまけて (講談社文庫)

猫にかまけて (講談社文庫)

 2010年4月購入。11ヶ月の放置。

2011-02-06

[]舞城王太郎『ビッチマグネット

ビッチマグネット

ビッチマグネット

 2009年11月購入。1年3ヶ月の放置。「家族愛」という作者が好んで用いるテーマを中心に書かれた物語愛人のもとに走ってしまった父、その父に捨てられた事で心に傷を負った母と弟を持つ少女・香緒里が本書の語り手である。作中で香緒里はビッチに引っかかってしまった弟を心配したり、彼氏ができたり、そして父の愛人と交流を持ったりする。こういった人々との交流によって香緒里は成長していく。これらの点は直球の成長小説でえあるといえる。テーマの扱い方もオーソドックスで、作者らしさが伺えるとはいえ舞城小説としてはお行儀が良すぎる。「奈津川家シリーズ」や『ディスコ探偵水曜日』等で顕著であったメタ趣向も抑制されており、その点でも作者の色は薄い。とはいえ、語り手はの語り口は自己言及的であり、メタ趣向という点はその語り口から感じ取れる。総じて薄味の舞城作品ではあるが、自己主張は決して弱いわけではないといえる。

2011-01-30

[]鳥飼否宇『逆説的 十三人の申し分なき重罪人』

逆説的―十三人の申し分なき重罪人 (双葉文庫 と 15-1)

逆説的―十三人の申し分なき重罪人 (双葉文庫 と 15-1)

 2008年8月購入。2年5ヶ月の放置。綾鹿市で次々と起きる事件を解決すべく奔走する五龍神田刑事と、彼をサポートするホームレスの「じっとく」の活躍を描いた連作本格ミステリ短編。事件の真相を見ぬいた「じっとく」が五龍神田アドバイスするものの、粗忽な五龍神田アドバイスを早とちりした挙句迷推理を披露するはめになり、結局解決は他の刑事に奪われる、というのが基本パターンであり、ユーモアミステリの体を有しているといえる。また、五龍神田の失敗、というオチは共通しているものの、各短編で扱う事件が殺人・誘拐・ストーカーといった具合に全て異なり、そのバリエーションの多彩さ故にお約束的展開が続くことにより生じるマンネリ感は大きく減じられることになっている。さらに、後半に至ると、待ち受けるオチそれ自体がお約束的展開から外れていき、読者はラストの大オチに向けて目を離せなくなっていくことであろう。なお、タイトルから察せられるように、チェスタトン的逆説をミステリテーマに添えているのではあるが、例えば同じリスペクト精神に則った泡坂妻夫の「亜愛一郎シリーズ」ほどロジックのキレは見られない。作品単体ではまずまず楽しめるのではあるが、タイトルから受ける期待感に乗っかり過ぎるとやや肩透かし感が生じるかもしれない。

2011-01-23

[]ジャック・ヨーヴィルドラッケンフェルズ

 2007年9月購入。3年4ヶ月の放置。本書のプロローグはいきなりラスボス戦直前の場面から始まり、その戦いが終焉を迎えたと思われるところで終わる。しかし、多くの犠牲を経てようやく討伐したと思われたその戦いの肝心の場面は描かれない。視点人物である齢648歳の女吸血鬼ジュヌヴィエーヴが気を失ってしまい、描写が省略されてしまうためだ。

 本編はそれから25年後・吸血鬼ドラッケンフェルズ殺しの英雄となったオスヴァルトの発案により、一連の討伐行を演劇化されることとなるところから始まる。脚本執筆の大役を任されたデトレフ・ジールックは当時の関係者から話を聞くことにより舞台イメージを固めていくのだが、その関係者が次々と死を遂げていく。また、デトレフの周囲にも奇怪な現象が相次ぐ。やがて脚本は完成し、実際に戦闘が行われた因縁の地・ドラッケンフェルズ城いよいよ上演されることになるのだが……

 実際の戦闘が行われた場面を棚上げし、かつ肝心のシーンを覆い隠すことにより読者に対して「実際過去に何があったのか?」という疑問を抱かせた上でストーリーは進行する。したがって単純なバトルメインの冒険活劇ではなく、隠された真実に起因した怪現象が巻き起こす恐怖、こそが読みどころとなっている。英雄譚ではなくまさしくホラーの文脈に則った作りで、両者の作劇の違いがそのままプロローグと本編の配置法に現れているといってよい。そしてホラーの方法論をとっておきながらも、ラストはきっちり英雄譚的な場面を用意しており、プロローグの消化不良をきちんと解消しており、その構成は好印象である。

2011-01-03

[]浅田次郎月島慕情』

月島慕情 (文春文庫)

月島慕情 (文春文庫)

 2009年11月購入。1年2ヶ月の放置。収録されている作品中では、登場人物を人生勝ち組/負け組といった形で対比させていることが多い。表題作においては長いこと吉原で働かざるを得なかった負け組の主人公が一転、想い人に身請けされるという勝ち組に転ずる。同時に負け組となった見受け人の妻子の存在クローズアップされ、それを知った主人公はある行動を取る――という話。続く「供物」ではDV男と離婚後、優しい夫を得た女が前夫の死の知らせを聞いてその霊前に出向く話。負け組から勝ち組に転じた女の秘められた過去が語られるのだが、負け組時代のその過去にはある秘密があった。「雪鰻」は辛い南方戦線経験し、戦後自衛隊師団長となった男の悲惨な戦時中のエピソード。同じ戦争を体験しながらも過酷な地域を担当した彼と、比較的安全な他地域の兵士では全く境遇が違っており、師団長らだけが飢えに苦しむ負け組であった。「インセクト」は学生運動が盛んな時代に大学進学した主人公と、アパートの隣人である妾とその娘の話だ。女は妾という待遇でありながらもプライドを持って生きていく。上京したての田舎者でまだ若い主人公はなかなかその生き方を理解できないでいる。「冬の星座」は死んだ祖母が生前に行っていた、家族も知らない善行が明らかになる話。戦後貧しい暮らしを強いられた負け組の祖母は、ある行為によって聖女のように讃えられる。「めぐりあい」は視力を失ったために彼氏と別れ、やがてマッサージ師になった女性の話。彼女の境遇はまさに負け組であるが、決してそうは感じさせない強さが伺える。さいごの「シューシャインボーイ」は戦災孤児となった男を拾い育てた靴磨きの男の話。この話は戦争戦後テーマになっており、戦後に生きる人々はまさに負け組である。

 これらの話に共通するのは本来負け組であるはずの人々の生き様が凛としている点だ。自分の境遇を惨めだと嘆かず矜持を持って行動する彼ら彼女らの姿には心うたれる。

なかのひと