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2017-09-18

[][] EBStudio リニューアル計画(1)

EPWING辞書作成アプリであるEBStudioの最終バージョンのリリースは2009年で、もう8年も開発を中断している。その頃からEBPocketのiOS版やAndroid版の開発を始め、さらに青空文庫ビューアまで手を出したため、手が回らなかったというのが正直なところだ。リニューアルの構想自体はもう何年も前からあったが、様々なプロジェクトが一段落してきたので、いよいよ手をつけることにした。

EBStudioの開発の着手は1999年に遡る。

EPWINGソニー電子ブックは1990年代には興隆を誇ったが、その後電子辞書の主力はCD-ROMから電子辞書端末に移り、さらにスマートフォンの辞書アプリやネット辞書に移行した。気がつけば電子辞書端末の雄だったセイコーも市場から去り、隔世の感がある。EPWINGは新たな製品が全く出なくなったが、規格がJIS化されたために、オープンな辞書規格として生き残ることが可能になった。翻訳者の間ではEPWINGは現在でも現役で使われていると言われており、今後も細々と生き続けるのではないかと思っている。

作者が考えるEBStudioの問題点

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EBStudio 2.0の目標

  • モダンC++コンパイルできるようにソースのリファクタリングを行う。MFCは全てATLで置き換える。
  • Unicodeのサポート。JIS外の文字はEPWING外字を自動割当し、EBWin用の外字マップを自動作成する
  • XMLパーサーのサポート
  • バッファサイズの指定を不要とすること
  • マルメディアファイルをHONMONG,HONMONSに分割できるようにする
  • EBStudioのファイル形式との互換性の確保(各種EPWING化Toolkitの資産がそのまま使用できること)

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現時点で達成できていること

  • VisualStudio 2010と、Mac OS XXcodeでのコンパイル
  • EBStudioのファイル形式との互換性の確保
  • 4GB超のHONMON
  • マルメディアファイルをHONMONG,HONMONSに分割可能
  • EBStudio用HTMLutf-8のサポート
  • unicode外字の自動割り当て。外字パターンはefontオープンラボのhexファイルを使用する。もう外字を作字しなくてもいい!
  • CSVからの変換のサポート。EXCELのテキスト変換ウィザード風に、列の意味を指定する。
  • PDIC Unicodeからの直接変換。
  • libxml2パーサーによるHTML4.0/XHTML1.0からの変換(こちらのパーサーは従来のEBStudio用HTMLと互換性はない)

これからの予定

順調にいけば年内にWindows版をリリース。ただし根本的に書き直しているので、従来のライセンスとは別になるかもしれない。その場合価格面で配慮したい。

Mac OS X はまだ変換コアエンジンが動いただけでUIを書いていないので、来年になるとおもう。Mac OS X版はフリーにする。

2017-07-17

[] Visual C++2010ランタイムインストーラに含める方法

EBWin4はVisual Studio 2010 のC#C++で開発しているため、実行には.Net Framework 4.0とVisual C++ 2010 ランタイムが要る。

.Net Framework 4はWindows Vista以降は標準でWindowsに含まれているため、通常はインストールの必要はない。

だがVisual C++ 2010 ランタイムWindows に含まれていないため、別途ユーザに「Visual C++ 2010 再配布可能パッケージ(x86)」をインストールしてもらわないといけない。やっかいなことに、Visual C++ はバージョンごとにランタイムが違い、さらに32bit(x86)版と64bit版(x64)が存在する。EBWin4のREADMEには対応するバージョンの再配布可能パッケージのリンクが書いてあるが、利用者にとって敷居が高いことは事実である。

これまでインストーラにはフリーの Inno Setup を使っていたが、Visual Studioインストーラを使用すれば、必須コンポーネントインターネットから自動インストールするようにできるので、今回からインストーラを変更することにした。

Visual Studioインストーラの作り方

ここでインストールする必須コンポーネントVisual Studio 2010ランタイムライブラリ(x86)を追加する。(なお、必須コンポーネントインストーラに含めるか、インターネットからダウンロードするかを選ぶことができる。)

インストーラの本体は.msiだが、setup.exeはコンピュータに必須コンポーネントがあるかどうかを調べ、インストールされていなければ次のような画面が出て、インターネットからダウンロードしてインストールまで行う。

f:id:hishida:20170717162740p:image

これで起動トラブルは減ると思う。

ここで一つ問題があって、Visual Studio 2010にはSP1が提供されており、2010無印と 2010 SP1とでランタイムライブラリが異なる。再配布可能パッケージも2010無印と2010 SP1の2種類が存在する。

Download Microsoft Visual C++ 2010 再頒布可能パッケージ (x86) from Official Microsoft Download Center

Download Microsoft Visual C++ 2010 SP1 再頒布可能パッケージ (x86) from Official Microsoft Download Center

ユーザのコンピューターにVisual C++ 2010 SP1のランタイムが先に入っていた場合、 「より新しいバージョンのMicrosoft Visual C++ Redistributableがコンピューター上で検出されました」 と表示されてインストールが止まってしまう。

この場合は.msiを実行していただければ、EBWin4の本体だけインストールされる。

Visual Studio 2015 Installer Projects

Visual Studioインストーラはその後、Visual Studio 2012 で削除されてInstallShield LEだけになったが、 Visual Studio 2013から復活した。ただしVisual Studio Marketplaceから別途インストールする必要がある。現在のVisual Studio Community 2015でも使用できる。

Microsoft Visual Studio 2013 Installer Projects の設定方法について - マコーの日記

Microsoft Visual Studio 2015 Installer Projects をインストールする - Visual Studioの使い方 Tips

補足:Inno setup でVisual C++ ランタイムを自動インストールする方法

なお、Inno setup でもスクリプトを書けば、Visual C++ Redistribuableのインストール有無をチェックして自動インストールすることができる。

inno setup - How to make vcredist_x86 reinstall only if not yet installed? - Stack Overflow

ただし、vcredist_x86.exeはあらかじめダウンロードしてパッケージに含めなければならない。

2017-07-12

[] xdoc2txt の64bit版

ユーザからの要望があって、xdoc2txtおよびdllの64bit版を作成したので、忘備録を書いておく。

x64コンパイラおよびツールインストール

Visual Studio 2010を標準でインストールすると、64ビット用コンパイラインストールされないので、インストール時のオプションで「x64コンパイラおよびツール」を指定してインストールする。

f:id:hishida:20170712084244p:image

既存のプロジェクトの64bit化

32bit版の既存のプロジェクトを64bit化する場合の手順。

  • 32bit版の既存のプロジェクトを読み込んだ後、メニュー→ビルド(B)→構成マネージャー(O)を起動
  • アクティブソリュージョン構成(C)→新規作成...を選び、64bit用の新しいソリュージョン構成を作成する。名称は例えば"Release x64"とする。この時設定のコピー元に(32bitの)既存のソリュージョンを選択すると、ソリュージョンがコピーされる。
  • アクティブソリュージョンプラットフォーム(P)→新規作成

新しいプラットフォームを入力または選択してください(P) : x64

設定のコピー元 : Win32

EXE、LIB、DLLも全て同様の手順で64bit化される。

注意点は、32bitのDLLと64bitのDLLを混ぜて使うことはできないので、関連するDLLライブラリは全て64bitで揃える必要がある。xdoc2txtは内部でzlib1.2.3を使用しているので、zlib1.2.3もソースから64bitで再コンパイルした。

またVisual C++の64bit版を使用してコンパイルしたモジュールを実行する場合、Visual C++頒布可能パッケージもx64用をインストールする必要がある。

32bit版Download Microsoft Visual C++ 2010 再頒布可能パッケージ (x86) from Official Microsoft Download Center
64bit版Download Microsoft Visual C++ 2010 再頒布可能パッケージ (x64) from Official Microsoft Download Center

一般的な注意

Visual C++ の64bit版の一般的な注意は、

  • 64 ビット Windows OS上ではポインタは64bitだが、int と long は相変わらず32bit ( 64bit整数は__int64 または long long ! )。したがってポインタをintやlongに代入してはいけない。
  • size_t、time_t、 ptrdiff_t は、64 ビット Windows OS上では 64 ビット。したがってtime_tをlongに代入してはいけない。

C# で64bit版のdllを使用する場合の注意点

C#のプロジェクトのプラットフォームターゲットはデフォルトではx86になっているため、デフォルトのままだと32ビット版のdllしか読み込まない。C#から64bitのdllを呼び出す場合は、プラットフォームターゲットをAnyCPUに変える。

2017-07-11

[][] 読書尚友 Text-to-speech対応

家電量販店で現在発売中のAndroidスマホ最新機種を調べたところ、どうやら現行の機種は全て標準で日本語読み上げエンジンに対応しているようだ。

(設定→「言語と入力」→「テキスト読み上げの出力」→「優先するエンジン」→「Googleテキスト読み上げエンジン」→「言語」 に日本語があり、音声データがインストール済みになっている。)

そこで安心して読書尚友もText-to-speech対応することにした。

  • 青空文庫形式のルビ《》に対応。
  • 。、の句読点の単位で読み上げを行い、ポーズボタンで中断/再開 ができる。現在読み上げ中の位置は下線で表示する。
  • 頁をまたがると自動的に頁送りを行う。
  • CJKなら日本語読み上げエンジン、英語なら英語のエンジンを使う。青空文庫の「アーサー王物語」のように英語と日本語が混じる文章でもそれぞれのエンジンで読み上げを行う。

機能的にはほぼこれでいいと思うが、肝心の日本語読み上げエンジンの抑揚のない機械音が不自然で、とても長く聞いていられない。日本語読み上げエンジンが進化しないと、実用性は今ひとつかもしれない。

2017-07-04

[][] EBPocket for Android pro Text-to-speech サポート

Text-to-speechはテキストの読み上げ機能で、Androidでは1.6から早くもAPIが提供されていた。だがAndroidの標準のテキスト読み上げエンジンは、英語、イタリア語スペイン語ドイツ語フランス語しかサポートしておらず、日本語の読み上げを行うためにはサードパーティの日本語読み上げエンジンを導入する必要があった。このため、EBPocketも読書尚友も、Text-to-speechをサポートしてこなかった。

ところが、昨年購入したASUS Zenfone 3 laserは、標準で日本語読み上げエンジンを搭載していることがわかり、Text-to-speechをサポートする意欲が湧いてきた。

とりあえずEBPocket for Android proで対応してみた。

  • テキストの範囲を選択してコンテキストメニューでTTSを選択すると、範囲指定したテキストを読み上げる
  • 範囲指定せずにメニューからTTSを選択すると、本文全てを読み上げる
  • 画面にタッチすると読み上げを止める
  • 文字列中にCJK統合漢字、ひらがな、カタカナを含んでいた場合は、日本語読み上げエンジンを使う。含まれていない場合は英語の読み上げエンジンを使う。
  • CJK統合漢字に使用する読み上げエンジンは、日本語と中国語から選択できる。

日本語読み上げエンジンが使えない機種でも、少なくとも英語の読み上げはできるので、英和や和英で発音を確かめたい場合には、それなりに有用だと思う。

次は当然、読書尚友でサポートしなければいけないと思っている。

その他仕掛り中のプロジェクト

  1. xdoc2txt の64bit 版。(→できました。)
  2. EBStudioのUnicodeベースでの再開発。EBStudioのソースはVisual Studio6.0時代のもので、今日のVisual Studioではコンパイル自体が不可能。こちらは大きな作業になるので、1年以上かかりそうだし、途中で投げ出すかもしれない。