「若年者に対する新たな処分」について - 全司法本部活動日記(2018年11月22日)

http://zenshiho.hatenablog.com/entry/2018/11/22/193723

2017年2月9日、「少年法における『少年』の年齢を18歳未満とすること及び非行少年を含む犯罪者に対する処遇を一層充実させるための刑事法の整備の在り方」について法務大臣から法制審議会に対して諮問がなされ、現在、少年法・刑事法(少年年齢・犯罪者処遇関係)部会において審議がすすめられています。
本年7月26日の第8回部会では「分科会における検討結果(考えられる制度・施策の概要案)」が報告され、その中で家庭裁判所が担う新たな制度として「若年者に対する新たな処分」が提起されました。
全司法は、裁判所書記官家庭裁判所調査官など少年事件に携わっている職員を組織する労働組合として、現場の職員の意見をふまえ、意見書(全司法労働組合少年法対策委員会作成名義の「『若年者に対する新たな処分』について」と題する書面)をとりまとめました。
同処分は様々な問題点があるものと考えており、少年法の適用年齢を引き下げに伴う措置とはなり得ないとの立場から意見を述べたものです。


「若年者に対する新たな処分」について(2018.11.4 全司法労働組合少年法対策委員会)
http://www.zenshiho.net/shounen/26.pdf

経済衰退にトドメか?「大阪万博2025」は悪夢でしかない(山田順) - Y!ニュース(2018年11月25日)

https://news.yahoo.co.jp/byline/yamadajun/20181125-00105370/

たまたま、アメリカに来ていて、こちらで「大阪万博」決定のニュースを知って、本当に情けなくなった。なぜ、いまさら、日本で「万博」(国際博覧会国際博覧会条約に基づき、博覧会国際事務局(BIE)が認定する博覧会=EXPO)をやる必要があるのだろうか?
いまや、国を挙げて行うような万博(EXPO)は、発展途上国や権力をアピールしたい強権国家以外は興味を示さない。なぜなら、ネットが進展し、情報も技術も瞬時で共有できる世の中になったのに、わざわざ「展示パビリオン」をつくって観客を集める万博を行う意義がなくなったからだ。もはや、万博はその使命を終え、「オワコン」も同然である。
それに、たとえば、国際家電見本市 (CES、ラスベガス)、国際モーターショー(世界規模の自動車見本市、デトロイト、フランクフルトなどで開催)、ハノーヴァーメッセ(オートメーションなど世界最大の産業見本市)、SLUSH(IT関連のスタートアップのイベント、ヘルシンキ)、モバイル・ワールド・コングレス(世界最大規模のモバイル関連見本市、バルセロナ)など、万博以上に注目を集め、未来を示してくれるイベントは、毎年、世界中で開催されている。
さらに、今回、大阪と開催を争ったのは、ロシアのエカテリンブルクアゼルバイジャンのバクーという、たったの2都市。エカテリンブルクプーチン大統領が世界に発展を誇示したい工業都市。バクーは石油で儲かったカネで、独裁者アリエフ大統領が金ピカを自慢したい首都。どちらも、「金欠」の大阪が争うべき相手ではなかった。
しかも、当初は立候補を表明していた本命のフランス(パリ)は、早々と辞退していた。その理由は、「フランスの納税者がリスクを負わないという保証がない」というのだから、もっともである。
つまり、単なる「タナボタ」にすぎないのに、なぜ、こうもはしゃぐのだろうか?
多くの日本の報道では、「官民一体の努力が実った」と、招致成功は美談になっている。しかし、本当は、『朝日新聞』などの一部メディアが伝えるように、一致団結した「集票工作」の結果だった。
BIEは170カ国が参加する組織だが、そこでの大票田はアフリカや中東、欧州の小国家。これらの国の票を集めるために、経済援助や日系企業の現地での雇用などの「エサ」を用意し、官民挙げて招致活動を行ってきたのだ。
その結果が、決選投票での日本92票、ロシア61票という結果だった。本当に情けない。
残念だが、大阪万博決定のニュースはアメリカではまったくと言っていいほど、報道されなかった。
テレビでは『ABC News』が《Japan's Osaka will host the World Expo in 2025, beating out Russia, Azerbaijan for an event that attracts millions.》と、ほんの短く伝えただけ。万博というイベントが「資金を引っ張る」と認識されていることが、日本の情けなさを象徴している。

さらに、パリ発のAP電は次のように、ベタ記事で伝えた。

《PARIS (AP) The Japanese city of Osaka will host the World Expo in 2025, after beating out cities in Russia and Azerbaijan in the race to host an event expected to draw millions of visitors and showcase the local economy and culture. Shouts of joy in Japanese erupted in the Paris auditorium when the 170 member states of the Bureau International des Expositions voted Friday in favor of Osaka's bid. Dark-suited officials hugged and jumped up and down, and Japan's economy and trade minister, Hiroshige Seko, said he felt "Excellent! I'm excited! I also feel a heavy responsibility to make Expo 2025 successful."》

投票で大阪に決まったとき、「日本人たちは喜びの歓声を上げた」と書かれ、さらに「ダークスーツ姿の官僚たちが抱き合いながら飛び跳ねた」などと続けられると、完全にバカにされているのがわかり、哀しくなってくる。
松井一郎大阪府知事らが肩を抱き合い握手する姿や、「心の底からうれしい」と記者会見で語った世耕弘成経済産業相の上気した表情どれも見るに耐えなかった。なぜ、もっと「大人の対応」ができなかったのだろうか?
日本国はいまも“経済発展病”という重篤な病にかかっていて、なにかと言うと「経済効果」が叫ばれる。それは、大阪府の試算では2兆3000億円。万博に合わせたイベント開催や観光客の増大などの間接的な誘発効果は大阪府の試算では4兆1000億円。まとめて6兆4000億円の経済波及効果が見込めるという。

しかし、こんな「皮算用」が一概に信じられるだろうか?

この経済効果のために、会場建設費に約1250億円がつぎ込まれ、さらに会場となる夢洲へのアクセスで、夢舞大橋の整備と大阪メトロの伸長工事などで約540億円がかかるとされている。
しかし、これらはあくまでも「試算」だから、東京オリンピックの例を持ち出すまでもなく、今後次第でどうなるかはわからない。結局、予算はどんどん膨らみ、最終的に税金が投入されるだろう。これは、私たち国民にとって「悪夢」だ。
哀しいことに、大阪万博は世界150カ国の参加を見込み、2025年5月3日〜11月3日の185日間開催され、その間に、国内外から約2800万人の来場が見込まれている。中国人観光客ですら、すでに大阪には1度はやって来ている。万博があるからといって、彼らは再び大阪に来るだろうか? まして、欧米の観光客が、この極東の島国までやって来るだろうか?
現在、東京オリンピック開催まで2年を切り、会場整備などの準備が進んでいるが、そのなかでもっとも懸念されているのが「ボランティア」である。
なんと、組織員会と東京都を合わせて11万人が募集され、現在、登録者が8万人を突破したと伝えられている。しかし、これは登録だけの話で、実際に登録者が本当にボランティアをするかどうかはわからない。
なぜなら、ボランティア募集には批判が多く、とくに「無償」であることで、「体のいい奴隷労働」(タダ働き)などと言われてきたからだ。滞在費も交通費も出ないというのだから、このような批判は当然だろう。こうしたことが、大阪万博でも行われる可能性は十分にある。
東京オリンピックは灼熱の真夏で行われること、見込まれた当初予算では実行できなくなったことなどから、成功が危ぶまれている。さらに、オリンピック後は、反動不況が来ることが確実視されている。
少子高齢化と人口減で、縮小していく日本経済。その衰退に、大阪万博がトドメを刺すかもしれない。

(政界地獄耳)障がい者雇用問題 中央と地方の温度差 - 日刊スポーツ(2018年11月26日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201811260000121.html
http://archive.today/2018.11.26-015042/https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201811260000121.html

★中央省庁の33行政機関のうち8割に及ぶ27機関で、雇用している障がい者の人数を40年以上にわたって水増ししていたことが分かった。つまり我が国の障がい者政策など、事実上なかったといっても過言ではない。建前だけの偽善的政策だった。加えて、厚労省もその水増しに関わっていたことまでも発覚。救いようのない障がい者差別大国といえる。この政策の趣旨は、障がい者が雇用のチャンスを奪われないようにするための重要な政策であり、健常者と障がい者が役割分担しながら働き方を模索し、雇用を確保する政策だ。

★法定雇用率は、国や地方の行政機関の方が一般企業より高めに設定されている。法律の制度設計時には、高い意識を持つべきという啓蒙(けいもう)も含まれていただろう。行政が企業に課している水準すら満たしていなかったという、救いようのない体たらくを露呈させた。発覚後、当時の厚労相加藤勝信は「こうした事態になったことは誠に遺憾であります。深くおわび申し上げます」と陳謝したが、その加藤は内閣改造自民党三役に収まった。まともな神経なら謹慎したいと申し出るレベルの恥ずかしさだが、ご本人は「俺のせいではない」という気持ちなのだろうか。

★この問題では、中央官庁は大臣に陳謝させて幕引きとなったが、地方自治体の一部は、水増しが判明した38県のうち三重、愛媛、茨城、高知、長崎の5県が職員らの処分を決めている。また山形、千葉の2県は処分する方向で検討しているという。この現実を見ると、霞が関の政策がいかに机上の空論であるかが分かる。知事の方が、県民との距離の近さも感じる。そして何より、責任の所在を明確にして障がい者やその関係者にわび、2度と繰り返さないという不退転の決意を感じる。(K)※敬称略

法廷通訳、担い手不足 5年で200人減 ニーズ増 - 東京新聞(2018年11月26日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201811/CK2018112602000106.html
https://megalodon.jp/2018-1126-0926-33/www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201811/CK2018112602000106.html


外国人労働者の受け入れを拡大する入管難民法改正案が臨時国会で審議される中、外国人が被告になる裁判で必要な「法廷通訳」の担い手が不足している。裁判所が法廷通訳の候補者をリスト化した「通訳人候補者名簿」の登録数は二〇一七年四月時点で六十二言語三千八百二十三人で、一二年(同・四千六十七人)より約二百人減ったことが、静岡県立大学の研究グループの調査で分かった。 (中山岳)
日本語の通じない外国人が被告や証人として裁判に出る場合、刑事訴訟法は通訳を付けることを義務づける。通訳の希望者は、各地裁で「通訳人候補者名簿」に登録され、裁判所から事件ごとに依頼を受け、法廷で通訳したり、検察官や弁護人が作成した書類の翻訳をする。
同大の教員らでつくる「法廷通訳研究会」は、一二年と一七年、裁判所の通訳人候補者名簿の登録者数の推移を調べ、担い手が減っていることを突き止めた。
また、法廷通訳経験者にインターネットでアンケートを実施。延べ百五十六人の回答を分析したところ、半数以上が法廷通訳のほか、会議通訳や、大学講師などを掛け持ちしていた。報酬については六割以上が「少ない」「どちらかと言えば少ない」と答えた。
国際関係学部の高畑幸教授(社会学)は「法廷通訳の依頼は不定期で、一回の通訳料は一万五千円程度。公判前に準備する資料の翻訳は無報酬だ。担い手の中心は一二年調査で四十代だったが、一七年では五十代に上がり高齢化の兆しもある。外国人の人権を守る責任の重さに比べて収入が低いことが、担い手を減らす原因ではないか」とみる。
法務省犯罪白書によると、一二〜一六年に通訳人が付いた刑事裁判の被告は約二千三百〜二千七百人で増加傾向にある。言語は中国語など約四十。
入管難民法改正案が成立すれば外国人労働者が増加し、外国人が関係する事件や紛争も増える可能性がある。通訳人の担い手が少ないままではより負担が重くなり、誤訳や冤罪(えんざい)を生むリスクも高まる。高畑教授は「待遇改善や研修の充実が必要だ」と訴える。

就労外国人 韓国の試行錯誤 学ぶべき点は大いにある - 毎日新聞(2018年11月26日)

https://mainichi.jp/articles/20181126/ddm/005/070/027000c
http://archive.today/2018.11.26-002716/https://mainichi.jp/articles/20181126/ddm/005/070/027000c

世界では労働者の獲得競争が起きている。東アジアでとりわけ積極的なのが韓国だ。
もともと韓国は外国人労働者の受け入れに消極的な国だった。しかし、中小企業などで働くのを避ける人が多くなり、少子高齢化の影響もあって受け入れを始めた。
日本の例を参考に1993年に導入されたのが「産業研修生制度」だ。ところが、研修とは名ばかりで、労働が過酷だったため失踪者が続出し、不法滞在者の急増が社会問題化した。今の日本の技能実習制度と似たような状況が生まれた。
こうした制度の問題点に気づくのが韓国政府は早かった。2004年、政府が外国人労働者の受け入れを主導する新たな制度に切り替えた。それが「雇用許可制」だ。
まず労働者の送り出し国との間で、2国間協定を結ぶ。悪質な業者を排除し、安定的に労働力を確保するためだ。韓国政府は各国に出先機関を置き、労働者の受け入れに当たるため、相手国もその信用の下で労働者を送り出せる。現在、締結国はベトナムなど16カ国に上る。
労働者の募集や送り出しの段階まで政府機関が責任を持つ韓国の取り組みに学ぶべき点は大いにある。
日本の入管法改正案では、どのような業種でどの程度の人数の労働者を受け入れるのかは政府が決める。だが、政府の関与はそこまでだ。
実際に労働者を受け入れるのは、当該企業と、業界団体などが担う予定の登録支援機関だ。これでは仲介料目当ての悪質な人材ビジネス業者が介入する懸念が残る。
さらに、韓国では、韓国語教育を政府の責任で実施している。伝統や文化の講座を開くなど、いわゆる社会統合政策にも取り組んでいる。欧州で外国人労働者の受け入れ数が多いドイツも政府が600時間以上の語学教育を保障している。
韓国にも課題はある。就労期限が過ぎても帰らない不法残留者の問題や、労働者が原則として企業を選べないという制約などがそれだ。それでも、外国人労働者の受け入れ問題を入管制度の枠内に押しとどめようとする日本の姿勢とは異なる。
賃金面での日本の優位性は揺らいでいる。自己都合に固執していては、労働者に選ばれない国になる。

少女たちの声に耳を 児童買春の被害など伝える 来月1、2日千葉で企画展:千葉 - 東京新聞(2018年11月26日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/chiba/list/201811/CK2018112602000139.html
https://megalodon.jp/2018-1126-0927-51/www.tokyo-np.co.jp/article/chiba/list/201811/CK2018112602000139.html

かつて児童買春の被害に遭うなどした少女たちの声を伝える企画展「私たちは『買われた』展in千葉」が12月1、2の両日、千葉市文化センターで開かれる。居場所がなく、大人から性暴力を受け、搾取された少女たち。企画した団体は「被害に遭うまでの背景に目を向けて」と呼び掛ける。 (太田理英子)
居場所のない若い女性たちを支援する一般社団法人「Colabo(コラボ)」(東京都)と、コラボとつながる少女らのグループが各地で巡回している企画展。二〇一六年以降、都内や広島、神奈川県など十一カ所で開かれ、千葉県では初めての開催となる。十四〜二十六歳の女性二十八人が児童買春や性暴力被害の過去を語ったパネルや、一人で過ごした場所のイメージ写真など約七十点を展示する。
「行くところがないとき、声をかけてくれるのは男の人だけだった」「男性は私を道具としてしか見なかった」。会場には、行き場も助けを求める先もなかった当事者の悲痛な叫びが響く。
「体を差し出す代わりにおにぎり一つもらった」と記したのは、虐待を受けて家出した十五歳の少女。空腹で困っている時に路上で声を掛けてきた男は、コンビニでおにぎりを買ってくれたが自宅に連れ込まれ、抵抗できずに性暴力被害を受けたという。
コラボ代表の仁藤夢乃さん(28)によると、コラボが支援してきた少女らの多くは、虐待などの理由で家庭や学校で過ごせない事情を抱える。そうした少女らに大人が親切に食べ物や居場所を与えるふりをして近づき、女子高生に接客などをさせる「JKビジネス」に誘導したり、性暴力を振るったりするという。最近は会員制交流サイト(SNS)を通じて家出少女に接触する大人も多く、人目に付かない場で危険に巻き込まれるケースもある。
少女らは、被害に遭っても「自分が悪い」との思いや大人への不信感から、誰にも相談できないことが多い。仁藤さんは「居場所のない子どもが駆け込み、安全に過ごせる場所が必要。自己責任論にせず、少女たちが買われるに至るまでの背景や買う側の存在、取り込む手口を知ってほしい」と訴える。
企画展は一日午前十時〜午後八時、二日午前十時〜午後四時。入場料は一般千五百円(前売り千三百円)、高校生以下無料。問い合わせは千葉の主催団体「シェアスル」=電090(5552)6445=へ。

<第一次世界大戦終結100年> 毒ガス弾 世紀超え汚染 - 東京新聞(2018年11月26日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/list/201811/CK2018112602000123.html
https://megalodon.jp/2018-1126-0929-19/www.tokyo-np.co.jp/article/world/list/201811/CK2018112602000123.html

フランスでは、第一次世界大戦(一九一四〜一八年)で使われなかった毒ガス弾の処理場跡地で土壌汚染が明らかになりつつある。大戦後、最大規模の集積所だったロレーヌ地方の小村ミュズレーは二〇一五年に耕作が禁じられ、現在も仏北東部など五カ所で調査が進む。戦争終結から百年たつが、大戦の“傷痕”は消えていない。 (仏北部ミュズレーで、竹田佳彦、写真も)
「草があまり生えず黒っぽい場所があるだろ。危険だからと使用を禁止されたんだ」
ミュズレーの農家セドリック・セルベさん(41)が畑の一角を指さした。村には今も、砲弾の残骸や毒ガス成分を入れていたとみられるガラス瓶が転がる。
仏地質調査所(BRGM)は一五年二月、大戦後の土壌汚染を調べていた専門家の指摘で村内の農家七軒の農地を調査。高濃度のヒ素ダイオキシン、スズ、亜鉛が検出された。セルベさんは管理する農地二百ヘクタールのうち四十ヘクタールの使用を禁じられ、肉用牛や子牛の殺処分を指示された。再調査を経た今も、まだ七ヘクタールが使用禁止のままだ。村内では他の五ヘクタールも使用が禁じられている。
問題の農地を〇〇年に借りたセルベさんは「地下水位が低く農作物に異常が見つかったことはないが、なぜ百年も汚染が放置されたのか。国から何の説明もない」と憤る。

ミュズレーはベルギー国境から約三十キロ。大戦時は侵攻したドイツ軍が鉄道を敷き、大型大砲でベルダンの仏軍要塞(ようさい)を狙った。近くには毒ガス弾を含む大量の砲弾備蓄庫が置かれた。
元ミュズレー村長で歴史家のダニエル・イポリートさん(72)によると、一九一八年の終戦後、使われなかった大量の砲弾が仏北部一帯やベルギーから集められた。仏軍の関係資料には、毒ガス弾だけで百五十万発、通常弾は三十万発あったと記されている。
BRGMの研究者ダニエル・ユベさん(48)によると、毒ガス弾は当初、仏軍が爆破処理したが、軍の招集の解除後は、設立された専門会社が処理を継続。深さ三メートルの穴に毒ガス成分を埋めたり、有毒な液体を容器にまとめて廃棄したりしていたといい、「汚染は、爆破処理による飛散や穴への投棄が原因と考えられる」と指摘する。
この専門会社は二五年ごろに解散。ロレーヌ地方は第二次大戦でも再び独軍に占領され、ミュズレーは食料調達のため独軍のもとで農地が区画整理された。戦争の混乱により、処理場跡地の位置が正確に分からなくなり、処理に関する資料も十分整理されなかった。「住民は二度もドイツに占領された忌まわしい記憶にふたをして、処理場を語り継がなかった。土壌汚染の可能性も知らず、これまで問題が表面化しなかった」とイポリートさんは言う。
BRGMは現在、仏北東部アルザスやロレーヌ地方のボージュ山脈内など五カ所で調査を進めている。ユベさんは「少なくとも五十カ所は類似の処理場があったとみられる」と指摘し、こう強調する。「銃撃が終わっても、戦争はけっして終わっていないんです」

文化系の部活 原点を見つめ直そう - 東京新聞(2018年11月26日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2018112602000135.html
https://megalodon.jp/2018-1126-0930-48/www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2018112602000135.html

中学校や高校の文化部に関し、文化庁は活動の目安を盛り込んだ指針の案をまとめた。長時間の練習による生徒や指導教員(顧問)の負担を減らすためだ。これを機に、活動のあり方も見直したい。
文化庁が一日、同庁の有識者会議に示した指針の案では「週二日以上の休養日を設ける」「一日の活動時間は平日二時間、休日三時間程度まで」などとした。
背景にあるのは、同庁が行った調査だ。目立つ実績のある国公私立の中学・高校を抽出してアンケートしたところ、たとえば吹奏楽部では、約五割が土曜日も五時間以上の活動をしていたという。
運動部向けにはスポーツ庁が三月、週あたり二日以上の休養日を設けるなどの指針を定めた。文化庁の案は、文化部でも活動が行きすぎるのを防ぐ狙いがある。
生徒に何時間も練習を強いるのは論外で、一定の制限は必要だ。半面、年内にも決定される文化庁の指針が独り歩きして「休養日は絶対に練習をするな」といった逆の強制になることも避けたい。
やり玉に挙がった形の吹奏楽部だが、美術や文芸など一人でもできる活動とは違う事情がある。全体の練習のほか、楽器ごとのパート練習木管金管などのセクション練習といったさまざまな練習が必要だからだ。とりわけ重要なのが個人の練習で、短時間でも毎日続けることが大切という。部活の主役である生徒の成長を支えるためにも、吹奏楽にかぎらず「うまくなりたい」という向上心を尊重する環境づくりを考えたい。
一方で、放課後や週末も部活動に時間を割かれる顧問の先生の負担を減らす手だても必須だ。
先進例として関心を集める名古屋市の場合、専門技術を指導して顧問を手助けする「外部指導者」や、技術指導から大会への引率や監督までも行う「部活動顧問」を校外から募り、要請のある学校に派遣している。こうした対策を広げ、活動の充実と先生の働き方の改善につなげたい。部活動の指導が「自主的にしている仕事」とされ、時間外手当がないなどといった状況も改めるべきだ。
文化部の活動が過熱する一因には、コンクールなどの成績を過度に重んじる「勝利至上主義」がある。自身の内面との対話でもある文化や芸術の営みで「他者に勝つこと」が主眼になるのはいかがなものか。生徒の心の成長のためにも、文化部の活動の原点を、指針づくりを機に見つめ直したい。

(書評)帝国化する日本 明治の教育スキャンダル 長山靖生(やすお)著 - 東京新聞(2018年11月25日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/book/shohyo/list/CK2018112502000203.html
https://megalodon.jp/2018-1126-0932-36/www.tokyo-np.co.jp/article/book/shohyo/list/CK2018112502000203.html

◆「日本回帰」の要因教育に
[評]成田龍一日本女子大教授)
「日本人はいつの間に欲望や戦闘を押しとどめる方法を見失ったのだろう」−これが著者の現状認識であり、切実な問いである。この事態を「帝国化」とし、歴史的に日本の帝国化を検証することが本書の内容となっている。
取り上げられるのは、明治末期(一九一〇年前後)の日本の「大きな転換期」である。このとき著者は、日本の「帝国化」は「上からの圧力ばかりでなく、下からの権利拡張願望によっても推進された」という視点を持つ。すなわち、「内に立憲、外に帝国」という状況で、「贅沢(ぜいたく)化した世代」「消費欲求を刺激された大衆」が「権利意識に目覚めていく」一方、「海外利権への欲望」にも向かうことをいう。「帝国主義的なメンタリティ」の解明である。
扱われるのは二十世紀初頭に教育の領域で起きた四つの事件である。小学校で使用する検定教科書採用をめぐる贈収賄、高等教育機関における道徳思想問題、国史教科書の南北朝の記述をめぐる論争、そして進化論の受容である。
いずれも世紀の転換期に問題化されるところに着目し、事件をきっかけに「教育改革」がなされ「変転」することをいう。「学問上の問題」「事実関係の検証」が、「政治や道徳(国体)教育」によって歪(ゆが)められる事例であり、「学術上の議論と国民道徳(国体)の不整合」を、修身、国史、自然科学に探った。
そのうえで、「明治の教育スキャンダル」が、昭和の「自己肯定のファンタジー」を生むことをいう。世紀を越えて、学歴が価値となり、レジャー産業があらわれ、贅沢化が進行し、「大正青年」(煩悶(はんもん)青年、耽溺(たんでき)青年など)が登場するが、その行く先としての「日本回帰」である。
著者は、人びとが「日本回帰」という欲望の肯定に至る要因を教育に求める。大正デモクラシーを経験したはずの日本が「容易に軍国主義に傾斜していった理由」とする。<いま>の状況と重ねあわせながらの叙述だが、肝心のこの部分が急ぎ足となったことが惜しまれる。

ちくま新書・864円)

1962年生まれ。文芸評論家。著書『日本SF精神史』『偽史冒険世界』など。

◆もう一冊
松沢裕作著『生きづらい明治社会−不安と競争の時代』(岩波ジュニア新書)

東京エンタメ堂書店)<小林深雪の10代に贈る本>本の中の「図書館」へ行こう - 東京新聞(2018年11月26日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/book/entamedo/list/CK2018112602000171.html
https://megalodon.jp/2018-1126-0934-13/www.tokyo-np.co.jp/article/book/entamedo/list/CK2018112602000171.html

健康寿命を延ばすには、運動よりも食事よりも読書が大事。図書館に通うとさらに良い。」という驚きの答えを、人工知能(AI)が弾(はじ)き出したそうです。あるテレビ番組での報告です。いいことずくめの読書と図書館! そこで、今回のテーマは「図書館」です。
出版業界でも話題になったテレビ番組。「さまざまなジャンルの本から知的な刺激を受けるとボケや物忘れ防止になる。また、図書館までの移動や読みたい本を探して館内を歩き回ることで、いい運動になる」とのことでした。
十代のうちから図書館に通う習慣を身につければ老後も安心!? さあ、まずは、本の図書館へ出かけてみましょう。  

◆仕掛け、あちこちに

<1>乙一(おついち)『箱庭図書館』(集英社文庫、六四八円)

 六つの短編は主人公もテイストも違いますが、舞台はすべて同じ「物語を紡ぐ町」というキャッチコピーの文善寺町という町です。そして市立図書館と、そこに勤める女性がたびたび出てきます。

 また、ある短編で、誰かが鍵を拾う。すると、別の短編では、誰かが鍵を落とす。などなど、ちょっとした仕掛けがあちこちに盛り込まれていて、通して読むとさらに楽しめる一冊になっています。

 また、この本は、読者投稿のボツ原稿を乙一さんがリメイクしたとのことですが、巧妙な設定と独特の語り口は、他の乙一作品と比べても全く遜色なし。ミステリーあり、ホラーあり、コメディーやファンタジーあり。部活や恋、友情や家族なども描かれバラエティー豊か。きっと、あなたも好きな一編が見つかるはず。


◆「大人の薦める本」は書かない

<2>辻村深月(みづき)『図書室で暮らしたい』(講談社、一六二〇円)
かがみの孤城(こじょう)』で今年の本屋大賞を受賞し、十代にも人気の辻村さんのエッセイ集。
好きな小説や漫画やアニメ、映画、ドラマ、そして自作についてなど、「物語」にまつわるエッセイもたくさん。
高校生の頃、好きな作家さんにファンレターを百通! 送って心配になり、「私はストーカーではありません」と また手紙を送ったら、なんとお返事がきたという話。
直木賞を受賞した際に、集英社の担当さんから「お祝いに欲しいもの」を尋ねられ『ジョジョの奇妙な冒険』を全巻もらった話など、つい笑ってしまいました。
また<小説を書く時にいつも思うことがある、それは「大人が薦める本にならなければいいな」ということだ。>という文章ではじまる「大人の薦める本」というエッセイには、大きく頷(うなず)きました。わたしもその気持ちを忘れずに、この連載の原稿を書きたいです。


◆10歳が親介護 現実に

<3>ジョー・コットリル『レモンの図書室』(小学館、一六二〇円)
パパと二人で暮らしている十歳の少女、カリプソは本を読むのが大好き。家に小さな図書室があって、ずっとひとりでもいいと思っています。
ところが、本をきっかけに転校生のメイと仲良くなります。そして、二人で感想を言い合い、本を薦めあう楽しさを知ります。そして、二人で小説を書き始め、ネットに公開するのですが……。
一方、パパはママが亡くなったショックから精神的に不安定になり、家事を放棄。カリプソは食事もままなりません。このように、病気や障害がある家族を子どもが面倒みる「ヤングケアラー(若い介護者)」は、近年、日本でも増えているそう。超高齢化で核家族が増えた今、他人事(ひとごと)ではないと、考えさせられます。
最後はカリプソの書いた小説で、パパの絡まった心の糸がゆるみます。文章の力、本を読むことは、やはり心と体に効くようです。

*毎月第四月曜掲載。

精子提供 改めて議論をおこす時 - 朝日新聞(2018年11月26日)

https://www.asahi.com/articles/DA3S13785129.html
http://archive.today/2018.11.26-003411/https://www.asahi.com/articles/DA3S13785129.html

匿名の第三者から精子提供を受ける人工授精(AID)が曲がり角に差しかかっている。最も多くを手がける慶応大学病院が、この夏から新規患者の受け入れを中止しているのだ。
提供時の同意文書に「生まれた子が提供者に関する情報開示を病院に求めた場合、応じる可能性がある」旨を明記したところ、新たな提供者が確保できなくなった。今いる患者への治療は凍結精子が枯渇しない限り続けるが、このままではいずれ立ちゆかなくなるという。
同意文書の改定は、子の「出自を知る権利」を尊重した措置であり、評価されてしかるべきだ。一方で、慶大病院の悩みは、日本産科婦人科学会に登録された約10ある他のAID実施施設にもあてはまる。
これらが縮小や撤退の道をたどれば、子どもがほしい人たちが、海外の精子バンクやネットを介した精子のやり取りに流れる事態が想定される。AIDの実態把握は難しくなり、トラブルが起きるおそれもある。
どう対応するべきか。学術界や医療界が中心になって改めて議論をおこし、社会の共通理解をつくりあげる必要がある。
AIDは国内で70年の歴史があり、1万人以上が生まれている。倫理面などの手当ては遅れていたが、同学会が97年に営利目的のあっせんを禁止する見解を公表。03年には厚生労働省の審議会の部会が、生殖医療全体を対象とする法整備の必要を説く報告書をまとめた。
だが動きはそこで止まってしまい、学会見解も、提供者についてはプライバシー保護の観点から匿名とし、記録の長期保存を求めるにとどまっている。
長年のたなざらしのツケが、今回の慶大病院の動きとなってあらわれたといえよう。事実を隠されて生きてきた子の苦悩や心身の不調に、これ以上目をつぶることは許されない。
出自を知る権利を認めつつ、精子提供者を確保することはできるか。諸外国はいかなる対応をしていて、どんな成果と問題があるのか。AIDで生まれた当事者の声も聞いて、合意づくりをめざしてもらいたい。
注意すべきは、03年報告書も既に時代遅れになりつつあることだ。たとえば報告書は治療対象を法律上の夫婦に限っているが、LGBTに対する認識の深化を踏まえれば、同性カップルへの対応など、幅広い観点からの検討が求められよう。
議論の際に忘れてならないものがある。それは、あくまでも生まれてくる子の立場に立って考える、という大原則である。

米の海外基地 第2次世界大戦後最少だが… 海兵隊の沖縄集中変わらず - 沖縄タイムス(2018年11月26日)

https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/349687
http://web.archive.org/web/20181126004021/https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/349687


【平安名純代・米国特約記者】米国防総省が公表した2018米会計年度(17年10月〜18年9月)の基地構造報告書で、米国が海外に展開する米軍基地の総数が514となり、1945年の第2次世界大戦後、最少となっていることが25日までに分かった。過去10年間(2008年度比)で、削減数は247(約32・5%)と大幅に縮小したのに対し、在日米軍の削減数はわずか3にとどまっている。一方、世界でも沖縄に海兵隊基地の大半が集中する構図は変わっていない。
18年度の海外米軍基地の総数は、40カ国に514(陸軍202、海軍123、空軍166、海兵隊23)。08年度の総数は761(陸軍327、海軍149、空軍259、海兵隊26)だった。10年間で削減数が最も多かったのは陸軍の125、次いで海軍123、空軍110、海兵隊は3しか減っていない。
海兵隊が海外に展開する基地は、08年度はケニアに1、韓国1、日本24(沖縄15、キャンプ・富士2、岩国2、5カ所は非公表)。18年度には韓国に1、日本22(沖縄13、キャンプ富士1、岩国1、7カ所は非公表)となっており、沖縄に集中する構図は変わっていない。
米国外で最も米軍基地が多い国はドイツ、次いで日本、韓国となっている。
ドイツにおける18年度の総数は194で、10年間で74減っているのに対し、日本は124(18年度)で10年間の削減数はわずか3。韓国は83(同)から4減った。
東西冷戦が1990年前後に終結して以降、米軍の海外基地は縮小傾向にある。

(転換期の「ひめゆり」)時代の変化を取り込め - 沖縄タイムス(2018年11月26日)

https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/349684
https://megalodon.jp/2018-1126-0937-48/https://www.okinawatimes.co.jp:443/articles/-/349684

体験者の高齢化が進む中で、沖縄戦の記憶をどのように継承すればいいのか。
沖縄社会が否応なく直面するこの問題に早い段階から対応してきたのは、糸満市ひめゆり平和祈念資料館(普天間朝佳館長)である。
昨年5月、同資料館説明員の仲田晃子さんが「ひめゆり・ヨーロッパ平和交流の旅」の報告会で語ったエピソードは象徴的だった。
「沖縄の子どもたちでも沖縄戦のことを『戦争時代』と呼ぶなど、『江戸時代』などと同じような感覚で捉えている」
子どもたちにとって73年前の沖縄戦に触れることは「異文化接触」に等しい体験なのかもしれない。
家族の中に戦争体験者がいないから、沖縄戦について聞く機会がほとんどない。学校現場は残業続きの日常業務にに追われ、平和教育の時間がもてない。
2017年度の修学旅行団体は小・中・高校あわせて2026校。県内は57校のみである。
開館以来の入館者は2200万人を超えるが、1997年度をピークに減少傾向が続き、年間の入館者が初めて60万人を割った。
ひめゆり学徒隊の体験者は、高齢化のため語り部活動の一線から退いた。戦後世代が資料館の運営を担い、入館者に戦争体験を伝える時代になっている。
戦争記憶の継承問題は、将来の沖縄社会像にも影響するだけに、沖縄全体の課題として、館を超えて取り組みの輪を広げていくことが重要だ。    ■    ■
昨年あたりから、ひめゆり資料館単独でも、時代の変化を見すえた取り組みが目立つようになった。
昨年12月、ひめゆり平和研究所を設立し、今年8月には映像制作ワークショップ「メモリーウォーク」を日本で初めて開催した。
沖縄戦の記憶を映像化するこのワークショップは、ひめゆり資料館とアンネ・フランク・ハウス(オランダ)が共同で実施したものである。
学芸員の前泊克美さんらが中心になって現在、進めているのが「『ひめゆり』を伝える映像作品コンテスト」だ(募集締め切りは30日)。
ドキュメンタリーやフィクション、アニメ、歌やダンスなど表現方法は自由、だという。ここにも若い世代を意識した工夫が感じられる。
ひめゆり資料館の使命とは何か。ひめゆり平和祈念財団代表理事の仲程昌☆(徳の心の上に一)さんによると、資料館は「平和のありがたさ」を知るための、沖縄戦当時の若い人たちから託された「バトンを受け取る場所」なのだという。

    ■    ■

説明する側にとっても聞く側にとっても大切なのは、「気付き」の機会が得られることである。
戦争の知識を得るというだけにとどまらない、もっと深い体験−それが「気付き」である。その機会をどのようにして作り出していくか。館の運営を担う戦後世代に課せられた役割は重い。
ひめゆり資料館は来年6月23日、開館30年の節目を迎える。

枝野氏、首相の母校で講演 「頭上がらない卒業生が…」 - 朝日新聞(2018年11月25日)

https://www.asahi.com/articles/ASLCT7362LCTUTFK00B.html
http://archive.today/2018.11.26-004136/https://www.asahi.com/articles/ASLCT7362LCTUTFK00B.html

立憲民主党枝野幸男代表は25日、成蹊大(東京都武蔵野市)で講演した。成蹊大は安倍晋三首相の出身校。この講演は報道陣による取材がいったん認められながら不許可とされる経緯があったが、立憲の職員が会場内から動画中継した。
枝野氏は冒頭、「私の頭の上がらない大変立派な卒業生を出しておられる」と切り出した。だが首相には触れず「うちの妻の母校で講演できて大変うれしい」と続け、笑いを誘った。
枝野氏は、大量生産や輸出産業が支える経済について「どうもこういう発想で『夢をもう一度』と思っている人がたくさんいるが、若い人はだまされない方がいい」と指摘。さらに、「安倍さんじゃダメだと思ったら、好きだろうが嫌いだろうがポスト安倍は枝野しかない」とも強調した。

安倍首相の母校、枝野氏講演の取材を拒否 配慮は否定 - 朝日新聞(2018年11月22日)

https://www.asahi.com/articles/ASLCQ5KKBLCQUTFK011.html
http://archive.today/2018.11.22-133412/https://www.asahi.com/articles/ASLCQ5KKBLCQUTFK011.html

立憲民主党枝野幸男代表が25日に講演を予定する成蹊大が、いったんは認めた報道陣による取材を不許可とした。22日までに成蹊大が立憲に不許可の方針を伝え、「学内での調整ミスがあった」と謝罪したという。
立憲や成蹊大広報によると、枝野氏の講演は学園祭の一環として学生団体「政治学研究会」が主催。9月末に同研究会が立憲に依頼し、開催が決まった。大学側は11月16日に取材を許可したが、その後、学長や学園長らからの指摘を受け、20日に許可を取り下げたという。
成蹊大広報は「想定以上の取材申請があり安全上の懸念が生じた」「特定の政治家、政党の宣伝や非難は行わないという学園祭規定に抵触しかねない」と理由を説明した。過去の学園祭でも政治家による講演はあったが、取材を許可したことはなかったという。
成蹊大は安倍晋三首相の出身校。2014年に大学を運営する成蹊学園のインタビューに応じ、学園広報ウェブサイトにも掲載された。大学側は22日、朝日新聞の取材に対し、安倍氏側からの指摘や配慮を否定した。一方、立憲関係者は「(首相と)関係があると見られるのは当然」と指摘。枝野氏は自身のツイッターで「(私の)妻の母校、成蹊大学での講演は25日の日曜日です」とつぶやいた。(河合達郎)