俺たちの2013年はこれからだ~My favorite 50 tracks of 2012~

          / ̄\
        |      |
          \_/
          |
       /  ̄  ̄ \
     /  \ /  \
    /   ⌒   ⌒   \                                                        
    |    (__人__)     |                                                                                                
    \    ` ⌒´    /   ☆
    /ヽ、--ー、__,-‐´ \─/
   / >   ヽ▼●▼<\  ||ー、.
  / ヽ、   \ i |。| |/  ヽ (ニ、`ヽ.
 .l   ヽ     l |。| | r-、y `ニ  ノ \
 l     |    |ー─ |  ̄ l   `~ヽ_ノ____
    / ̄ ̄ ̄ ̄ヽ-'ヽ--'  / オープナ  /|
   .| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|/|    | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|/| ______
/ ̄CD/|  ̄|__」/_オープナ  /| ̄|__,」___    /|
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|/CD ̄/ ̄ ̄ ̄ ̄|/ オプーナ /|  / .|
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|/l ̄ ̄ ̄ ̄| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|/| /
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|
よくぞこの記事を開いてくれた褒美としてオプーナとMy favorite CDを買う権利をやろう

オプーナ - Wii

オプーナ - Wii

オプーナはプレイ及び、購入に際して権利書を有するが、このブログはタダで読める!!!!


はい、と言う訳で物の見事にタイミングを逃しまくりの所謂年間ベスト系の記事を「もう今更2012年ベストとかはいいだろう・・・。」と思いつつ、それでもやっぱり何となく特に音楽に関して一年を総括したような記事を書かないと本当の意味での年越しにならないような気がしたので、何とか無様でも形にしたいな、と綴った次第です。
これを投稿し終えてようやく、俺の2013年は幕を開けるんや、と思っています。


実を言うとこの記事、大体8割方が2週間ほど前には書き上がっていたんですが、最後に手直しやら何やらをして「さあ投稿するぞ」、と最後の一踏ん張りを入れようと奮い立った矢先にインフルエンザにやられて、ぶっ倒れてしまったと言う曰く付きだったします。
思えば2012年から、iPodが壊れ、パソコンが壊れ、ルーターが壊れ、と音楽を聴く環境にも暗雲が漂っている様に思えたこともありましたが、その締めに機関はとうとう俺の身体を壊しに来たか・・・
もうこれはあれか、スノッブ以下の臭いがプンプンする小物の駄文で汚される音源達がかわいそう・・・、という機関の陰謀か、いいぞもっとやれ
馬鹿野郎お前俺は書くぞお前(自己満の鑑)

前置きが長くなりましたが、「最初は年間ベストアルバム形式にしようと思ったけど、ベストトラックという括りにすれば好きな曲について触れつつ、気に入ったアルバムについても言及できてなおかつCDシングルの話もできるぞ!」という下心を丸出しにしながら書いた私的2012年お気に入り曲50選です。
私の汚れきった心とは真逆の輝きを放つ素敵な曲ばかりです。
一応、登場が後になるほどお気に入り度が高い、というランキングっぽい形式にしましたが、結構順位は曖昧な感じです。


50

Dishonour the Crown 「Gone to the Dogs」 from 「Gone to the Dogs」

メロディー?知らんな。
アクセル踏みっぱなしでそのまま地獄まで突っ込んでいくんじゃないか、と思わずにはいられないギチギチグチャグチャの猪突猛進グラインドコア
潔く速くて短くてうるさい。なのだけど、滅茶苦茶やっているようで、実は演奏にグルーヴが感じられるのが萌える。

49
 
Wreck and Reference 「Cannot」 from 「No Youth」

ズーンズーン・・・ごわ・・・ごわ・・・ぼそぼそ・・・ぎえぇぇぇーーーーーあうぅーーギュイーギュイーン・・・ピーピー・・・ぼそぼそ・・・ぎえぇぇぇーーーーーあうぅーーギュイーギュイーン・・・
ロキノン厨よ、これがエクスペリメンタルだ。」「お、おう・・・」
全曲基地○じみてたけど、この曲は特にヒステリックぷっりがドラマチックに思えて引いた。

48

METZ [帯解説付・ボーナストラック2曲収録 / 国内盤] (TRCP101)

METZ [帯解説付・ボーナストラック2曲収録 / 国内盤] (TRCP101)

「Wet Blanket」

ささくれ立ったバンドサウンドでヒステリックなノイズをざくざく鼓膜に突き刺していく汚いさすがグランジ汚いと言った感じの、20代ならきっと大好きな90年代のそれ系の空気を分かりやすく内包しているようでもあって暴力的なのに香ばしい不思議な魅力を持っていると思います。

47

Enter Enter MISSION!

Enter Enter MISSION!

Enter Enter MISSION!

アニメファンの間に壮絶な戦車ブームを巻き起こした、カワイイのに熱いスポ魂作品の主人公チームが歌う同アニメED曲。
吹っ切れたように爽やかでポジティブでポップでキュートで、2012年のほっこり大賞。やっぱり、音楽を聴く時というのは救われてなきゃあ 駄目なんだ。
よし、みんな秋山殿に夢中だな。この隙にまこタソを(デュフフ・・・)

46

All We Love We Leave Behind

All We Love We Leave Behind

「Aimless Arrow」

俺はConvergeの、実は理路整然としているんだけどそれを激烈な勢いで表面的には完全に覆い隠してグッチャグッチャに聴かせてしまう音楽性に強い魅力を感じています。
なので、妙に理性的な印象を受けるこの楽曲は当初今一ピンとこなかったのですが、何回か聴いているうちに、悲哀を放出したまま、それでも生粋の激しさは殺さずにつんのめる姿もこれはこれで良いなと、感じました。

45

Physical Therapy 「Drone On (Feat. Jamie Krasner)」 from 「Safety Net」

透明感溢れる歌声がなぞるメロディーこそ清涼感に満ちた心地よいものですが、そのゲストボーカルの繊細さをバックサウンドが下支えし、より幻想的な浮遊感を生み出すのに一役買っている・・・なんてことは全くなく、ドラムンベースな打ち込みが忙しなく転がり回っていたり、バブリーな90年代レイブミュージック風の電子音がビービー鳴っていたりと「キレイなシンセポップだと思った?残念実験音楽ちゃんでした」ってな具合に、優美な歌が自身の自由奔放な遊び心とのギャップを際立たせるために配置されており大変素晴らしいです。

44

窓

「箱船」

ギミックや荒々しさはほとんど取っ払い、歌声とメロディの魅力にフォーカスしたモーサムボーカリストのソロ作から。
音数をグッと抑えたバックサウンドが静寂を演出し、そこで百々和宏が囁くように優しく歌うが、曲のクライマックスでバンドサウンドがダイナミズムを放出すると、歌声にも何処か力強さが宿って、と心揺さぶる泣き演出に俺も思わず激情にかられる。
個人的にモーサムはストレートに乱暴なロックンロールを奏で叫んでいる姿に一番魅力を感じている口なのですが、このソロ作を聴いていると、実は百々さんの儚げな歌声や繊細なメロディーセンスもバンド本隊において重要なファクターなんだな、と言う事も再認識できた気がしています。

43

キルミーのベイベー!

ありがちなJ-popの枠に甘んじず、どたどた忙しない2ビートから変拍子まで噛ましちゃう。その上、音色雑多で最早カオティックな音像の中、やすなが煽ってソーニャが切れる!!
目眩くユーモアに取り込まれて気付けばわさわさwwwwwww
やっぱキルミーって神だわ。

42

teen suicide 「dont like me」 from 「DC snuff film」

何かむしゃくしゃしてて激しいモノが聴きてえ−、って思った時にbandcampで「black metal」タグ付けて検索したら一見さわやかなのによく見ると不気味なジャケが目について視聴せずにダウンロードしたら話が違うぞコノ野郎状態だったアルバムから一番スピード感があった一曲。
バンドサウンドが駆けながら奏でる音像もその上で歌われるメロディーも一応はポップだが、肝心の歌声は丸っ切りやる気を感じないヘロヘロ声でおまけに過剰なまでのリバーブ処理を施しているため、計算か天然かすら分からない音こもりまくりの正にローファイな質感の録音も相まって、却ってそれがゾッとするような狂気にすり替わっている印象。
そうした、軽薄なロックを趣味の悪い音質とアートワークとバンド名などでねじ曲げるひねくれ具合には強い魅力を覚えます。

41

Attack on Memory

Attack on Memory

「Separation」

エレクトロ系の余計な装飾は極力排し、加えてこの楽曲ではボーカルまでも取っ払いメンバー各々が紡ぎ出す楽器の音色のみで荒々しさと一抹の切なさを撒き散らしながら一気に駆け抜ける。その潔いまでの勢いにはセカンドにして既に貫禄すら漂っていると感じる。おセンチな感触の楽曲ではなくともその凛然としたバンドアンサンブルと仄かに寂しさを香らせるメロディーセンスでリスナーのハートを狙い撃つ、ローファイ、インディロック萌えの紳士淑女をキュン死にさせること必至なナイスなバンドに出会えました。

40

Avec Avec 「おしえて」 from 「おしえて」

美しい夜景を眺めながら聴きたい、上品なのに色気たっぷりのメロディーと女性ボーカルに優しく歪むシンセが華を添える、クラブ畠のトラックメーカーだからこそ生み出せたように思える、煌びやかで艶やかな、それでいて空間的な広がりを感じる、浮遊シティポップ。
意識が溶けそうな心地よさにうっとり。
都会の片隅にひっそりと構えられている、雰囲気最高のバーですか、ここは。

39

邪神曲たち

邪神曲たち

後ろから這いより隊G太陽曰く燃えよカオス

悔しい・・・でも・・・(」・ω・)」うー!(/・ω・)/にゃー!
嫌よ嫌よも好きのうち。一度嵌まれば抜け出せない。エレクトロミュージックの後ろに這いよる混沌
イギリスのクラブシーンでは生まれもしないであろう、日本発のイカレポップ、それが電波だ!!!
何だかんだで脳内ループが止まらなかった。
パロだけ、ステマ、等と揶揄されがちですが、このOPも含め終始妙なハイテンションぶりを維持し続けた作品の痛々しいまでの勢いは素直に評価されても良い、と私は考えています。

38

Major Lazer 「Get Free (feat. Amber of Dirty Projectors)」

クラブミュージック界隈のプロデューサー二人組が今年発売の新作アルバムからDirty Projectorsの甲高ボーカルが魅力なAmber Coffmanをシンガーに招いた先行公開曲。
先ずは何より、ロックはロック畠の、クラブはクラブ畠のフィールドで住み分ければ良い的なクッソつまんない概念を悠々と飛び越えるクロスオーバーっぷりに痺れる訳ですが、音の方もそれに見合った面白味を内包しています。
本家なのに既にリミックス的なサウンドは、Amberのキンキン響く歌声を所々で何層にも重ね、浮遊感漂うミステリアスなトラックの上を気ままに泳がせていて、綺麗な中にも棘がある刺激的な実験性が何ともクールです。
一つのジャンルに拘りを持ってそれを貫徹するのも素敵ですけど、アンテナを張り巡らし様々なジャンルと向き合うのも格好いい音楽の形の一つだと俺は考えています。

37

Captain Murphy 「Between Friends Ft. Earl Sweatshirt」 from 「Duality」

彗星のごとくシーンに登場した謎のラッパーのミックステープから、Flying Lotusお得意の冷淡だが煌びやかな雰囲気のビートの上に淡々と言葉を乗せていく、やはり亜流クラウドラップ等とは一線を画する優美な空気感が素敵なこの曲。
Captain Murphy一体何者なんだ・・・。
俺の英語力がアレだからアレですけど、因みに、Flying Lotus以外のプロデューサー提供のトラックでもスムースにラップしている感じがして、もしかして繊細で多彩な音を生み出す人は、そこに上手く声を乗せる術も既に心得ているのかな、と考えてみたり。
トラックに関しても、シンプルなループでも何処か耳に残る中毒性は貫徹しているし、一曲一曲のアウトロで必ずそれまでの展開を断ち切る様にラップなしでの音遊びを貫く等、自身の出自に対するこだわりも感じられ、やはり面白い存在だなと。

36

B級映画のように2

B級映画のように2

「Straight outta 138 Feat. ECD

アルバムタイトルが「B級映画のように2」と言うことで、ヒットチャートを賑わす音楽に顕著な楽しげで華やかな雰囲気のトラックやテーマ等とは距離を置き、ストイックに自己の内面から気に入らない社会へのディスまで様々な視点を同じく様々なタイプのトラックに乗せラップしている、コンセプチュアルで感情の起伏すら感じ取れる奥深い作品。
特に後半#7「ロンリー」以降は名曲の連発でその中から一曲をベストトラックとして選出するのは中々迷う程の農濃さ。がやはり、ECDを招いたこの「Straight outta 138」は性急なビートの上に、巧みなライムを交えながらも、ただユーモラスなだけではなく感情の昂ぶりまでも犇犇と漂わすフロウを乗せ、ワーキングプアやら風営法やら原発やらの正にリアルタイムに蔓延る日本の悪しき矛盾とそれを引き起こすのに一役買っている利己的な政治家やマスコミ関係者らに容赦なく毒づいており実にスリリング。
優れたMCは社会への視点も鋭いのだ!

35

JJ 「High Summer」 from 「High Summer」

一夏が無情にも過ぎ去っていく時の感覚に陥る儚くて、切なくて、でもちょっぴりロマンチックな煌めきを放つ珠玉のドリームポップ。
美しく折り重なる歌声のハーモニーと浮遊感を漂わす音響が見せる幻覚は、正に夢見心地という言葉がよく似合う。いとをかし。

34

Lil B「Tropics」 from 「Gods Father」

次から次へとミックテープを配信し、シーンを追うのに熱心なヒップホップリスナーのPC容量をどんどん侵略、遂には848曲入りという、「他にやることないのか?」と軽く心配にすらなる作品まで公開した、ミックステープ過剰投下兄貴Lil Bさんの34曲入り作品の中から。
ソウルフルに声を振り絞りながら歌うMillie Jacksonの情熱的な音源をサンプリングしたトラックに気怠そうだが、耳に残るフロウを粛々とぶつけている。その妙な塩梅が面白い化学反応を起こしており、思わずほっこり出来る。
とにかく数々のトラックに矢継ぎ早にラップで挑んでいる意欲的な姿勢も凛々しくて震える。

33

RE;STORY(初回限定盤)

RE;STORY(初回限定盤)

「re;story」

タレントではなく声優、俺達のキタエリの1stアルバムタイトル曲は自身が好むシンフォニックメタルやV系ロックのエッセンスを抽出した、勇壮、シリアス、エッジィ、ファスト、メロディアスな美味しすぎる楽曲。そしてその真ん中を行くキタエリの艶やかな歌声も堂に入った存在感を示しており、失禁しそうな程クールビューティー
役柄でも個人的にキタエリは活発女子よりも、ガルパンダージリンさんやまよチキの奏お嬢様のような凛々しい声の出し方の方が好みだったりする。

32

MASS OF THE FERMENTING DREGS「たんたんたん」(画像はジャケではなくイメージです。)

昨年から今年にかけて、国内の「今後がとても気になるバンド」が相次いで活動休止や解散を発表してしまい大変残念な気持ちになりましたが、このバンドもそのうちの一つです。
彼女たちが最後にバンドとして届けてくれたのは、自分たちの苦しい心境を吐露しながら、それでも必至に前を向こうとする、エモーショナルで力強さに満ちた真っ直ぐなマスドレロックでした。
その余りの純真さに涙腺も緩む。ありがとう。

31

Angel Haze「New York」 from 「Reservation」

2011年に惜しくもこの世を去ったブラックミュージック界の巨匠Gil Scott-Heronがその一年前に発表していた、ほんのりと歪みを聴かせる電子音と軽快なハンドクラップが木霊するトラックが印象的なNew York Is Killing Meを大胆にサンプリング・・・と言うかほぼビートジャックした一曲。
元ネタは、還暦を過ぎた老体に見合わない様にも思える、音数は少ないのに何処か若々しいビートに、深い渋味を伴わせた歌声を見事に溶け込ませ、その食い合わせが強烈にフレッシュな革新性を生じさせていました。
が、そこに乗る声が凶暴さはなくともアグレッシブで挑発的な女性のフロウにすり替わると、これまた原曲とは違った色気がシンプルなトラックに宿ってしまうのが大変興味深い。
同じ音作りでも、それを乗りこなす声の主次第で如何様な印象にも化けうる事を、物怖じすることなく言葉を詰め込んだAngel Hazeのラップが証明しているようで音と声の化学反応の奥深さを痛感した次第。

30

BIRTHDAY(期間生産限定盤)(DVD付)

BIRTHDAY(期間生産限定盤)(DVD付)

ナイショの話

小気味よいシャッフル・ビートを豪快に下支えするみんな大好き柏倉隆史氏のドラムを筆頭に、ロックな味付けを施した音作りはかなりタフな印象を受けるが、それを躊躇なく、まだ何処かあどけない雰囲気(まだ現役高校生だから当然だよね!!)の歌声で可愛らしいメロディーを聴かせるJ-popとして成立させてしまう、プロデューサーの手腕もまた痛快です。
骨太なのに洒脱、なのに何処かヲタっぽい、と色々と個人的にも美味しい一曲です。

29

Good Kid M.a.a.D City

Good Kid M.a.a.D City

「Swimming Pools (Drank)」

自分の人生を振り返り、それを題材にしてコンセプチュアルなストーリーを描き出す、内省的だがドラマチックな映画のようでもある本曲収録アルバムは絶対英語の意味がダイレクトに伝わってくる方が、その魅力の心髄を楽しめるんだろうなー、と思いつつ日本レコード会社が和訳付きの国内盤を出しやがらない海外メディア大絶賛の作品から。
けれども不穏な雰囲気が漂うトラックに乗せ、自身のアルコール依存について淡々とラップする彼のフロウは言葉の意味が理解出来なくとも、声の調子から異様に鬱々とした俯きがちな表情が見て取れる様だし、フックで迫真的なダイナミズムが襲うスリル溢れる展開はサウンド的にも耳に訴えるものがあると感じました。
他にもMoney TreeではBeach Houseをサンプリングする等、物憂げで感傷的なトラックが満載のメランコリーな音楽が好きな人ならヒップホップ門外漢だろうが引き込める求心力を持った作品ではないかと。
因みに、こちらの作品解説が大変素晴らしいと感じたので、作品の世界観などを理解したい方は是非ご参照を。

28

HELLBLAU(初回生産限定盤)(DVD付)

HELLBLAU(初回生産限定盤)(DVD付)

「KA NA SHI MI NO A N JI」

「シンセスピアンズ」の頃の様な狙い澄ましたチープなダサ格好良さは後退し、音作りは丁度、まりんも最近のソロ作でやっていた温もりを排除したミニマル・テクノのようなスタイリッシュで毒々しくもあるエレクトロミュージックにシフトしている印象。ユーモラスな歌詞やノスタルジックなポップネスも石井関連の作品の中ではかなり抑え目で、それが強固でもあったかつての、Goatbedならではの音楽性という部分を薄めている様にも感じますが、まぁいずれにせよ好みな音作りで、そこに好みな歌声が健在でさえあれば、アルバム全体では少々食い足りない印象を覚えても、はまる曲にはどっぷりはまってしまう訳で。
アルバムラストを飾るこの曲は、冷ややかで虚無感すら漂うタイトル通り悲しげなエレクトロサウンドの上で石井秀仁の妖艶な歌声が反響する、思わずトリップしてしまいそうになるドープな仕上がりで、こういうアバンギャルドな側面は忘れることなく披露してくれるから、やはり頼もしい。

27

孤高の画壇

孤高の画壇

「コスモナウト」

情熱的に奏でられる鍵盤と緩急自在のリズム隊としなやかなに掻き鳴らされるギターが織り成す強靱なアンサンブルで「静」と「動」を縦横無尽に駆け回り生み落とされるのは、言葉や声を用いるまでもなく溢れ出る叙情的な音の空間。
楽器はね、時に余りにも美しく歌える無限の可能性を秘めているんです、と言う事を突きつけてくるフレッシュな響きに満ちたゆとり発の美インストロックに痛烈に耳を打たれました。素晴らしき快感。

26

自由へ道連れ

自由へ道連れ

斜めに構えた音楽性が主軸になりつつある林檎さんが林檎印のポップネスが炸裂するABサビを切れっ放しのバンドアンサンブルの疾走と共に声を荒げながら歌う、こんなどストレートなキラーチューンをぶっ込まれたら瞬殺されるしかないじゃない!!
俺が一番惚れたのはこういう曲なんだよなー。

25

SAMURAI SESSIONS vol.1(初回限定盤)(DVD付)

SAMURAI SESSIONS vol.1(初回限定盤)(DVD付)

「祈りを」

様々なフィールドで活躍するミュージシャンに雅が持ち前のギターテクで真っ向から化学変化を起こしにかかる異色セッションアルバムから、ラストを飾る亀田誠治坂本美雨とのコラボ曲。
超絶なスラップ奏法であらゆる場面でも強靱で主役級の存在感を示す雅のギターもここでは優しいベースラインをなぞる亀田誠治と共に、坂本美雨のタイトル通りスピリチュアルなムードさえ漂わす清らかな歌声とそこに優しく寄り添う雅自身のたおやかな歌声の両者により鮮やかに彩り添える名脇役として機能している印象。
それぞれがそれぞれの良さを引き出し合いながら個性をぶつけ合った結果、あらゆる負の感情を完膚無きまで粉々にしていくような幸福が支配する楽曲が生まれた。
これぞコラボ作のあるべき姿だと感動を覚え、俺の汚れきった魂まで洗い流されていくようですよ。

24

Joey Bada$$「Don t Front Feat CJ Fly」 from 「1999」

物騒な銃声や悲鳴が轟く厳ついハードコアとも、R&Bやケバいエレクトロミュージックに迎合したセルアウトとも、はたまたミステリアスな雰囲気が漂うダウナーなクラウドラップともまた違う。
ヒップホップ黄金期等とも呼ばれる90年代初期頃を見つめながらそれを過去への憧れとフレッシュな視点を織り交ぜながら、現在に持ち込んだ非常に興味深いミックステープから。
特にこの曲は鋭いスクラッチに穏やかで心地よいLo Borgesの楽曲をサンプリングし、そこに軽快にラップを乗せていてその余りのしなやかさに思わず恍惚。
これで年齢は2012年時点で田村ゆかり姫とタメの17歳って言うもんだから、あ、こいつ実は永遠の17歳だな、とか疑いつつ、やっぱりまだまだ新しい才能は出現してくるんだなー、という心強さも噛み締める訳です。

23

Money Store

Money Store

「Hacker」

頭からケツまでボーカルもビートも上モノも何もかも楽曲を形成する音の一つ一つがとにかくハイテンションでむさ苦しくてうるさい。が、特にこの楽曲に関しては最後の締めという事を意識したのか、フックが明快でその分爽快感も強いという、「最後だからウルトラハッピー成分強めで行くか!」的な思惑を何となく感じてしまい思わず微笑んだ。
そんなDeath Gripsは、この楽曲が収録され、多くのメディア等から高い評価を得た「The Money Store」リリース後、レコード会社と揉めフルレンスの新作を独断でフリー配信するという何ともセンセーショナルな事件を起こす。
自分でネタをまき世間に注目させ、その期待以上のものを次の作品で見せつける
本当にこの世は金と知恵ですよね 亜城木先生!(極悪ドヤ顔)
とまるでバクマン。の展開の様にすら思えてしまう程に野心的で、そして何よりレコード会社への社畜精神に中指だけで無くTNTNまでおっ勃てるパンキッシュなアティチュードにもやはり惚れ惚れしちゃう、今後も目が離せない存在。

22

Danny Brown「Grown Up」 from 「Scion A/V Presents: Danny Brown - Grown Up」

余計な装飾は極力抑えて、音数は少なくとも低熱でシリアスなムードを醸すトラックにDanny Brownは特有の耳にへばり付く様な粘着系のラップをひたすら吐き出し、要所で切れまくりのスクラッチがクールなムードを後押し。
何というか、今の時代にあえて小細工なしで剥き出しのヒップホップの魅力を体現しようとしている印象を受けて、直球で直走るスタイルが却ってスリリングに思えた。
ラップミュージックを敬遠している人にもストレート故に響くものがありそう。

21

Chief Keef「Save That Shit」 from 「Back From The Dead」

キックはずっしり重く鼓動を奏で、多重コーラスはむさ苦しく響き、ラップもエフェクト加工が施してあり耳にこびりつき、と胸焼け起こしそうなほど濃厚なガチャガチャした音作りだが、そうした騒がしい音響をすり抜けて突き進む妙にキャッチーで鮮やかですらあるメロディーとそこににほんのり寄り添うエレクトロな装飾が全てを掬い上げる。
収録ミックステープでの曲順的にもハーコーな流れからリスナーをカタルシスへ導く様な役割を担っているのか、いかにも厳つそうなヒップホップの楽曲に爽快感までも宿らせており実に痛快。

20

TALWST「Colors」 from 「Alien Tentacle Sex」

The Weekndの作品に大きく関わったIllangeloがプロデューサーを務めていると言う事で、音の方は確かに冷ややかな雰囲気が漂うR&Bと言った趣が主。
この曲でも煌びやかだけどやはり涼しげな音数の少ないアンビエント風のトラックが用意されています。が、序盤の低いトーンからメロディーが開放的になるに連れて情熱を振りまき突き抜けていくリリカルな歌声が、クールな音像とは対照的でむしろそれをより鮮やかなカラーに染め上げていく展開が何とも胸熱です。
盛り上げ所を如何に魅力的に表現するか、というドラマの作り方の秀逸さに打ち抜かれました。

19

Azealia Banks「LUXURY」 from 「FANTASEA」

トラックは4つ打ちを導入してややダンサブルなリズムが敷かれてはいるけど、上モノの音使いが無機質だったりミステリアスだったりと錯綜しており、キラキラとしたかわいらしさではなくサイケデリックな怪しさを演出する、中毒性抜群な仕上がり。
それと合わせるようにAzealia Banksもラップは異様に淡々と呟き、いざメロディーを歌い上げるとなると、セクシャルな香りを振り乱しながら妖艶にしかし伸びやかに強烈な存在感を示す、と完全にキャラクターをバースとフックで使い分けているようで、イカしたトラックは完全に乗りこなされ、すっかり彼女へスポットライトを当てさせる名舞台と化してしまった印象。
こりゃあ、最高なじゃじゃ馬だぜ。超痺れる。

18

「Raymond 1969」

本国では元々デジタル配信限定リリースだったが何故か国内盤でのCD化が実現した愛しさと、そのCD化にあたり大人の事情でA$AP Rockyとのコラボ楽曲が未収録になってしまうという切なさと、それでも密に詰まったダウナーなヒップホップの連打連打にひれ伏すしか無い心強さが入り交じるLA出身ラッパーの傑作セカンドから。
Kendrick Lamarは自己内省をテーマにしたストーリーをアルバム一枚を通して描き出すために、そのシリアスな生い立ちに沿ったナイーブでドラマチックな雰囲気のトラックを多く用いた印象だった。一方でこちらはもっと突き詰めてダークで気味の悪い世界観を演出する根暗な小生も大好物な陰鬱クラブミュージック系のドープビートが満載。
そんな中でもこの曲は90年代厨なら脊髄反射で濡れてしまうであろうPortisheadの「Cowboys」を下敷きに、レイモンド・ワシントンというギャング集団の創設者をキーにアメリカの狂気を物騒なリリックで綴り、それをぶっきらぼうなフロウで吐き捨てるという、ロックファンも大満足な仕上がりになっている様に感じ特に引き込まれました。

17

ライフ・イズ・グッド

ライフ・イズ・グッド

「Daughters」

ストリートのリアルを哲学的な言葉選びで綴るヒップホップ界最高峰のリリシスト、King of NYのNasさんも、流石に愛娘が余所の男に誑かされているとなると、ついつい取り乱しがちになってしまうようで、自己の過ちや弱気な心情さえ曲中で吐き出している。
「俺も娘が生まれたらこれくらい溺愛するのかなー。」とか考えつつ、俯きがちなパパの複雑な心境に和訳を眺めながらちょっぴりしんみり。
それでも言葉の意味がダイレクトに伝わってこないTOEICスコア[禁則事項です]な俺には、70年代のソウルミュージックを引っ張り出してきたヒットメーカNo I.D.によるトラックに華やかな女性コーラスを絡めながら、やはり畳み掛けるように流麗に言葉を並べるフロウがスリリングに耳を駆け抜けるクールネスなサウンドとしても楽しめるのがまたよし。

16

Rick Ross「Mine Games (Feat. Kelly Rowland)」 from 「Rich Forever」

後ろに立たれたら取りあえずチビってしまいそうなメメメメメイバックミュージックの首領リック・ロスさんだって強面ハーコーな側面だけでなく、セクシーな歌姫を交えてほろ苦いラップだって披露するんです。重量級のボディブローを喰らわせまくってフラフラしている所にこんなビタースイーツ置かれたら旨さ一入です−。
今年も良質なフリーのミックステープが沢山配信されたと思いますが豪華絢爛という意味ではこれが収録されている「Rich Forever」が頭一つ抜けている気がします。太っ腹なのは体系だけじゃないって訳ですね。

15

Action Bronson「Pouches Of Tuna ft. Roc Marciano」 from 「Blue Chips」

何とハードロックバンドExtremeの「Rest in peace」からイントロでネタっぽく取り入れられているバイオリンの演奏を引っ張って来てループしているトラックに客演のRoc Marcianoと共にストIIザンギエフの様な巨体な風貌から受ける印象とは裏腹な、ややテンションを落としたクールなラップを乗せている。
収録ミックステープのオープニングに据えられているが、マンネリ化したインストを据えるよりもよっぽど掴みばっちり遊び心たっぷりで「いったい何が始まるんです?」と思わず聴き手を身構えさせること請け合いの作品の幕開けに相応しい曲だと思います。
元ネタのあのイントロがヒップホップのトラックとして組み込まれると、これ程中毒性を持って響くとは、と言う様にプロデューサー陣のアンテナの張り方やアイディアのアウトプットの仕方なども研ぎ澄まされているとしみじみ。

14

Vaenus「diediedie!!」 from 「Nekophiliac/Vaenus Split」

猥雑で暴力的な打ち込みビートに辛うじて聴き取れる「ダイダイゲハゲハ」とほぼ言語の体を成していないサンプルボイスが木霊する激烈ハードなロリ要素ほぼ皆無のロリコアだが、最後の最後で不意に反則級にメロディアスな展開をねじ込んでくる、ただうるさいだけじゃない痛快爽快殺傷力抜群の正にキラーチューン。俺の心も弾みっぱなし。
昨年は例年に比べてCDを買えなかったけど、bandcamp等を徘徊して、メディアに頼りっきりでは中々見つけることは出来ないであろう刺激的な音楽に出会うことが出来たのは収穫だったな。
カッコカワイイ忍タソのジャケも最高。

13

Kaleidoscope Dream

Kaleidoscope Dream

「How Many Drinks?」

センチメンタリズムがキラキラ輝くアトモスフェリックR&Bの宝石箱からの一曲。
収録アルバムは芸術的で重厚な趣よりも、ロックやファンク、ソウル等を織り交ぜながら順当に耳に馴染むポップスとして仕上げているトータリティの高さが秀逸だと感じます。
そんな中、セルフプロデュース曲は勿論、O'Donel Levyをサンプリングした他者プロデュースの本曲では芯の太さを感じる伸びやかな歌声にゲストシンガーでも招いているかの様な超ハイトーンコーラスを重ねる等、声色の使い分けに圧倒され、本作の主役は飽くまでも歌声である事がよく分かります。
派手でテンション上げ重視のセルアウトポップスは聴きたくないけど、メロディアスな音楽が好きなワガママさんは迷わず本作を聴いて妖艶な歌声に浸りましょう。

12

シングルコレクション+ミツバチ

シングルコレクション+ミツバチ

「猫背」

寂しげにしかし優しく響くピアノの伴奏に中盤から加わるストリングスも過剰な自己主張はせず飽くまでも音色に静かに彩りを添える事に徹している印象。
最早坂本真綾はシンプルな薄化粧でも、その幾分かの繊細さと長い歩みの中で培ってきた凛々しさを内包した歌声があれば、奥深くリリカルな世界を十分に表現できる、と言う事を改めて強くアピールする感動的な一曲だと思います。
菅野よう子さんの音作りも、何処か立派に成長を遂げ続けている我が子を一歩引いた所で見守っている様ではありませんか。

11

INSIDE IDENTITY

INSIDE IDENTITY

「OUTSIDER」

2012年アニソン界隈の作家クレジットでよく名前を見かけたZAQ氏の楽曲の中でも個人的に一際胸を打たれた楽曲がこれ。
ヘビィなバンドサウンドにキュートな声優ボイスとキャッチーなメロディーが乗る最近増加気味のアニソンの一つの型にはまった作りには思えるものの、そんなちんけな懸念なんかは闇の炎に抱かれて消し去ってしまう程のダークフレームマスターが操る炎並みに熱いヒロイックさがこの楽曲には宿っている。
正直シリアル展開で迷走していった様に思えるアニメ本編よりもよっぽど「中二病」の勇ましさを体現している痛々しさと愛おしさが錯綜する愉快痛快ヘビィポップだと思うのデス。
中二病は現実からの逃避行ではなく生き様なんだよ!俺はそう信じている。だからこそ言おう!爆ぜろリアル!!

10

TOTAL

TOTAL

「WE CAN...」

特に初期に顕著だった、おどろおどろしいトラックの上に何処か抽象的だが鋭く威圧的なリリックで北の地から日本全土に牙を剥いた若さ故の衝動的なアグレッションは鳴りをひそめ、硬く冷ややかな雰囲気のビートの上で「あの悲惨な日々を通過し、今を生きている俺やお前に何ができるのか」を問いかけるようなラップが印象的なアルバムから。
完全後追いではあるけど、俺も1stに衝撃を受けた口なので、そうした作風の変化に寂しさを覚える部分も確かにある。しかし、幻想的で美しいインストを終え本作の真の幕開けとも言えるこの曲から強く感じ取れた、日本語の一つ一つの響きを重んじ、言葉を目一杯詰め込んでいる様でありながら流麗に韻を踏むスキル、そして過ぎ去っていった自分たちの過去や仲間、ライバル達を振り返りながらも、やはり前を見つめ「俺達はまだまだ高く飛べる」と高らかに宣言する力強さには痺れるのである。
賛否両論はありそうなものの、アルバムとしても、シーンをそして今を生き抜いてきた存在としてヒップホップを通して今後自分たちはどう生きていくのかに真摯に向き合った重要作だと思います。

9

The Klock

The Klock

「The Klock」

いつも通りのデジタルとヘビネスが織りなす攻撃的なサウンドに圧倒され、何時になく優美なメロディアスパートに酔う。
まるで「ヘルタースケルター」と引っ掛けたかのように、一曲の中で露骨に「醜」と「美」のコントラストを描き出している。
AA=の新機軸の様で有りながら、デジタルに大きく舵を振り切るより前のMADの頃の作風に回帰したかのようにも思える上田剛士という男の歩みの長さも感じた、テンション上げつつ、不意に心を抉られる名曲だと思います。

8

Nakaji「近江謳歌-Lake Side Boogie-」 from 「音洒落吐露(改)」

2012年はミュージックマガジンでの特集等をきっかけに日本語ヒップホップのミックステープも結構ダウンロードして聴いていたのですが、その中でも群を抜いて自分好みだったのがこれ。
この曲のリリックで自ら述べているけど「JAZZにFUNK ブルースにフォーク/演歌とCLASIC ロック&HIPHOP」を織り交ぜ、日本語ラップに対するイメージが「悪そうな奴は大体友達」で止まっている人達を出し抜くような軽妙洒脱なフロウで突っ切る。
日本人による下世話な外人かぶれ的な音ではなく、ブラックミュージックを重要なルーツに置きながらも、それらの解釈や再構築の仕方が完全に和風であり、立ちこめる空気は大正ロマンや或いは丁度ジャケで使われている遊郭辺りをテーマにした映画のBGMのよう。
正しく和洋折衷な日本人ならではの研ぎ澄まされたセンス、視点に完全にロックオンされました。
日本のラップミュージックに偏見を持っている人こそ聴くと良いかも、と思いました。

7

R.a.P. Music

R.a.P. Music

「Big Beast Feat. Bun B, T.I. & Trouble」

ヒップホップのビートに腰を求めるなら、或いはラップミュージックのサウンドに攻撃性を欲するならばこれを聴かない手はないですよ、奥さん。という訳で、Outkastの客演でデビューしたラッパーがEl-Pに楽曲制作を一任したアルバムから。
アルバム後半のシリアスな雰囲気のトラックで聴かせる何処か物憂げなフロウも魅力的だが、前半の押しっぱなしな展開もかなり圧巻で特に冒頭のこの曲は、インダストリアルメタルのような凄まじい破壊力を提示してくるバッキバキの音圧、ビヨビヨとサイケデリックにうねるエレクトロニックな音色、豪快な客演人も揃い踏みで矢継ぎ早に吐き捨てる扇動的なマシンガンラップ、それら一曲に詰め込まれた音の一打一打が決定打的なパワーを持って的確に俺の鼓膜をクリティカルヒットで速効ノックアウト。激クール!!

6

卒業と、それまでのうとうと

卒業と、それまでのうとうと

「春に」

春がやってくる度に感じる新しい日々に対する淡い希望と、理想とのギャップにうつむく憂鬱と・・・。
「今年はきっと変わるから」「もう一年も終わりかー」「ちょっと待って、カフェラッテ」を繰り返してる間に私も今年で受験ですよ、成人ですよ、卒業ですよ、就職ですよ、定年ですよ。おいよせ。
このまま時が止まれば良いのに・・・とは、多分誰もが思うことですよね。
その辺の繊細だったり狂おしかったりする、複雑だけど非常に人間味に満ちた春先に誰もが抱きうる感情の起伏をある種残酷なまでのリアリティで描写した、刺さる人にはどんなラディカルな言葉よりも深く深く胸に突き刺さって風穴を開ける、日本語の美しさ素晴らしさを堪能できる一曲。
歌詞が良いって言う常套句は、本来こういうリリックにこそ相応しい。

5

蛇姫様

蛇姫様

「鉄壁」

静かな鍵盤のみだった序盤から一転して熱情に満ちたバンドサウンドが加わり、「自分を愛してくれる愛する人たちへの思い」を優しくも力強いメロディーに乗せ切々と歌うべったべたなロッカバラード。
こんな曲を投げかけてその後さようならとか告げられたら、もう泣くしかないじゃない・・・。

4

Vanitas

Vanitas

「A Metaphor for the Dead」

アルバムの締めと言う事で特にこの曲は分かりやすかったですが、これだけクッソ汚くてクッソうるさいのに基本的にどの曲でもほんのりと哀愁を忍ばせて奇妙なキャッチーさまでも生み出してるって凄いよな。もう相変わらずの衝撃と感激で開いた口から涎垂れっぱなしですよ。

3

Allelujah! Don't Bend! Ascend!

Allelujah! Don't Bend! Ascend!

「We Drift Like Worried Fire」

10分を優に越える大曲が苦手のゆとり世代だろうが何だろうが、長いブランクを経てもなお相も変わらず、静寂と狂騒、美しさとスリル等、諸々の相反する性質の混在が生み出す音楽、それを通して構築される超絶重厚な世界へと引きずり込む。
連れ込まれたら最後、最早抜け出す術などなく、その世界の終焉を見届けるまで固唾を呑んで立ち尽くすのみ。
これだけ圧倒的な20分を音楽で表現できる存在がどれだけいるだろうか。
で、この曲に顕著だったんだけど、今回、アルバム全体の流れも、或いは大曲が持つ密度満開の1曲の中で繰り広げられる展開も何時になくなだらかで、本当に息を呑むほど神秘的で、一曲がその長さである必要性みたいなものも明快な感じがして、つまり個人的にGY!BEのアルバムの中でもかなりのお気に入り作品だこれ、とか思っちゃった訳です。

2

お後がよろしくって・・・よ!

お後がよろしくって・・・よ!

「お後がよろしくって…よ!」

Q.この曲の好きなところは?
A.つまんねーこと聞くなy(ry
ハッピーなコード進行、適度に作品とリンクさせた電波な歌詞や派手な音使い、等々楽曲を構成する各要素が高次元で手を取り合った、畑亜貴×神前暁タッグの心髄とも言える高品質ポップス。
クールからあざとカワイイまで、それぞれ違う魅力を持った五人の声優達の歌声も中毒性に拍車を駆けていると思います。
とにかくよく聴いた。
因みに好きなじょしらくメンバーは、
ウザンヌちゃん>>>>>>>>>越えられない壁>>>>>>>>>>その他五人。

1

チャンネル・オレンジ

チャンネル・オレンジ

「Thinkin Bout You」

初めてFrank Oceanの歌声を音源でしっかりと耳にしたのは2011年にリリースされたKanye & Jay-Zのコラボ作「Watch The Throne」での客演での事だったと思います。
セレブリティとアングラを共存させた傑作「Watch The Throne」のオープニングを飾る「No Church In The Wild」は重厚なビートとフロウで凄みを轟かせるあの作品の幕開けに相応しいナイスなトラックでしたが、その曲のド頭に据えられたのが何処かミステリアスな雰囲気を漂わせたFrank Oceanの歌でした。

その歌声に魅せられ彼の事をもっと知りたいと思いフリーのミックステープ「Nostalgia, Ultra.」をダウンロードして聴いた所、ColdplayRadiohead等の音源のユーモラスな使用方法から益々彼に惹かれたものです。
そうして、彼のフルレンスを待ちわびている所にふとしたきっかけから発表された彼の声明を私も目にしました。
彼の綴る言葉(これは翻訳が大変素晴らしかった事もありますが・・・)の一つ一つが優しかったり、寂しかったり、ととても繊細で美しく彼の経験した狂おしい恋心の余りの切なさには思わず涙腺が緩みそうにもなりました。
会いたくても会えないというのではなく、そばにいるはずなのに伝えることが出来ない、伝える事で全てが崩壊してしまいかねないという性別の壁を越えた複雑な心境、そして遂に思いを相手に言葉で届けるも決してお互いの思いは交わることがなかった、という結末は正に叶わぬ恋ではないか、と感じたのです。
彼は自分がいる現実よりも輝かしい世界を音楽を作る事で描き出したい、と考えていたようですが、正にこの曲では、そうした過去の苦しみと真摯に向き合い、それを痛いほどに眩しいナイーブなラブソングとして昇華していて、曲の素晴らしさとクリエーターとしてのその残酷なまでに純粋な創作意識に激しく胸を打たれるのです。




あとがき・・・。

Mr.Ya「ぬぅあ〜疲れたもおぉぉぉぉん!先輩きつかったッスね50曲は。」
Mr.Mu「あぁー、もう50曲はすげぇーきつかったゾ〜」
Mr.Ya「こんなん毎日続いたら 辞めたくなりますよ−、ブログゥ〜」
Mr.K「はてなで一日分しか記事書いてない奴が何を・・・(嘲笑)」

はい、そんな感じで、一応気に入った楽曲の話をしながら収録アルバム自体も強い魅力を感じたものはその流れでアルバムの話もしつつ、ちょっと何言ってるか分からない駄文で感想を書いてきました。
これなら、年間ベストという括りでアルバムの事を中心に話しつつ気に入った楽曲についても所々書いた方が分かりやすくて良かった気もするし、何だかどっちつかずの中途半端な記事になってしまった気もしますが、取りあえず2012年分はこういうお気に入り曲を挙げていく体裁で私の年間ベストを締めようと思います。
皆さん、良いお年を。
もう始まってる!!(2013年)

と言う訳で「あんまりネットスラングを使うなよ。キモく見えるぞ」と頭の中でオサレな師匠の声が木霊して心苦しいですが、せっかくはてなのアカウントを取ったのだから、ただライフハックをブックマークしては「よっしゃ、これで俺もエリートに変わるな!」と実践もせず空想のみ繰り広げる、という不毛な日々を脱し、何とか精進して今年こそはここでももう少し定期的にブログも書いていけたらな、と思います。
その折には、何卒よろしくお願いします。

最後に、当リストのNo.1〜31の楽曲からさすがに長すぎるので除外したGY!BEの楽曲以外の30曲を順番ごちゃまぜにして8tracksに詰めました。
その1
その2
その3

俺の文章がキモいので受け付けない、という方はこちらで気持ちいい音に触れていただけると、思います。

こうして眺めてみると、出来るだけ偏りなく、色々な音に触れたいと常々考えていますが、2011年に引き続きややヒップホップに好みが偏りがちになりました。後、煌びやかだけど鬱っぽいR&Bにも強く惹かれたかな。
結局私は、綺麗な中にも毒があるもの、毒々しさの中に明快なメロディーがあるもの、等に魅力を感じるのだな、とも改めて。
例年以上に海外メディア頼りなアンテナの張り方をしてしまったような気もするので、今年は、また素敵な音楽に出会うことも含めて、気持ち新たに、様々な面で行動的な男になれたらな、と考えています。
無駄に長い記事になってしまいましたが、ご付き合いいただき誠にありがとうございました。