Übungsplatz〔練習場〕

福居伸宏 Nobuhiro Fukui https://fknb291.info/

「大衆はなぜすべてのことに干渉するのか」 - 本と屁爆弾

つまり、「自分には論理的に思考する資質がない」と自覚できる程度に大衆は利口なのである。が、それゆえに「自分の判断を誰かが求めている」と思いたい虚栄心があり、大衆の内部において後者の動機による自己表出の欲求のほうが勝つときに「権利としての凡庸」が強行される。しかし他人に評価されたがるその意見の中身はせいぜい物事への賛否か好き嫌いの区別ぐらいでしかないがために、その口ぶりが否応なく紋切り型にならざるを得ないということなのだろうか。本の第一部第八章「大衆はなぜすべてのことに干渉するのか、しかも彼らはなぜ暴力的にのみ干渉するのか」で示されている大衆的自己閉塞メカニズムのポイントを上記のように要約すると私にはそう読み取れるのだが、1930年に刊行されたこの本はまさに現代日本の「いま・ここ」の問題提起として見えるだけでなく、ネットの醜悪口論やコメント粘着などのように相互憎悪を生み出す人間の喧騒がそもそも何から始まるのかという疑問への本質的な解答そのものでもあるかのようで、オルテガが呈した大衆分析の先見的な明晰さにあらためて驚く。

http://hontohe.exblog.jp/8272471/
j0hnさんのブックマーク経由。


オルテガ・イ・ガセット『大衆の反逆』(ちくま学芸文庫 訳:神吉敬三)
http://www.amazon.co.jp/dp/4480082093
http://www.bk1.jp/product/01199659


松岡正剛の千夜千冊『大衆の反逆』オルテガ・イ・ガセット
http://www.isis.ne.jp/mnn/senya/senya0199.html

ヒロ・ヤマガタ(山形博導)問題

ヒロ・ヤマガタの語ったこと - mmpoloの日記

 ふざけたことを言っている。「漫画の絵」だ! ギャラリーでは芸術作品だと言っていたじゃないか。シルクスクリーンを数百枚も刷って、それを数十万円で売っていたのだ。ほとんど印刷のポスターにすぎないのに! 日本の業者なんて他人事のような言い方をしているけど、若者たちを食い物にしてずいぶんもうけたのではなかったか。私の部下の女性デザイナーもやめろと言ったのに50万円の「作品」を買っていた。

http://d.hatena.ne.jp/mmpolo/20080716/1216160639
私は、学生時代に2度、わざと絵画商法エウリアン)のキャッチセールスに捕まったことがあります。
潜入捜査というか社会経験として。オム来襲さんみたいな感じで(http://d.hatena.ne.jp/matterhorn/20070417)。
もちろん絵は買いませんでした。お茶だけ頂いて、さようならです。
間接照明の小洒落た、というか薄暗い部屋の壁に掛かったペラいシルクスクリーン作品をほめちぎり、
作品購入のメリットを滔々と述べていた販売員のお姉さん(外の勧誘員ではなくプチ・マネージャー風)は困ってましたが、
セールスマンを軽くあしらう『こち亀』の両津勘吉のように振り切りました。
「今はそんな余裕はないんで、それじゃまた」
お姉さんの口調や語気、表情の変化が興味深かったです。
恐いお兄さんが出てこなくてラッキーでした。
数年前に、私の知人(法学部卒)もわざとひっかかって、
その状況をmixiに詳細にレポートしていました。
法律に詳しいだけあって、連中のペテンにずばずばとツッコミを入れていました。
内容は、mmpoloさんの記述や、私の体験と似たり寄ったりです。
つまり、どうみても「言乍其欠」です。ネットふうに言えば。


ヒロ・ヤマガタ問題  中ザワヒデキ

 現代美術関係者以外には多少わかりにくいかもしれないが、ヒロ・ヤマガタ
聞いただけで耳を覆いたくなるような不快感がこの名にはある。ラッセン、マッ
クナイトなども同様で、視界に入っただけで眼も心も汚されたような気分になる。
 だが、最も多くの人々に愛され、買われているのが彼らの作品だ。市井の人々
にとっては、彼らこそアートの代名詞である。うっかりアーティストと名乗れば
「なぜヒロ・ヤマガタのような絵を描かないの?」、うっかりギャラリストと名
乗れば「なぜヒロ・ヤマガタを扱わないの?」。無邪気な質問に対して律儀に近
代美術の講釈を始めたところで、歴史や知識に頼らざるを得ないアートの脆弱さ
にかえって気付かされるばかりだ。結局、うやむやにしてその場を逃げる。
 逆に美術関係者にこの問題をぶつけてみる。「デッサンが下手」「イラストだ
から違う」「売れていることに対する(われわれの)嫉妬」など、さまざまな答
が返ってくる。だが、どの説明も苦しい。もっと下手な作家は沢山いるし、また、
今では下手は誉め言葉だ。そして、『日本ゼロ年』展に見られるようなポストモ
ダニズム的言説は、イラストとの間の垣根を取り払おうとしている(にもかかわ
らず同展では周到にヒロ・ヤマガタ派が除外されていた)。そもそも「下手」も
「イラスト」も無視すればよいだけで、嫌悪を感じる必要はない。唯一嫉妬感情
のみがわれわれの不快感を説明してくれるが、だとしたら現代美術業界全体が、
彼らに圧倒的敗北を喫していることになる。実際、美術館が観客動員数を気にし
たり、画廊や作家が売上を気にしたりするならば、ヒロ・ヤマガタ派になればよ
いだけだ。理詰めで考える限り、どうやっても軍配はヒロ・ヤマガタらに挙がる。
 私はこれを「ヒロ・ヤマガタ問題」と呼んで、二十世紀中に解決したいとかね
がね思っていた。結論を急ぐと、現状の民主主義体制を是認している限り解決不
可能と判断した。逆に言えば、美術は、種々の寛容が惹起した商業本位的衆愚と
は相容れない何らかの権威によって、画定されなければならない。その権威を、
同語反復を内包した論理に求めたのが方法主義であり、私の考える解決である。

方法 第2号 西暦2000年5月5日発行 ゲスト=古屋俊彦 より
http://www.aloalo.co.jp/nakazawa/houhou/haisinsi/20000505hh002.html


中ザワヒデキ文献研究進行状況逐次報告 二〇〇八年一月三十日
http://www.geocities.jp/bunkenkenkyu/20080130.html


>>>絵画商法 - Wikipedia

絵画商法(かいがしょうほう)とは、悪徳商法の一種であり、法外な値段で絵画を売りつける悪質なキャッチセールスである。繁華街で絵はがきなどを配って通行人を公然と勧誘する様子から、俗に勧誘員をエウリアン(「絵売り」と「エイリアン」を組み合わせた造語。主にネット上で用いられる。)と呼ぶ。

絵画商法を行っている絵画販売会社は、繁華街などに画廊を構え、海洋や生物を描いた絵画やイラストレーション・人気アニメーターによるオリジナルイラストなどの原画や版画を展示している。画廊の前にはエウリアンと称される勧誘員(女性の場合が多い)が、通行人に声を掛けて画廊に招き入れ、絵画を法外な価格で売りつけるという手口である。長時間拘束し、強引に売買契約を結ばせることもある。


こうした絵画販売会社では、シルクスクリーンなど版画を原価より何十倍も高い価格で売りつけることもある。しかもこれらの版画は、多くの場合、画家自身の制作したオリジナル版画ではなく、業者によるデジタル写真製版の大量複製であるため、事実上は「額縁付ポスター」あるいは「インテリア商品」というべきものであり、通常の画廊では美術品としては認められていない。美術オークションなどでも、版画ではなく「インテリアアート」に分類される。


資産価値を目当てにしてこのような絵画を購入させられた客は、絵画を売却しても支払った金額を回収する事も出来ず、長期のローンに苦しむ場合が多い。また違法としりつつローン契約の手続きを行う、ローン会社の責任も大きい。インターネットオークションにはこうして購入した版画が多数出品されているが、5万円以上で落札されればよい方である。なお、70万〜100万円もあれば、ピカソシャガール、ウォーホル、キース・ヘリングなど有名かつ人気の高い作家の比較的安い版画やポスターを買うことができてしまう。第二次大戦以降現在までの作家のほとんどの版画は、国際的な評価の高いオリジナル版画の作品でも、100万円かそれ以下の価格で手に入る。

取り扱っている主な作家
絵画商法で取り扱うことが多い作家である。若者受けをする画風が多い。

メモリーズオフ」の高額複製版画が販売されたアールジュネス主催イベントは、原画家松尾ゆきひろの所属会社と販社間の契約によるものであり、松尾のあずかり知らぬところで企画・実行されたものである。出典松尾ゆきひろ公式ブログ2007年05月27日コメント及び松尾ゆきひろ公式ブログ2007年05月28日コメント

  • 輿水隆之

他、漫画家・PCゲーム原画家イラストレータ

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%B5%B5%E7%94%BB%E5%95%86%E6%B3%95




◇ 誰がラッセンを求めていたか - おまえにハートブレイク☆オーバードライブ
http://d.hatena.ne.jp/ykurihara/20080422#1208830217


ラッセンとは何の恥部だったのか - Ohnoblog 2
http://d.hatena.ne.jp/ohnosakiko/20080421/1208731778




◇ あ〜るビバンの素敵な商売 - 偽版画WORLD
http://sekichiku.freehosting.net/cc/vivant/top.htm


絵画商法エウリアン
http://art.saloon.jp/

http://d.hatena.ne.jp/n-291/20080423#p7


●新春知事対談● ヒロ・ヤマガタさんと語る びわ湖・自然・こどもの未来
http://www.pref.shiga.jp/koho/2007-01/taidan.html


● 極色彩の絵画 ヤマガタさんが企画/ヤマガタさん 構想練る JR米原駅自由通路視察し - 近江毎夕新聞
http://ameblo.jp/my-you/entry-10110188810.html
http://ameblo.jp/my-you/entry-10110473155.html


※ホットエントリーに入ったようなので加筆しました(7/19)
 こちら↓の記述も読んでいただければ幸いです。美術関係者とっては、なかば公然の事実なのに、一般にはあまり知られていないことです。

画壇(団体系)の裏・闇・カラクリ

芸術院会員になるのは大変だ - mmpoloの日記

 島根県にある彫刻家内藤伸の家へ東京からはるばる画家東郷青児が訪ねてきて、現金の入った菓子折を置いていった話は前に書いた。「彫刻家内藤伸」(id:mmpolo:20061109)。

 日本芸術院会員は定員制で、会員が亡くならないと補充はない。新しい会員は現会員の推薦により選ばれる。それで会員が亡くなると候補者たちは現金を持って走り回ることになるらしい。

 そのことを彫刻家TWさんに話すと、おそらく1,000万円くらいの現金を届けて歩くのだろうという。芸術家にそんな大金はないので(平山郁夫は別=mmpolo注)、どこからか相当の借金をしてばらまくらしい。そんなことをするのも、芸術院会員に選ばれれば名誉のほかにそれなりの見返りが期待できるからだろう。少し話は違うが、以前私の知っている方が伊勢丹デパートから福沢一郎の薔薇の絵を買った。6Fくらいの大きさで42万円だったという。数年してその絵が320万円になっていた。福沢一郎が文化勲章を受章したのだ。芸術院会員に選ばれれば同じ様なことが期待できるだろう。

http://d.hatena.ne.jp/mmpolo/20080713/1215901193


◇ 画壇の闇 - きち@石根
http://ameblo.jp/disclo/entry-10013025804.html
(※参考 http://d.hatena.ne.jp/n-291/searchdiary?word=%cf%c2%c5%c4%b5%c1%c9%a7


黒川博行『蒼煌』(文藝春秋

次期補充選挙で芸術院会員の座を狙う日本画家の室生晃人は、対抗馬の稲山健児とともに、現会員らへの接待攻勢に打って出る。師のために奔走する中堅画家や、振り回される家族たち…。絵に魅入られ、美の世界に足を踏み入れながら、名誉のためには手段を選ばない派閥抗争の巣と化した伏魔殿―。美術界の清と濁、画壇の現実に迫った問題作。

http://www.amazon.co.jp/dp/4163233709
http://www.amazon.co.jp/dp/4167447088(文庫にも入っているようです)
http://www.bk1.jp/review/0000463345ビーケーワンのレビュー)


◇ 11月28日〜黒川博行〜蒼煌 - 骨董品・買取・鑑定 マルミ工藝社ブログ

黒川博行氏の著作で骨董品を題材にした作品では、〈文福茶釜〉が有名ですが、
最近文庫になった蒼煌も、日本画壇の暗部を描く作品としては出色の作品です。
絵画以外の作家は、実名の登場もあったりします。絵画の作家もモデルを連想させる記述があり、日本画に興味がある人には最高の1冊です。

http://blog.goo.ne.jp/marumikogei/e/a176a4f8dc741736889da54b377c0613


◇ [ 「蒼煌」黒川博行] by しんちゃんの買い物帳
http://tmxxb1973.blog82.fc2.com/blog-entry-674.html


黒川博行『蒼煌』 文藝春秋 - 時々、読書感想文。
http://kiku87.exblog.jp/6938674/


日本画業界の裏面を鋭く描いた作品:蒼煌 - 本読みの記録
http://book-sk.blog.so-net.ne.jp/2008-04-27

エドワード・バーティンスキー(Edward Burtynsky)に対する違和感

◇ 「いま ここにある風景」 - ◆ mkb : foto & more

<未整理>

産業がもたらす風景を扱うカナダの作家Edward Burtynskyの中国における制作をベースとしたドキュメンタリ。

・北米文化に育った作家・監督が中国を扱っている側面

・中国批判と環境問題の格好の材料

・環境問題に意識がないとは口が裂けてもいえない状況を加速させる

・50年前の日本

・数百年かけて工業化した国と、数年で工業化しようとしている国

・作家として恵まれている

・環境問題とどう結びつけるか(土壌汚染・温暖化そのものは別の問題)

・2006年に制作された国際的な映画が、2008年の夏に日本で公開される

洞爺湖サミット北京オリンピック、真夏というタイミングを考慮するおぞましさ

・氏の制作・作品についての批評性がない、政治的な訴えを意識しているという彼の姿勢は難なく了解されるべきもの?

・中国の家電製品組立工場、中国のコンピュータ基盤からのレアメタル収集、中国のダム工事、バングラデシュのタンカー解体作業、バングラデシュ原油処理、中国の石炭置場を一つの映画で同列に扱うことへの違和感

・環境が危機的状況にあるからといって、局所的な場面を取り上げて騒いでも何も解決しないのでは

・環境プロパガンダ映画

・作家としては環境に訴えるよりも、「工場萌え」的なウケをめざしているに違いないのでないか

・異なる撮影時期、様々な手法(モノクロ・静止画・長回し

・作家の活動を全面的に正しいものとして描いている

・子どもや老人や女性を優先的に扱っている

・映画を無批判にこぞって取り上げる名だたるメディア、そもそも彼らが成し遂げるべき対象・仕事であるはず

http://d.hatena.ne.jp/azure2004azure/20080715#p3
映画はまだ観ていませんが、ほぼ同感です。


……ということもあって、エドワード・バーティンスキーは、以前から苦手な作家です。
取り巻きが良くないだけなのかもしれませんが。。。


彼の写真に頻出する非常にイージーな広角&フォールの使い方がすべてを物語っていますが、
「崇高さ」を醸し出すことを狙ったあのお手軽手法は、はっきり言って最悪だと思っています。


グルスキー、ミズラック、バジリコ、スタンフェルド etc.etc. といった作家からの影響はべつにいいんですが、
その消化の仕方が微妙です(イイとこ取りにしてもまだやり方が……)。


ところで、中国で撮ったこの写真(http://www.new-york-art.com/burtynsky-5-Manufacturing.jpg)は、
グルスキーみたいにクレーンを使って撮ってる可能性もあるとみていますが、
実際のところどうなんでしょう。メガホンで指示してたりして。ジェフ・ウォール、クリュードソン風に。


いずれにしても、映画も写真も込み込みで、エコに乗っかって
のちのち手広く展開していくことを考えて
中国に撮りに行ってますね。彼らは。


たとえば、Cao Fei(ツァオ・フェイ)の「Whose Utopia」に比べれば、
バーティンスキーの写真は、その10分の1も価値のないものに思えてしまいます。私にとっては。
http://d.hatena.ne.jp/n-291/20080326#p3


あと、ある種のドキュメンタリー写真(サルガド?)や芸術写真を遠まわしに牽制するかのような、
サイモン・スターリング(Simon Starling)の「One Ton, II」(南アフリカのプラチナ鉱山を撮影した写真。
タイトルは、展示された5点のプラチナプリントを作るのに、1トンのプラチナがかかったという意味)と、
バーティンスキーの写真の違いについて考えてみてもいいかもしれません。
http://www.icp.org/site/c.dnJGKJNsFqG/b.2041633/k.97B6/Simon_Starling.htm


そういえば、サルガドの金山と『ポワカッツィ』の金山ってかぶっていたような。
『いま ここにある風景 エドワード・バーティンスキー:マニュファクチャード・ランドスケープ「CHINA」より』
を観る時間があるのなら、ゴッドフリー・レジオの『コヤニスカッツィ』と『ポワカッツィ』を観ることをオススメします。


>>>たまには見比べてみよう
http://d.hatena.ne.jp/n-291/20060307#p7


>>>マイヤーウィッツ? マイヤーヴィッツ? メイエロウィッツ? の新しい写真集
http://d.hatena.ne.jp/n-291/20060830#p5


>>>1か月前のこと
http://d.hatena.ne.jp/n-291/20070613#p6

最近のお客さまから

http://www.google.co.jp/search?hl=ja&client=firefox-a&rls=org.mozilla%3Aja%3Aofficial&hs=uTy&q=%E6%9C%AC%E6%B0%97%E3%81%A7%E7%AC%91%E3%81%A3%E3%81%A6%E3%81%84%E3%81%AA%E3%81%84+%E3%82%A4%E3%83%81%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%80%80%E8%8C%82%E6%9C%A8&btnG=%E6%A4%9C
http://search.yahoo.co.jp/search?p=%E6%A2%85%E7%94%B0%E3%81%AE%E6%B4%9E%E3%80%80%E5%86%99%E7%9C%9F&ei=UTF-8&fr=top_ga1&x=wrt
http://www.google.co.jp/search?hl=ja&q=%E3%83%A9%E3%83%BC%E3%83%9E%E3%81%AE%E3%81%8A%E5%91%B3&lr=