児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

教員の懲戒処分。

 児童淫行罪で実刑となった教員の懲戒処分については、議事録を公開しているといいながら会議の存在すら掲載していないのも問題だが、
http://www.city.sendai.jp/kyouiku/soumu/kaigi.html

 三重県みたいに3件まとめて処分したと公開されると、打つ手無しという現状が分かってしまって、信頼失いますよね。

http://www.pref.mie.jp/TOPICS/2007020130.htm
公立学校職員の懲戒処分について
平成19年2月8日付けで、下記のとおり懲戒処分を行いました。

1 処分年月日 平成19年2月8日
2 被処分者、根拠法令、処分内容及び処分対象事案の概要
(1)津市立誠之小学校 教諭(男性47歳)
 ・ 地方公務員法第29条第1項第1号及び第3号
 ・ 免職
 ・ 上記の者は、平成18年11月18日から翌19日にかけて、石川県小松市内の駐車場に駐車した自家用自動車内及び同県白山市内のホテルにおいて、女性が18歳未満であることを知りながらみだらな性行為を行い、平成19年1月15日、石川県青少年健全育成条例違反の容疑で警察署員に逮捕された。
(2)南勢地区県立高等学校 教諭(男性57歳)
 ・ 地方公務員法第29条第1項第1号及び第3号
 ・ 免職
 ・ 上記の者は、平成18年7月、その女性が18歳未満であることを知りながらホテルへ行き、胸を触るなどの行為を行った。
(3)伊賀地区県立高等学校 教諭(男性58歳)
 ・ 地方公務員法第29条第1項第1号及び第3号
 ・ 停職3月
 ・ 上記の者は、平成7年9月から10月にかけて、女子生徒を自家用自動車で送った際に、自動車の中で同生徒を抱き寄せ、キスをする行為を複数回行った。
 
3 今後の方針
児童生徒の健全な育成を指導する責任を負う教職員のこのような行為は、学校教育に対する県民の信頼を著しく損なうものであります。
教育委員会としましては、今後このような事態が発生することのないよう、あらゆる機会を通じ、信頼回復と再発防止に取り組むよう徹底してまいります。

お詫びも定型的。
http://www.google.co.jp/search?sourceid=navclient&hl=ja&ie=UTF-8&rls=GGLG,GGLG:2005-48,GGLG:ja&q=%e4%bf%a1%e9%a0%bc%e5%9b%9e%e5%be%a9%e3%81%a8%e5%86%8d%e7%99%ba%e9%98%b2%e6%ad%a2%e3%81%ab%e5%8f%96%e3%82%8a%e7%b5%84%e3%82%80%e3%82%88%e3%81%86%e5%be%b9%e5%ba%95%e3%81%97%e3%81%a6%e3%81%be%e3%81%84%e3%82%8a%e3%81%be%e3%81%99%e3%80%82

国際的児童ポルノ組織、オーストリア当局が摘発へ

 単純所持罪は、奈良県以外では処罰規定がない。
 しかし、児童ポルノの譲受・購入行為の違法性は明かであって、それを譲渡・販売行為の共犯として処罰するかどうかは、当局のやる気と理屈。

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20070208i314.htm?from=main3
顧客は日本を含む世界77か国に広がっており、米国や欧州の司法当局にも情報提供し、全容解明を図る考えだ。

 このネットでは、性的な虐待を受ける子供を撮影したビデオなどをデジタル・ファイルにして販売。昨年7月、オーストリア国内のサーバー会社が、自社コンピューターを介して問題のビデオがやり取りされていることに気付き、当局に通報して発覚した。
・・・
法当局によると、1本89ドル(約1万770円)のファイル購入を目的に接続してきたコンピューター端末は2300以上。オーストリアでは、接続した23人のうち14人がファイルの購入を認め、当局が任意で調べている。米国、ドイツからもそれぞれ607件、466件の接続があり、日本からは1件の接続があった。
 オーストリアでは、14歳未満のポルノの所持は禁固2年以下の罪となる。
 ◆児童ポルノの閲覧、日本は処罰対象外◆
 日本の場合、児童買春・児童ポルノ禁止法で罰則対象となるのは、画像などを提供する行為や、提供目的で製造、運搬したり所持したりする行為で、国内外を問わず児童ポルノのサイトを閲覧しただけでは罰せられない。

 日本人がサイトを通じて入手した画像などを所持していたとしても、罰せられるのは第三者への提供目的だったことが立証された場合に限られる。

自ら出頭して、年齢不知の主張をしている事例(警察段階)

 客観的には、児童を買春したが、年齢を知らなかったケース。
 それじゃ、児童買春罪にならないのだが、条例には、年齢不知の過失も処罰する規定があったので、それでも「自首」扱い。
 取調でコーヒーが出るんだって。

請負の訴状

 管財人として、請負契約に基づく報酬請求の訴状を起案する。
 請負の答弁書はたくさんあるが、訴状の起案は3件目。
 念のため、PDFになっている「要件事実マニュアル」も参照する。
 破産会社は細かい資料が残っていないことが多いので、

1 原告
 原告は破産者××の破産管財人である(甲1)。
2 請負契約(甲2)
3 仕事の完成(甲3)
4 支払状況(甲4)
5 まとめ
 よって、請負契約に基づく報酬請求権として、金○○○○万円及び平成年月日から支払い済みまで年6%の割合の遅延損害金を請求する。

って、修習生並みの起案(訴訟物 1個)。
 とりあえず、この訴状案で破産裁判所で許可もらって、提訴。

 払ってくださ〜い!!

「受刑者は選挙に行けるんですか?」という弁護士の質問

 弁護士のくせに聞くなよという感じですが、
 11条1項2号で選挙権がありません。
 処遇などで国政に関心もあるでしょうから、立法論としては投票くらいさせてもいいような気がします。

公職選挙法
第11条(選挙権及び被選挙権を有しない者)
次に掲げる者は、選挙権及び被選挙権を有しない。
一 成年被後見人
二 禁錮以上の刑に処せられその執行を終わるまでの者
三 禁錮以上の刑に処せられその執行を受けることがなくなるまでの者(刑の執行猶予中の者を除く。)
四 公職にある間に犯した刑法(明治四十年法律第四十五号)第百九十七条から第百九十七条の四までの罪又は公職にある者等のあっせん行為による利得等の処罰に関する法律(平成十二年法律第百三十号)第一条の罪により刑に処せられ、その執行を終わり若しくはその執行の免除を受けた者でその執行を終わり若しくはその執行の免除を受けた日から五年を経過しないもの又はその刑の執行猶予中の者
五 法律で定めるところにより行われる選挙、投票及び国民審査に関する犯罪により禁錮以上の刑に処せられその刑の執行猶予中の者
2 この法律の定める選挙に関する犯罪に因り選挙権及び被選挙権を有しない者については、第二百五十二条の定めるところによる。
3 市町村長は、その市町村に本籍を有する者で他の市町村に住所を有するもの又は他の市町村において第三十条の六の規定による在外選挙人名簿の登録がされているものについて、第一項又は第二百五十二条の規定により選挙権及び被選挙権を有しなくなるべき事由が生じたこと又はその事由がなくなつたことを知つたときは、遅滞なくその旨を当該他の市町村の選挙管理委員会に通知しなければならない。
第11条の2(被選挙権を有しない者)
公職にある間に犯した前条第一項第四号に規定する罪により刑に処せられ、その執行を終わり又はその執行の免除を受けた者でその執行を終わり又はその執行の免除を受けた日から五年を経過したものは、当該五年を経過した日から五年間、被選挙権を有しない。

事故死児童HP「15歳から興味」 性癖満たすため教職に?

 以前から、うすうす感じていたんですが、教員の採用や勤続中に、こういう目的で就職する人を除外する制度はありませんよね。

http://www.sankei.co.jp/shakai/jiken/070209/jkn070209003.htm
容疑者が自分の性癖を満たすために教諭の仕事を選んだとみて調べている。

弁護人は再犯防止に気を遣いましょう。

児童買春・児童ポルノ法違反立証上のポイント(立花書房直前予想!SA2007)

 弁護人の反証のポイントも同じですから、奥村弁護士も同じことをやっています。
 最近、公判請求される事件では、検察官立証がしっかりしています。

児童買春・児童ポルノ法違反立証上のポイント
この児童の年齢の知情については,特に誰が見ても児童であることが明らかと言えない場合においては,両者の供述から,被害児童の容姿,言動,携帯品等,会話内容,被疑者が児童に年齢に関し確認した事実などできるだけ客観的要素の抽出に努めるほか,物的証拠を収集する必要がある。


必ずしも被害児童の特定が必要とされるわけではないが.児童ポルノに該当するか否かの判断は.年齢について医師等の判定による証明が必要となる。判定に当たっては.第二次性徴期特有の特性の発現状況が重要な要素となっている。

昔は、法医鑑定をやりました。

中学生倍増→実際は半減 性被害、県警が誤発表

 警察統計は最前線の数字なので重視してるんですがね。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070209-00000005-ryu-oki
県警少年課が昨年末の県青少年問題協議会で発表した性犯罪被害少年の数に誤りがあったことが8日までに判明した。県警は2006年11月末までで125件169人と発表していたが、実際は74件79人だった。特に中学生の被害者数は61人と発表、05年の34人と比較して「倍増」としていたが、実際は19人で半減していた。県警は発表内容を訂正。協議会に参加した関係機関に連絡することにしている。
 県警によると、統計に県青少年保護育成条例の「深夜の連れ出し行為」違反など、性犯罪には該当しない犯罪の被害少年を誤って含めたため、実際よりも被害少年が多くなってしまったという。
 本紙は県警発表を基に12月28日付朝刊で「中学生が倍増/性犯罪被害」として記事を掲載した。記事中で「中学生が61人、高校生が42人、無職少年が40人」とあるのは誤りで、実際は「中学生19人、高校生27人、無職少年28人」だった。
 誤った統計が発表された協議会は昨年12月27日に行われ、県警は数字をもとに「指導や居場所づくり、社会の環境浄化、立ち直り支援など、県民総ぐるみの取り組みが必要だ」と強調していた。

仙台市長「児童福祉法違反については必ずしも家庭裁判所が第一審にならない」「検察官がこの裁判は非公開で行うべきとして、家裁で訴えを提起しました」

 そういう認識で非公開にしたのかもしれませんね。
 河北新報はここをつっこめ。
 

http://www.city.sendai.jp/soumu/kouhou/press/07-02-06/outou070206.html
発表内容以外の質疑応答〔発言要旨〕
(7)被害に遭った児童生徒の保護者の意向にかかわらず、市教育委員会の判断で非公表となれば、被害者側は泣き寝入りになってしまうと思うがいかがか

何を持って「泣き寝入り」というかは難しいですが、その不届きな教員は、まず刑事裁判において刑事罰を受けます。児童福祉法違反については必ずしも家庭裁判所が第一審にならないのですが、今回の場合は、検察官がこの裁判は非公開で行うべきとして、家裁で訴えを提起しました。いずれにせよ当該教員は刑事罰を受けることになります。

次に、当該児童生徒が被った精神的な損害を含めた被害については、現在の法制の下では、基本的には民事訴訟という形で、最終的に物事の決着が着きます。詳細は申し上げられませんが、当該児童生徒の保護者と加害者側でいろいろな話し合いが今進んでいると聞いています。

 児福は家裁の専属管轄。
 手続は通常刑事訴訟。

少年法
37条(公訴の提起) 
次に掲げる成人の事件については、公訴は、家庭裁判所にこれを提起しなければならない。
一 未成年者喫煙禁止法(明治三十三年法律第三十三号)の罪
二 未成年者飲酒禁止法(大正十一年法律第二十号)の罪
三 労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)第五十六条又は第六十三条に関する第百十八条の罪、十八歳に満たない者についての第三十二条又は第六十一条、第六十二条若しくは第七十二条に関する第百十九条第一号の罪及び第五十七条から第五十九条まで又は第六十四条に関する第百二十条第一号の罪(これらの罪に関する第百二十一条の規定による事業主の罪を含む。)
四 児童福祉法第六十条及び第六十二条第六号の罪
五 学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第九十条及び第九十一条の罪
2 前項に掲げる罪とその他の罪が刑法(明治四十年法律第四十五号)第五十四条第一項に規定する関係にある事件については、前項に掲げる罪の刑をもつて処断すべきときに限り、前項の規定を適用する。

憲法第37条〔刑事被告人の諸権利〕
すべて刑事事件においては、被告人は、公平な裁判所の迅速な公開裁判を受ける権利を有する。
②刑事被告人は、すべての証人に対して審問する機会を充分に与へられ、又、公費で自己のために強制的手続により証人を求める権利を有する。
③刑事被告人は、いかなる場合にも、資格を有する弁護人を依頼することができる。被告人が自らこれを依頼することができないときは、国でこれを附する。
第82条〔裁判の公開〕
裁判の対審及び判決は、公開法廷でこれを行ふ。
②裁判所が、裁判官の全員一致で、公の秩序又は善良の風俗を害する虞があると決した場合には、対審は、公開しないでこれを行ふことができる。但し、政治犯罪、出版に関する犯罪又はこの憲法第三章で保障する国民の権利が問題となつてゐる事件の対審は、常にこれを公開しなければならない。

 仙台家裁の実情は知りませんけど、日本国の法律では児童淫行罪の審理も公開です。家裁も高裁も公開。

弁護士として生きる

こんなイベントもあるようです。

http://www.osakaben.or.jp/web/event/2007/070303.doc
大阪弁護士会特別企画第一線の弁護士による実務連続講義
「弁護士として生きる」開催のお知らせ

拝啓時下ますますご清祥のことと存じます。
さて、本会法曹養成・法科大学院協力センターでは、各法科大学院において春休み期間中で、学生の皆さんがエクスターンなどで大阪近辺におられる機会が多い3月の時期を利用して、下記の連続講義を企画いたしました。
第一線の弁護士が、実務の最前線でどのようなことをやっているのか、弁護士としてどういう気概をもってやっているのか、どういうモチベーションがあるのか、弁護士としてどういう面白さやしんどさがあるのか、そのため必要な資質や法科大学院で勉強しておかなければならないこと、などをできるだけご自身の成功談や失敗談も含めて講演いただく予定です。
今後学んでいかれるなかで、自らの法曹としての将来像をみつけ、また確認いただく良い機会になればと考えております。
つきましては、本講義に参加ご希望の方は、2月20日(火)までに下記申込欄にご記入の上、FAXにてお知らせくださるようお願いいたします。Eメール(下記宛)でご回答いただいても結構です。 敬具


【対象】関西のロースクールの学生(学年を問わず)
【日時】:2007年(平成19年)3月3日(土)
12時〜13時30分第1部「ロースクールで学んで欲しいこと」
講師:高階貞男弁護士(元大阪弁護士会会長、初代法曹養成・法科大学院設立運営協力大阪センター委員長)
13時40分〜15時10分第2部「Winnyをめぐる法的問題」
講師:壇俊光弁護士(Winny弁護団事務局長)
15時20分〜16時50分第3部「何故『悪人』を弁護するのか」
講師:森下弘弁護士(大阪弁護士会刑事弁護委員会委員長)
17時30分〜19時30分懇親会
【場所】講義(第1〜3部)大阪弁護士会館10階1001.1002会議室
懇親会については会場未定(場所は参加者の数によって当日会場でお知らせします)
【参加費】無料 │

携帯サイトの管理者逮捕 投稿わいせつ画像掲載(兵庫県警)

 図表を作ってみました。↑→

 警察としては次々くる奴を検挙するのは当たり前だけど、実は、判例上、幇助か正犯かが判然としていない。
 
 だから、正犯はおかしいよね。>>東京高裁・最高裁

http://www.kobe-np.co.jp/kobenews/sg/0000236272.shtml
携帯サイトの管理者逮捕 投稿わいせつ画像掲載

投稿型アダルトサイトの構図  インターネット上に開設された携帯電話からの投稿型ホームページに、少女らのわいせつ画像を掲載したとして、兵庫県警生活安全企画課サイバー犯罪係と兵庫署などは八日までに、児童買春・ポルノ禁止法違反とわいせつ図画公然陳列のほう助容疑で、サイトを管理、運営していた愛知県岡崎市の会社員の女(32)を逮捕した。同日午後にも最終送検する。

 デジタルカメラや動画機能の付いた携帯電話の普及で、投稿型アダルトサイトの開設が近年急増。男女のわいせつ画像が多数投稿されており、画像を見た閲覧者が投稿者に交際を申し込む「出会い系サイト」としても使われ、未成年が性的被害に遭う温床になると問題となっていた。こうしたサイト管理者の刑事責任が問われ、立件されるのは全国でも異例。

 調べによると、会社員の女は、携帯電話のカメラで撮影したわいせつ画像を募集するサイトを開設し、二〇〇六年六-七月ごろ、自分の裸体などを撮影し、投稿した少女らのわいせつ画像を掲載。違法なわいせつ画像を不特定多数の人が目にする場をつくり、少女らの行為を助長した疑い。

 投稿型サイトは、利用者のアクセスが多いほど管理者に広告料が入る仕組み。会社員の女は、投票でわいせつ画像をランク付けし、アクセス数を増やしていたという。

 昨年夏ごろ、サイバーパトロールをしていた捜査員が、ネット上に少女のわいせつ画像を発見し、摘発につなげた。

 また同係などは、同サイトにわいせつ画像を投稿していた神戸市など兵庫県内外の十四-二十三歳の少女ら計六人を割り出し、八日までに同法違反(公然陳列)とわいせつ図画公然陳列容疑で書類送検した。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070208-00000030-san-soci
携帯電話のアダルトサイトで児童ポルノ画像などを公開していたとして、兵庫県警生活安全企画課と兵庫署などが、児童買春・児童ポルノ禁止法違反とわいせつ図画公然陳列幇助(ほうじよ)の疑いで、愛知県内に住む30代の店員の女を逮捕していたことが8日、分かった。
 県警の調べでは、女は「セクシー☆写メール」というタイトルで携帯電話のアダルトサイトを運営。昨年夏ごろ、14〜23歳の男女6人が投稿してきた女性や女児の裸のポルノ画像十数枚を、削除せず不特定多数の閲覧者に公開していた疑い。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070208-00000135-jij-soci
わいせつ図画公然陳列ほう助などの疑いで、同サイト管理者容疑者(32)を逮捕した。
 少女らは「たまたまサイトを見つけ、他の人のコメントを見てたら面白そうだと思った」などと話している。容疑者は「わいせつ画像を掲載すれば、アクセス数が増え、広告収入が増えると思った」と容疑を認めているという。 

<裸画像>「掲示板」に投稿した女子中高生ら送検 兵庫県
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070209-00000026-mai-soci
掲示板への投稿や閲覧は無料で、投稿者は閲覧者とメールでやりとりできる。人気投票をしており、上位になると投稿者のメールも増える仕組みで、少女らは「自分の写真がほめられると、うれしかった」などと話しているという。

 なお、起訴されるのが異例というほどではない。最近、多い。但し、擬律は混乱中。

3 画像掲示板管理者の刑事責任に関する裁判例
(1)幇助とするもの
①新潟簡裁H12.1.21
名古屋地裁H18.1.16(起訴は共謀共同正犯。不作為犯構成)←奥村弁護士
名古屋地裁H19.1.10(控訴中)←奥村弁護士
(2)単独正犯とするもの
横浜地裁h15.12.15(不作為犯構成)←奥村弁護士
②東京高裁H16.6.23(上告中)(作為犯構成)←奥村弁護士
京都地裁H9.9.24(不作為犯構成)
④大阪高裁H11.8.26(不作為犯構成)
(3)共謀共同正犯とするもの
千葉地裁H14.9.24(事前共謀による開設の事例)
東京地裁H18.4.21(名誉毀損
名古屋地裁H18.2.24

幇助の事実記載例だが、これでは削除義務の根拠が明らかでない。

被告人は,・・・が管理していた・・・に設置されたサーバーコンピュータに,不特定多数の者が児童ポルノ画像を送信することにより自動的にその画像が掲載されて,インターネットを利用する不特定多数の者において,これを受信して再生閲覧することが可能となる電子掲示板「」を開設し,これを管理しうる立場にあったものであるが,
上記掲示板の開設者としてこれを管理し,違法画像が同掲示板に受信掲載されているのを発見した場合には,これを削除するなどして,これが不特定多数のインターネット利用者に閲覧等されるのを防止すべき義務があるのに,別紙一覧表2記載のとおり,らに、平成17年月日ころから同年月日ころまでの間に,所在のほか3か所において,ABCDこもごも,衣服の全部または一部を着けない児童の姿態であって,性欲を興奮させ又は刺激するものを,視覚により認識することができる方法によって描写した電磁的記録である児童ポルノ画像合計○画像を,上記電子掲示板に送信して記憶蔵置させ,不特定多数のインターネット利用者に対し,これらの画像の閲覧が可能な状況を設定し,もって,児童ポルノを不特定多数の者に公然陳列しようとした際,同掲示板にこれらの画像が受信掲載されていて,不特定多数のインターネット利用者が再生閲覧することが可能であることを知りながら,敢えてこれを放置し,もって,これを幇助した。

別紙一覧表記載のとおり、平成年月日から同年月日までの間、ほか1か所において、Aほか1名が、こもごも、衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により描写したものである児童ポルノ画像×画像及び前同様の児童ポルノであり、かつ女性器を露骨に撮影したわいせつ図画である画像合計×画像を、上記電子掲示板に送信して記憶・蔵置させ、不特定多数のインターネット利用者に対し、上記画像の閲覧が可能な状況を設定し、平成年月日、から上記画像情報にアクセスしたBら不特定多数の者に対し、上記情報を送信して再生閲覧させ、もって、上記Aらの上記犯行を容易ならしめて、これを幇助したものである。

 幇助とされた事件では、こんな主張を考えている。
 こんなこと上の事件の一審で言ったらだめですよ。

2 そもそも掲示板開設行為は「正犯」であること
 他人が投稿した画像について。
 掲示板開設者の刑事責任は作為犯・正犯とするのが判例である(東京高裁H16.6.23*1)。
 被告人の行為は正犯である。
 この東京高裁H16.6.23の事案(原審横浜地裁H15.12.15)は、管理者は児童ポルノ画像の存在を未必的にしか認識していない事例であって、それが正犯と評価されていることに注意しなければならない。(本件では確定的に予測していたのであるから東京高裁H16.6.23の行為を超えている。それが幇助というのは理屈が合わない。)
 ところで、幇助とは正犯行為(実行行為以外)で正犯の実行行為を容易にするものであるから、幇助行為には正犯の実行行為が含まれてはならない。
 そのときは端的に「正犯」となる。
(1)横浜地裁H15.12.15
横浜地裁平成15年12月15日は、掲示板管理者が、あえて放置した点を捉えて、不作為による公然陳列罪(正犯)であるとした。
 これによれば、実行の着手時期は、他人が投稿した児童ポルノ画像を認識した時であるから、本件で問題とされている違法画像投稿以前の掲示板の設置管理行為はせいぜい予備行為に過ぎず、不可罰である。

横浜地方裁判所平成15年12月15日
理由
児童ポルノ公然陳列罪において不作為の態様による犯罪の成立を否定すべき理由はなく,前掲各証拠によれば,被告人は本件ホームページの開設・管理者としてアップロードされた児童ポルノ画像を削除する作為義務も作為可能性もあったことは明らかであり,にもかかわらずこれを削除しなかった被告人の刑責はアップロード者の刑責とは別に追及されるべきものであると考えられるから,アップロード者の刑責で児童ポルノ画像が公然陳列されたことによる法益侵害が評価し尽くされるとはいえないし,被告人が事後従犯になるものでもない。以上のとおりであるから,弁護人の主張はいずれも理由がない。

(2)東京高裁H16.6.23
 上記洋子浜地裁の事案について、東京高裁H16.6.23は、掲示板設置管理行為+認めつつ削除しなかった不作為をまとめて実行行為として、作為の正犯であると判断した。

東京高裁平成16年6月23日
2当裁判所の基本的な判断
(1)本件で問題とされているのは,児童ポルノの陳列であるが,陳列行為の対象となるのは,前記のような児童ポルノ画像が記憶・蔵置された状態の本件ディスクアレイであると解される。
(2)原審以来被告人の行為の作為・不作為性も問題とされているが,被告人の本罪に直接関係する行為は,本件掲示板を開設して,原判示のとおり,不特定多数の者に本件児童ポルノ画像を送信させて本件ディスクアレイに記憶・蔵置させながら,これを放置して公然陳列したことである。
 そして,本罪の犯罪行為は,厳密には,前記サーバーコンピュータによる本件ディスクアレイの陳列であって,その犯行場所も同所ということになる。したがって,この陳列行為が作為犯であることは明らかである。そして,原判示の被告人の管理運営行為は,この陳列行為を開始させてそれを継続させる行為に当たり,これも陳列行為の一部を構成する行為と解される。この行為の主要部分が作為犯であることも明らかである。確かに,被告人が,本件児童ポルノ画像を削除するなど陳列行為を終了させる行為に出なかった不作為も,陳列行為という犯罪行為の一環をなすものとして,その犯罪行為に含まれていると解されるが,それは,陳列行為を続けることのいわば裏返し的な行為をとらえたものにすぎないものと解される。
 なお,更に付言すると,被告人は,児童ポルノ画像を本件ディスクアレイに記憶・蔵置させてはいないが,前記のように,金銭的な利益提供をするなど,より強い程度のものではなかったとはいえ,本件掲示板を開設して前記のように前記送信を暗に慫慂・利用していたのである。この行為は,陳列行為そのものではないから,開設行為以外の点は原判決の犯罪事実にも記載されていないが,陳列行為の前段階をなす陳列行為と密接不可分な関係にある行為であるから,これも広くは陳列行為の一部をなすものと解される。そして,これが作為犯であることは明らかである。

 すなわち、児童ポルノ掲示板開設行為は、刑法上正犯と評価されるのであるから、そこには幇助の要素はない。児童ポルノ掲示板開設行為のどこをとっても正犯の実行行為の一部であって、幇助の要素は微塵もない。
 開設行為を訴因とするなら、正犯と構成しなければならないのである。それが判例である。
 この点において、検察官の訴因変更請求は主張自体失当であったというべきである。
 判例によれば掲示板設置行為は児童ポルノ公然陳列罪の実行の着手であって、投稿されて初めて既遂になるのであるから、開設行為のみでは陳列罪未遂(不可罰)に過ぎない。。
 正犯者を幇助として起訴しても無罪である。

追記
 営利・非営利を問わず、掲示板管理者は通常、公判請求されますが、報道によると、児童ポルノは被害児童自身が投稿しているらしいので、個人的法益部分は放棄されているとか、帰責性があるという主張が可能でしょう。
 なお、擬律が難しい(というか、誰もわからない)ので、正犯か幇助か、どの部分を起訴するかで、起訴状の記載は変わってきます。

中学校教師がH写真ネット流出…160人分の名簿も

 児童のがなければ、刑事法的には問題なし。
 この手のプライベート写真は、勘弁してやれ・勘弁してくれという感じ。

http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/event/crime/38602/
変態教師が社会問題化する中、東京都江戸川区内の公立中学校に勤務する男性教師(48)が、ファイル共有ソフトWinnyウィニー)」を通じて生徒の名簿や自身のエロエロ写真をネット上に流出させたことが9日、分かった

地検が無罪求め再審手続き=女性暴行の誤認逮捕問題−富山

 再審開始決定と再審の2回裁判がありますが、被告人の負担を考えると、法廷で虚偽自白の動機なんかを聞くのは期待できません。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070209-00000154-jij-soci
富山県警が強姦(ごうかん)などの疑いで逮捕し、約2年の服役を終えた男性(39)が無実と判明した問題で、富山地検高岡支部は9日、男性の無罪を求め、富山地裁高岡支部に再審請求した。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070209-00000312-yom-soci
富山・冤罪事件、地検支部が無罪判決求め再審請求
 富山県氷見市の男性(39)が2002年、同県警に婦女暴行・同未遂容疑で誤認逮捕され、実刑判決を受けて服役した冤罪(えんざい)事件で、富山地検高岡支部は9日、富山地裁高岡支部に男性の無罪判決を求める再審を請求した。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070210-00000024-san-soci
富山の無実服役 地検が再審請求
 法務省刑事局によると、交通事故の身代わり事件などで有罪判決の確定後に真犯人が判明する例はあるが、検察が真犯人の判決確定前に再審請求するのは異例という。男性の無罪を早期に確定させることなどが目的とみられる。

 再審って、再審開始決定関係を除くと、刑訴法上、この規定しかない。

第451条〔再審の審判〕
裁判所は、再審開始の決定が確定した事件については、第四百四十九条の場合を除いては、その審級に従い、更に審判をしなければならない。
②左の場合には、第三百十四条第一項本文〔公判手続の停止〕及び第三百三十九条第一項第四号〔公訴棄却の決定〕の規定は、前項の審判にこれを適用しない。
一 死亡者又は回復の見込がない心神喪失者のために再審の請求がされたとき。
二 有罪の言渡を受けた者が、再審の判決がある前に、死亡し、又は心神喪失の状態に陥りその回復の見込がないとき。
③前項の場合には、被告人の出頭がなくても、審判をすることができる。但し、弁護人が出頭しなければ開廷することはできない。
④第二項の場合において、再審の請求をした者が弁護人を選任しないときは、裁判長は、職権で弁護人を附しなければならない。

 結局、起訴状朗読からやり直し。証拠調もやり直し。

 以前、身代わり犯人の再審の被告人(実は無罪)が、極めて迎合的な人で、ちゃんと打ち合わせていたのに、罪状認否で「間違いありません」と言ってしまって、関係者一同、爆笑になったことがあります。
 聞かれると、何でもYESの人もいるんですね。だから、身代わり頼まれても断れなかったわけです。

個人情報流出、TBCに賠償命令=過去最高、1人3万5000円−東京地裁

 確か、url入れるとCSVファイルが開けたので、法律上の不正アクセスにもならない事案。
 過去最高といっても、センシティブの度合いを加味して宇治市の事件の認容額(1万円)に加算した程度ですよね。
 まあ、これで、また個人情報関連業界が、訴訟リスクを宣伝するんでしょうね。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070208-00000126-jij-soci
原告側弁護士によると、個人情報流出訴訟の判決で認めた1人当たりの賠償額としては過去最高という。
 阿部潤裁判長は、住所、氏名、年齢などの情報に加え、関心のあるエステコース名が流出したとし、秘匿されるべき必要性は高いと認定。賠償額について、「精神的苦痛は軽視できない」との判断を示し、流出後に迷惑メールを送信されるなどの被害を受けた13人は各3万5000円、実害のなかった1人は2万2000円とした

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070208-00000102-mai-soci
判決で阿部潤裁判長は、プライバシー侵害を認めた上で「関心のあるエステのコースの情報も流出しており、名前など基本情報のみの場合より秘匿の必要性が高い」と指摘。同種訴訟の賠償額(5000〜1万円)より高額の賠償を認めた。
 被害者弁護団は「大量流出を巡っては最高額。秘匿性の高いセンシティブ情報と認定した点も画期的」と評価している。

 総額47万5000円、じゃ、企業も構えないし、
 1人35000円じゃ、被害者も訴訟に踏み切れない。