- 彩の国さいたま芸術劇場 1階D列23番
- 原作 ウィリアム・シェイクスピア 上演台本・演出 吉田鋼太郎
藤原竜也がとうとうマクベスを!というだけでなんかエポックな気がしてしまう。どうしてもハムレットから育ってきた子というイメージがあるからかな。ロミオもやりマクベスもやり、そのうちリア王もやるのかな。たっちゃんがリア王やるまで元気にシアターゴアーでいたいもんです。
私たぶんシェイクスピアの戯曲でいちばんたくさん見ているのがマクベスなんじゃないかと思うけど、王道の演出でありつつもやはり主演のカラーが色濃く出た上演ではあった。マクベスは山師というか一発どでかいのを当てたるというような気分のときと、そうでないときのネガティブさ満開のときの差が激しい人物だけど、山師というよりも欲望に対して真面目、というニュアンスが出たのはたっちゃんのマクベスだなあという感じ。彼の世界を構築していたのが夫人だったというような見せ方も興味深かった。今回見たかった理由のひとつが、マクベスといえば、な名セリフ「消えろ、消えろ、束の間の灯火…」から始まる台詞を聞きたかったからっていうのがあるんですが、驚くほど淡々と、すべてを失った、漂白された人物の告解のように言わせてたのは意外だったな。
吉田鋼太郎さんの演出、「ジョン王」が壊滅的に気が合わなかったので、それが気になりすぎて今回も足を運ぶの迷ったくらいなんですが(事程左様に演出との気の合わなさは致命的)、さすがに今回は手堅くまとめていて安心しました。ご本人も魔女で楽しそうでしたし。
たくさん芝居を観てきてますます実感することは、シェイクスピアのあの長セリフを藤原竜也のように言える人、演じられる人は実際のところそんなにたくさんいないのだということ。オーバーアクトというのではなく、本当に魂が乗っかっているとしか言いようのないあの激しさとセリフを聞かせる技術を高次元でドッキングさせてる感ありますね。お見事でした!